12月11日(土)からボランティアの方々による手堀の作業が開始されました。時折小雨交じりの空模様でしたが、寒さに負けずに作業は進められました。
朝の9時前にはすでに発掘現場にボランティアの方々は集合されていました。今回の参加が初めての方や、すでに何回も参加されているベテランの方が勢揃いされました。 9時を合図にひとはくの三枝主任研究員と池田研究員から、作業に当たってのあいさつや注意事項の説明の後、お弁当引換券も配られました。準備が整ったら、ハンマーや袋、ブルーシートなどを手分けして、いよいよ発掘の現場へ降下します。
結構足下が滑りやすい場所ですので、みなさん慎重に降りて行かれました。(誰も転んだ人はなかったですよね?)
第4次発掘調査の終わりにコンクリートでフタをしていたところは、既に重機で取り除かれており、すぐに作業ができる状態に整えられています。しかしそれにしても、今回の第5次発掘調査は、かなり深くまで掘り下げられています。
写真で判るかな? かなりの深さです。この右側の壁面には青・赤・白のペンキでマーキングが施されています。 「どの位置からこの化石が見つかったのか?」という位置の特定をするために、真上から見た時に、例えば「A列の3のマス」というように座標で示すためのマークなんです。
この写真にあるように、袋には赤マジックで「G-21」と書かれていますが、これは「この袋の中には、G-21のマスから採った石片が入っています」ということを意味しています。
なぜそんな細かい事をするのかというと、細かい石片の中に化石が含まれている場合、実際に岩盤ドリルで掘っている場所で見つかるのではなく、すぐ横で石片を一つ一つ検分していて、そこで選り分けられるからです。その時に、この石片はどのマスから出てきたのかがすぐ判別できるようになっています。
この選り分けの作業が実に根気のいる作業なんです。無数に掘り出される石片を調べるのですが、泥がついていれば水で洗い流して調べなければなりません。石粒の中には、小さな小さな骨片も含まれていますから、ルーペでじっくり見ながら選り分けることもあります。「!!」と思うものが含まれている時には、近くにいるベテランの方か研究員に確認してもらいます。今日も途中で雨が降りましたが、雪や寒さとの闘いもこの先待っています。そして何より、寒さが腰に来る。肩に来る。目に来る。本当に大変な作業です。
こうした地道な作業とそれを支えてくださるボランティアの方々のおかげで、世界的な化石の発見につながっているのです。本当にありがたいことだと思います。本当に素晴らしいことだと思います。
今日から始まった手堀りによる発掘作業ですが、偶然にも表面に恐竜の「歯」とおぼしき化石が露出していたので、早速に剥ぎ取りの作業が行われていました。薬品で化石を処理した後、まわりをタガネで丁寧に割りながら、化石を含む岩塊を取り出します。
こんな感じで寝そべりながらの作業もあります。作業は慎重に慎重に、そして丁寧に丁寧に行われていました。実はこの場所は水平な場所ではないんです。
写真では雰囲気は伝わりにくいかも知れませんが、なんと斜度約30°ほどの岩盤の上なんです。こんな場所での作業にもかかわらず、作業員の方々の努力は毎日続きます。
情報管理課:八尾