篠山市より発掘されたトカゲ類の記載論文の出版について
2015年2月4日
趣旨
平成19年(2007年)に篠山市宮田に分布する白亜系篠山層群下部層から、複数のトカゲ類化石が発見されました。これまでの研究の結果、その内の一つが中国より報告されているトカゲ類と同属で、また歯の形態から新種であることが篠山市より発掘されたトカゲ類の記載論文の出版について判明しました。この度、この研究成果は英語論文としてまとめられ、Journal of Vertebrate Paleontology(古脊椎動物学の査読付き国際学術雑誌)に投稿・受理・出版されました。
1 学名
新種のトカゲ類として記載報告
(学名)パキゲニス・アダチイ(Pachygenys adachii sp.nov)
属名と種小名の語源:Pachygenys は、pachys とgenys はギリシャ語で「厚い+下顎」という意味で、
種小名のadachiiは、宮田サイトの発見者である足立洌氏に敬意を表し、彼の姓から名付けられている。
2 執筆者
池田 忠広 研究員 (県立人と自然の博物館・兵庫県立大学)
太田 英利 研究次長 (兵庫県立大学・県立人と自然の博物館)
三枝 春生 主任研究員(兵庫県立大学・県立人と自然の博物館)
3 掲載誌
「Journal of Vertebrate Paleontology」(米国古脊椎動物学学会の雑誌)
(古生物学の査読付き国際学術雑誌)
4 論文標題
英文:A new fossil lizard from the Lower Cretaceous Sasayama Group of Hyogo prefecture,
western Honshu, Japan
和訳:「兵庫県篠山層群から発見された新しいトカゲ類化石」
5 特筆すべき点
・篠山層群のトカゲ類としては初めて属・種名が記載報告されたものである。
・日本で四番目の白亜系トカゲ類化石である。
・これまで前期白亜紀における大陸と日本のトカゲ類の近縁性が議論されていたが、
それを裏付ける明確な証拠(化石)が示されていない状態だった。本研究は、両地
域間に共通する分類群を初めて報告するものであり、上記の近縁性を明確に示すも
のである。
6 臨時展示「下部白亜系篠山層群から発見された新種のトカゲ類化石」の開催について
論文に関する臨時展示を行います。
期 間 平成27年2月11日(水・祝)~ 4月5日(日) 〈終了しました〉
場 所 兵庫県立人と自然の博物館 3階丹波の恐竜化石展示コーナー
展示物 ホロタイプ標本、拡大模型、パネル等
7 担当
兵庫県立人と自然の博物館 自然・環境評価研究部 研究員 池田 忠広
論文になった化石標本
骨格復元像 生態復元像
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