警鐘(けいしょう)
金満家の応接室を模して、内部に絶滅の危機がある動植物でワシントン条約で国際取引が禁止されている種などの剥(はく)製や加工品を展示し、野生動物の保護を訴えています。
音声案内 ※YouTubeにリンク English navi
滅びゆく野生生物
自然界に生きる動植物には,美しい毛皮やりっぱな牙(きば)をもっているものがあり,これらの特定の動植物種は人間にとって資源となってきました。しかし一方で,無秩序な乱獲(らんかく)が多くの有用種を絶滅させてきた歴史があります。ここでは,人類のかたよった嗜好(しこう)が生んだ野生生物の商業取引について考えます。 |
絶滅
生物種は個体群として生存しています。個体群は繁殖と死亡とのバランスで存在を維持しており、ひとたび個体数がゼロになると、二度と地上をにぎわすことができません。それが絶滅です。個体の死は避けられないものであり、他個体の繁殖によって常に補われますが、生物種の絶滅は、多様な生物の世界から構成要素の一つが永久に失われることを意味しています。生物の絶滅は常に多少はおこっていますが、現在は非常な頻度で人間活動が原因となる絶滅が生じていると考えられます。
人類の活動と野生生物の絶滅人間の作用で起こる野生生物の絶滅の原因としては、開発などによる組織的な生息環境の破壊が大きな部分を占めますが、特定の有用種では捕獲や採取による個体数の減少が大きく作用します。通常、捕獲や採取が行われる地域(生産国)と消費や使用が行われる地域(消費国)は遠く隔(へだ)たっており、世界的な流通機構によって両者は結びついています。したがって、流通機構に村する適切な管理を国際的な規模で行うことが、絶滅のおそれのある野生生物の有効な保護策となりえます。しかし、いかに採集を禁止して国際取引を規制しようとも、それらに対する需要があって、高い金額で取引できる可能性があるかぎり、密漁や密輸が行われる可能性は残っています。生産国の凄惨(せいさん)な捕獲の場面、陰湿な取引の場面は印象的ですが、問題はむしろ消費国におけるかたよった嗜好にあるといえるでしょう。 ワシントン条約「ワシントン条約」は絶滅のおそれのある野生動植物種の国際的な商業取引を規制することによって、それらの種を保護することを目的とする国際条約です。 |