開館25周年記念展示「岩槻名誉館長が選ぶシダ25選」
1 主旨
岩槻名誉館長の最狭義の研究課題はシダ植物の種多様性の解析です。シダ植物の何が研究材料として魅力的だったのか、ひとはく開館25周年記念の特別企画として、25種のシダを選んでその魅力を語ります。幼いころの山菜採りで出合ったシダ植物、中学・高校時代のクラブ活動におけるシダ、大学・大学院時代にシダを材料とした研究に専念しようと思ったきっかけ、研究活動で実際に活用した種など、およそ1万種の現生種から選んだ25です。
2 展示概要
(1)場所:兵庫県立人と自然の博物館 4階ひとはくサロン 終了しました。
(2)展示物:解説パネル、写真、関連図書、さく葉標本、生体標本など
3 担当
兵庫県立人と自然の博物館 名誉館長 岩槻邦男
(問い合わせ先:主任研究員 半田 久美子)
4 主な展示物
・シダに惹かれる過程で出合った種:ワラビ、ジュウモンジシダら
・シダ研究のきっかけをつくった種:ミズニラ、ツクシ、ゼンマイ科ら
・学位論文の材料になったシダ:ヒメシダ科
・属について詳しく調べたシダ:ヘゴ属、ヘツカシダ属ら
・文化にともなう進化の研究材料:ホウビシダ属、ベニシダなど
・修士論文以来最も長くつきあったシダ:コケシノブ科
(写真左)スファエロキオニウム属の一種
マレーシアサバ州にて。葉の全面に毛を生じ、特殊な進化をとげた種であるが、乾燥地に適応したものではなく、多湿な雲霧林に限られている。いまでは広義のコケシノブ属に含まれる。
(写真中)ヒメノグロッスム属の一種
チリに固有の単葉のコケシノブの1種。無毛の単葉で、辺縁につく胞子嚢群が特徴的。長く単型の属とみなされていたが、広義のコケシノブ属に含まれることが分かってきた。
(写真右)ベニシダ
文化にともなう進化の研究材料となった種。人為によって変貌させられた環境に生育し、その進化を駆け込み進化とよんで『文明が育てた植物たち』(1997)で追跡した。