毎月かわるよ!江田コレクション展・第8回「南米の美麗なチョウたち」
第8回(2月)展示の予告動画を作成しました(2022/1/21掲載)
1 主旨(「南米の美麗なチョウたち」)
ひとはく初の試みとなる月毎の入れ替え展示の第8回目のテーマは、江田コレクションの中から、南米に生息する多種多様なチョウを厳選した「南米の美麗なチョウたち」です。南米は、私たちが住んでいる日本、そしてアジア圏とは全く異なる生物相をもっています。特にチョウの多様性には目を見張るものがあり、ぜひ、皆さんに観ていただきたい美麗なチョウがたくさん生息しています。
今回のテーマでは、その多様なチョウたちの中から、美麗かつ奇抜な翅模様をもつチョウを集めました。今回の一押しは、南米を代表するモルフォチョウの仲間です。特にレテノールモルフォは、構造色による青く輝く、非常に美しい翅を持っています。見る角度により翅の色が変化するので、様々な角度から眺めていただけたらと思います。その他、翅全体が透けているベニスカシジャノメ、翅裏の目玉模様がフクロウの眼にみえるテウケルフクロウチョウなど、日本国内では見かけることのないチョウを集めました。また、モルフォチョウ類に比べると、一見地味ですが、進化的にとても興味深いエラートドクチョウとメルポメネドクチョウもオススメです。両者とも、体に毒をもったチョウで、違う種とは思えないほど、翅の模様がそっくりです。これはミュラー型擬態と呼ばれ、毒を持つもの同士、お互いに翅の模様を似せることで、捕食者への警戒を強める効果があるとされています。
このように多様なチョウの翅模様には、進化的なストーリーが隠されています。チョウの多様性を楽しみながら、なぜ、こんな模様をしているのか?と考えてみると、チョウの生き生きとした生き様が見えてくるかと思います。
2 実施概要
(1) 期 日:令和4年2月8日(火)~2月27日(日) 予定
(2) 場 所:兵庫県立人と自然の博物館 4階ひとはくサロン・休憩コーナー
(3) 展示物:チョウ類 28種(標本 120点)
3 担当
兵庫県立人と自然の博物館 自然・環境評価研究部 主任研究員 山﨑健史・橋本佳明
4 展示資料(一部)
(1)レテノールモルフォ 南米を代表するモルフォチョウ類のなかでも、一際、鮮やかな青に輝くモルフォチョウ。オスは、翅表が青く輝くが、メスは黄色を呈する。幼虫は主にマメ科の植物を食べる。オス成体は、地上から3mから6mを飛翔することが多く、一方メスは、湿った河岸などに止まっていることが多い。 |
(2)ベニスカシジャノメ コロンビア、アンデス山脈東部に分布するスカシジャノメ類の1種。翅全体が半透明で、背景が透けて見ることができる。幼虫は、タケやヤシ類などの単子葉類の葉を食草としていると考えられている。 |
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(3)テウケルフクロウチョウ コロンビアからパラグアイまで広く分布するフクロウチョウ類の1種。標高400mから1500mの熱帯雨林や雲霧林に生息している。幼虫はオウムバナ科やバショウ科の植物を食草としている。 |
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(4)エラートドクチョウ (上:ボリビア産、下:エクアドル産) メキシコから南アメリカに広く分布し、主に熱帯雨林の林縁部に出現する。幼虫は、トケイソウ類を食草としている。トケイソウ類に含まれる青酸化合物を取り入れ、さらに特徴的な翅の斑紋を持つことにより、鳥などの捕食者からは、"まずい"餌として認識されることで、外敵からの攻撃をされにくくなる効果がある。翅の模様には地理的な変異があり、各地域個体群は、同所的に生息するメルポメネドクチョウと対応する翅の模様をもつ。 |
(5)メルポメネドクチョウ (上:ボリビア産、下:エクアドル産) メキシコから南アメリカに広く分布するドクチョウ。エラートドクチョウと同様に、翅の模様に地理的な変異があり、各地域個体群は、同所的に生息するエラートドクチョウと対応する翅の模様を持つ。 |
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