・・・・前回からの続き
予定通り弥山を登ります。弥山を登るコースは3つありますが、今回は大元公園を通る一番西側のコース(大元コース)を登りました。
少し登るとコジイの多い林が広がります。標高300mくらいになると、コジイのほか、ウラジロガシやツクバネガシの多い林になります。瀬戸内地方、特に島嶼部ではシイ・カシのまとまった林は少ないのですが、宮島には比較的よく残されています。
ウリハダカエデ。谷沿いでは落葉樹もよく混ざります。本種はよくみる落葉樹の一つ。ちなみに、近隣の里山で普通にみられるコナラ、アベマキは宮島ではみられません。
サンヨウアオイ。名前の通り山陽地方に分布するカンアオイの仲間。ミヤコアオイとよく似ていますが、花(がく筒)の形態が少し異なります。
大元コースでは大きな岩がごろごろしています。湿り気のある場所では、岩の上に着生植物がよくみられます。(右)濃い緑はシシラン。
大きな岩。(左)黄緑は名前にふさわしいイワガラミ。イワガラミはつる植物です。急な岩壁ですがどこまで広がるのでしょうか。(右)濃い緑はコウヤコケシノブとホソバコケシノブ。
岩の隙間には樹木もよく生えます。左から伸びているのはヤマグルマ。やや日陰の岩場でよくみられます。
尾根に出ました。このあたりはツガの多い林でしたが、台風でたくさん高木が倒れ、今は明るく開けています。(右)下層にはツガの稚樹がみられます。
弥山山頂に向け、尾根を歩きます。眺望良好です。高く伸びているのは主にアカマツ。
宮島は面積のわりに標高が高く、地形は急峻です。ここまでに来るのに何回か休憩しましたが、最後の登りの前にもう一休み。
モミに着生するセッコク。このあたりの標高は雲がかかりやすく、湿り気が発生しやすいのでしょう。
昼食後、弥山山頂から尾根を東に進み、獅子岩駅からロープウェーに乗りました。弥山を上から眺めつつ降ります。
天候にも恵まれ、多くの植物といろいろなタイプの植生をじっくり観察することができました。参加者の皆さんも熱心で、アットホームな雰囲気の中、楽しく充実したセミナーとなりました。ありがとうございました。
今年のひとはくでは例年にもまして多彩なセミナーが企画されています。興味のある方もない方も、この機会にぜひ参加をご検討ください。お待ちしております。
(自然・環境再生研究部 黒田有寿茂)