2009年9月4日、明石市立朝霧小学校の子どもたち104名が、人と自然の博物館を訪れ、環境体験学習の一環として、虫とりをしました。そのときのようすです。
この事例は、他の学校にも参考になると思いますので、紹介しておきます。
持ち物
児童の持ち物:虫とりアミ、洗濯バサミ、弁当、水筒、筆記用具
学校で用意するもの:アミの予備、台所用水切りネット、名前ペン、セロテープ、付せん
スケジュール
9:40頃・・・バスで到着。アミは館の外にまとめておいて、児童のみなさんは館内へ
10:00〜・・・ひとはくのセミナー室で、あいさつと、虫とりのしかたを説明
10:15〜10:35・・・公園への移動と虫とりの準備
10:35〜11:15・・・みんなで虫とりだ!
11:15〜12:00・・・つかまえた虫をチャック付きポリ袋に入れて、壁に貼っていきます。
昼食の間・・・研究員が虫の鑑定
13:00頃〜・・・まとめのお話と片付け
13:30頃〜・・・館内見学
14:30頃・・・バスで学校へ向けて出発
広い深田公園は、アミを持った子どもたちでいっぱいになりました。
深田公園にはいろんな虫とりスポットがあります。これは水辺。
10年ほど前に、多くの生きものが住めるよう、ビオトープとして整備されました。
雑木林もあります。虫が集まる木も植えられています。
児童のみなさんは、シャツに洗濯バサミをつけています。これは、台所用の水切りネットと洗濯バサミでできる、簡単な虫かごです。中に入れた虫は傷みにくく、かさばらなくて、便利です。とにかく安い。
ゴマダラカミキリをつかまえました。クワガタムシをつかまえた子もいました。
すごいのみつけたね〜 先生も楽しそうです。
つかまえた虫は、1匹ずつチャック付きのポリ袋に入れ、つかまえた人の名前を書きます。
そのあと、先生が壁にはりつけています。ひとはくの壁はハーフミラーのガラスなので、作業がしやすいです。
虫は生きたまま入れます。気温にもよりますが、1、2時間なら、まず死にません。とくに翅(はね)の大きなトンボやチョウは、虫カゴに入れると、翅が傷ついて飛べなくなります。この方法では、虫をあまり傷めません。
ただし、虫を入れた袋は、絶対に日光に当ててはいけません。熱気で即死します。そこで、展示は必ず日陰で行います(できれば室内を推奨します)。それでも中が蒸れて袋が曇るようなら、チャックを少し開けるか、袋に穴を開けておきます。
トンボのなかま、バッタのなかまなど、なかまどうしを集め、ならべます。
集めて整理するだけで、楽しいです。
ここから先は、何をどこまでやるか、授業の目的や学年によって異なってきます。
昆虫は種類が多く、種名を知ろうとすると、どうしても、虫にくわしい専門家の助けが必要になります。オスとメスで大きさや色がぜんぜん違う虫がいたり、同じ種類を集めるだけでも難しいです。今回は、博物館の研究員が、虫の種名をつけていきました。
なかま分けにこだわらず、室内に持ち込んで、じっくり虫のスケッチをするのも、よい学習と思います。袋に入れた状態なので、スケッチのモデルとしても、使いやすいです。
とことん種類にこだわって、つかまえた虫の種類と数を表にし、種数×個体数でポイントを競う「虫とりペナントレース」もよいと思います。さらに、対象をトンボだけに限定して「トンボとりペナントレース」、バッタだけに限定して「バッタとりペナントレース」とすることも、楽しいものです。
みんなで、41種111匹の昆虫をつかまえました。クモやカナヘビ(トカゲのなかま)を入れると、45種118匹でした。わずか40分少々の虫とりで、こんなにたくさんみつかりました。
このあと、虫を逃がしたり、持って帰りました。トンボもバッタも、ちゃんと飛んで行きました。持って帰るときは、必ず袋から出して、風通しのよい、虫かごに入れます。
学校で同じことをしてみると、場所による虫のちがいがよくわかると思います。また、同じ場所でちがう季節にやってみると、季節による虫のちがいもよくわかります。ぜひやってみてください。
(八木 剛@自然・環境評価研究部)