冬休み特別企画・写真展「植物シモバシラが魅せる氷の世界 ― 氷のできる仕組み・土と植物 ―」
1 趣旨
シモバシラという植物は、冬に茎から霜柱状の氷をつくる奇妙な特徴をもっています。中でも、早朝にみる氷は、様々な形をしており、繊細でシルクのような輝きを放っています。今回、その一端を多くの人に伝えたく、写真展を開催しました。併せて、土と植物(シモバシラ)から氷が成長する様子を観察し、「なぜ、土と植物が起こす現象が同じなのか?」を考えてみました。氷ができる条件を一つ一つあげながら、疑問に答える形でその仕組みのなぞ解きをしました。
シモバシラ(Keiskea japonica Miq.)は、冬に茎から氷を成長させる氷晶析出植物の代表的な植物です。シソ科の多年草で木陰に生育し、関東以西の本州(太平洋側)・四国・九州に分布します。近畿では、和歌山県の一部に分布し、県の絶滅危惧種RDB : Ia類になっています。夏にはシソのような白い花をつけますが、冬には茎から氷を伸ばして様々な形の氷の芸術作品をつくります。氷をつくる現象が、地面にできる霜柱と同じことから、この名前でよばれています。霜柱状の氷は、夜間に気温が氷点下になると、茎の表面から様々な形に伸びます。昼間とけて夜間に成長することを繰り返します。
茎から氷を成長させる現象は、植物がもつ基本的な特性の一つと考えられています。このような氷晶析出植物(ひょうしょうせきしゅつしょくぶつ)は、シモバシラに限らず、他にもたくさんあります。兵庫県にはイノコヅチ、コアカソ、ヒヨドリバナなどがあります。しかし、植物がもつこの現象の機構については未解明で、シモバシラを通して氷の成長の仕組みを学ぶ機会となり、多くの子供たちや一般の人々に興味や関心をもってもらうことがこの企画のねらいです。
2 実施概要
(1)期間:令和5年11月28日(火)~令和6年1月8日(月・祝)
(2)場所:兵庫県立人と自然の博物館 3階ひとはくギャラリー
(3)内容:シモバシラの氷写真(A3ノビ/20枚)および説明パネル(A1/3枚)
主催:公益社団法人 日本雪氷学会 関東・中部・西日本支部
共催:兵庫県立人と自然の博物館
3 担当
兵庫県立人と自然の博物館 自然環境再生研究部 藤井 俊夫
TEL:079-559-2001(代表) E-mail: fujii@hitohaku.jp
◎ リーフレットは こちら
世にも不思議なシモバシラ
世にも不思議な植物シモバシラ(Keiskea japonica Miq.)。シソ科の多年草で木陰に生育し、関東以西の本州(太平洋側)・四国・九州に分布します。秋にはシソのような白い花をつけますが、冬には茎から氷を伸ばして様々な形の氷の芸術作品をつくります。その氷をつくる現象が、地面にできる霜柱に似ていることから、この名前でよばれています。今回、土と植物(シモバシラ)から氷が伸びる様子を観察し、「なぜ、土と植物が起こす現象が同じなのか?」を考えてみました。氷ができる条件を一つ一つあげながら、疑問に答える形でその仕組みのなぞ解きをしました。どうぞ、植物が氷をつくる仕組みと、自然が生み出す氷の造形美をお楽しみください。