今年は生物多様性の年。これにちなみ、今年のひとはくでは、各地の自然・生きもの・環境・文化などを広く体験することを目的に、県内だけでなく県外や国外でのセミナーも企画されています。その一つ、広島県でのセミナー「植物ウォッチング〜安芸の宮島〜」を実施しました(5/1〜5/2)。その模様をご紹介します。


   
 宮島は、厳島神社、秋の紅葉、もみじまんじゅうなどで有名です。このような文化・景観・観光の面だけでなく、宮島は植物相が豊かで、植生の様子も周辺と異なるなど、植物学上の興味深い特徴もたくさんもっています。

 


  一日目。フェリーで宮島へ。約10分で到着です。大鳥居の背後に広がっているのは弥山(みせん)。弥山は島内の最高峰で、標高は約530mです。一日目は厳島神社周辺を歩き、二日目に弥山を登ることにしました。


   
 桟橋に到着後、神社周辺の舗装道路を歩きます。ときどき立ち止まって説明。


   
 林内の散策道へ。標高の低いところでは(右)ミミズバイが目立ちます。本種は本州(千葉県以西)の太平洋沿岸に沿って、四国、九州、琉球、台湾、インドシナまで分布していますが、瀬戸内地方ではほとんどみられません。宮島では、このミミズバイのように、太平洋沿岸や南の地域に分布が偏り、瀬戸内地方ではまれな植物をたくさん見ることができます。



 ヒメハシゴシダ。切れ込み(裂片)が丸いのが特徴です。本種は伊豆半島南部、紀伊半島南部、四国南部、九州南部、琉球、それから宮島に分布しています。

 


 宮島、特に厳島神社周辺には、シカがたくさん生息しています。シカの影響で林床の植物がほとんどなくなってしまった場所もみられます。


   
 (左)ナンゴクウラシマソウ、(右)アオテンナンショウ。いずれも有毒で、シカも食べません。平坦なやや明るい場所でよくみられます。


 

 ヒメイタチシダを観察中。本種は宮島で収集された標本をもとに発表されています。


    
ビロードシダを触ってみました。名前と違ってゴワゴワしています。ビロードシダはどこでもみるというシダ植物ではありませんが、宮島では町の中で見ることができます。

 

   後半は後日ということで・・・・

 

(自然・環境再生研究部  黒田有寿茂)

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