ウミガメ類の化石発見
兵庫県洲本市の和泉層群(後期白亜紀)から産出したウミガメ類化石について(2014.1.26)
趣 旨
兵庫県洲本市由良町(淡路島)に分布する和泉層群北阿万層(白亜紀後期:前期Maastrichtian)からウミガメ類の完全な頭骨を含む体骨格化石が発見されました。これらの化石は、形態的特徴から日本固有の絶滅種であるMesodermochelys undulatus(オサガメ科)と考えられます。本種のこれほど完全な頭骨の発見は初めてであり、白亜紀当時のウミガメ類の系統進化や古生態、とりわけ本種が属するオサガメ科の起源を考察するうえでまたとない貴重な資料です。
内容
1 分 類 カメ目 オサガメ科
2 産出化石
頭骨を含む体骨格化石2点
(第1標本:甲長約80cmと推定;頭骨の高さ110 mm,幅は推定188 mm)
(第2標本:甲長約50 cmと推定;頭骨の長さ160 mm,高さ76 mm,幅104mm)
3 産 出 層 和泉層群北阿万層
4 産出地点 兵庫県洲本市由良町
5 発見経緯 当館地域研究員・岸本眞五氏によって、淡路島由良町に分布する和泉層群より頭骨後半部を含む骨格化石、また2009年には松本浩司氏によって同層からほぼ完全な頭骨と下顎をふくむ体骨格化石が発見された。
6 学術的意義
①Mesodermochelys undulatusの化石標本は、国内においてしばしば報告されているが、ほぼ完全な頭骨と下顎をふくむ体骨格化石の発見は初めてである。
②この化石の発見は、本種の形態的特徴をより詳細に明らかにするとともに、白亜紀オサガメ類の形態進化や古生態(食性など)の解明に寄与するものである。
(他の地域から産出しているMesodermochelys属)
・北海道むかわ町、中川町、苫前町 地層:函淵層群・蝦夷層群(後期白亜紀)標本の部位(下顎をふくむほぼ全身骨格)
・兵庫県 地層:和泉層群(後期白亜紀)標本の部位(完全な頭骨や甲羅、四肢骨)
・香川県 地層:和泉層群(後期白亜紀)標本の部位(甲羅、四肢骨)
(その他) ・今回の化石の発見については、日本古生物学会第163回例会において平山廉 氏(早稲田大学国際教養学部 教授)により発表されました。
・平成26年1月24日(金)、兵庫県立人と自然の博物館において事前に記者発表されました。
今回発見された化石は、当館3階トピックスコーナーにおいて2月9日(日)から4月6日(日)まで展示します。
平成26年1月24日 事前記者発表の様子
概要説明 | 化石を手に取り説明される平山教授 |
今回の発見について質疑応答 | 記者の質問に答える発見者の岸本さん |
発見者 松本浩司氏発見者 岸本眞五氏 | 第一標本 |
発見者 松本浩司氏 | 第二標本 |
出席者 平山 廉 早稲田大学国際教養学部 教授
岸本 眞五 化石発見者(人と自然の博物館地域研究員)
太田 英利 兵庫県立人と自然の博物館 研究部長
三枝 春生 兵庫県立人と自然の博物館 主任研究員
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