恐竜化石発掘の情報(第一次・第二次発掘調査)
2006年度第一次発掘調査
2007年1月25日 『発掘工事が始まりました』
丹波市山南町の恐竜化石が発見された現地では、いよいよ1月22日(月)から発掘工事が始まりました。恐竜化石は河床に露出している砂岩や礫岩の層の下にあるので、まずはそれらの層をはがさなければなりません。
22日から24日にかけては、河床に重機を下ろすための足場づくりが行われました。(写真1)
25日には、重機を河床に下ろし、いよいよ河床の掘削が始まりました。またこの日には報道関係者にも掘削のようすが公開されました。(写真2、3)
写真1:重機を下ろすための足場づくり(1月22日) |
写真2:重機を下ろす作業(1月25日) |
写真3:重機による掘削作業(1月25日) |
現地は川に面した急斜面で大変危険ですので、安全確保のため発掘現場には近づけないように規制しています。今後発掘のようすを見ていただくことは一切できません。博物館からは発掘のようすを随時発表する予定ですので、博物館のHPや展示にご注目ください。
2007年1月31日 『発掘工事は順調に進んでいます』
1月25日に掘削作業が始まってから、今日(31日)までに延べ5日間の掘削作業が行われました。掘削の開始以来、現在まで継続して行われているのは、恐竜化石を含む泥岩層の上部に重なる砂岩、礫岩層の掘削です。
写真4、5:重機による掘削作業(1月30日) |
写真6:発掘現場を上から見た写真
1月25日の写真と比べていただければわかるように、作業は順調に進んでいます。
2007年2月7日 『来週には化石含有層の発掘を始める予定です』
含化石層の上部に重なる砂岩、礫岩層の掘削は大変順調に進んでいます。当初の予定よりも早く重機を使った掘削は終了し、手作業による 化石の発掘に取りかかることができる見込みになってきました。
しかし、 化石を含む泥岩層の直上に重なる礫岩層が予想以上に硬く、現在その部分 の掘削に手間取っています。そのため、手作業による化石の発掘作業の開 始日はまだ決定していませんが、来週中には取りかかることができそうです。
写真7、8:重機による掘削作業(2月6日) |
2007年2月15日 『恐竜化石を含有する泥岩層の発掘が始まりました』
恐竜化石を含有する泥岩層の発掘がいよいよ本日(2月15日)から始まりました。今日は18人のボランティアの方にご協力いただき作業を行いました。今日のところは、部位不明の小さな骨片が1点見つかっただけです。
写真9:多くのボランティアにご協力いただきました | 写真10:2月15日の作業終了後のようす |
2007年2月16日
今日は発掘がさらに進み、部位不明の骨片が10点ほど発見されました。
2007年2月21日
人手による本格的な発掘が始まって1週間が経過し、化石含有層がかなり掘り下げられました。天候にも比較的恵まれ、多数のボランティアの方にご協力いただきながら作業を進めています。
ハンマーとタガネを使って慎重に露頭から発掘を進める一方で、露頭の発掘で出た岩屑を小さく割って、その中から小さな化石を探す仕事も行われています。
これまでに部位不明の小さな骨片が約70点発見されていますが、その中には恐竜以外の小動物の骨が含まれているかもしれません。小さな動物は骨格も小さいので、小さな骨片であっても動物の種類の特定につながる可能性があり、もしそうなればその骨片は重要な意味を持つことになります。
写真11、12:露頭の発掘と並行して、ブルーシートの上では岩屑を割って化石を探しています。
2007年2月28日
写真13:2月26日発掘終了時の状況 |
2月27日までの発掘によって、血道弓と推定される骨が約7点、尾椎と推定される骨が約3点姿を現してきました。しかしながら、骨の表面は方解石などによって覆われているため、クリーニングが終了するまでは詳細な形態は不明です。
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写真14:骨の分布状況の説明 |
現地は川に面した急斜面で大変危険ですので、安全確保のため発掘現場には近づけないように規制しています。今後発掘のようすを見ていただくことは一切できません。博物館からは発掘のようすを随時発表する予定ですので、博物館のHPにご注目ください。
恐竜化石の発掘を円滑に進めるために皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
2007年3月7日
写真15:3月6日発掘終了時の状況 | 3月6日までに発掘はさらに進み、これまで尾椎または尾椎と見られる骨が約13点発見されました。そのうち、何点かは関節した状態で姿を現しました。さらに7日午前中、尾椎と見られる骨が1点見つかりましたので、今回の発掘で尾椎だけでも少なくとも14点見つかったことになります。 さらに、1週間前には骨格の前後関係が不明瞭でしたが、その後の発掘で尾椎のより詳しい形態が判明したことと、血道弓の並び方などから判断して、河川側に尾部の先端が向いており、土手に向かって体の前部が順次埋没している可能性が高くなってきました。 今後、骨がまとまって産出している部分をブロックとして切り出して、石膏で覆ったプラスタージャケットにして、博物館に持ち帰る予定です。 |
写真16:骨の分布状況の説明
2007年3月14日
3月13日までに血道弓や、末端寄りのいくつかの尾椎を含むブロックの周囲を削り込み、石膏で覆ったプラスタージャケットが作られました。引き続き尾椎の胴体よりの部分を含むブロックを切り出すための準備作業を進めています
写真17:プラスタージャケット作成のようす |
写真18:右側・・・ほぼ完成したプラスタージャケット |
2007年3月22日
【3月21日】
二つ目の大きなプラスタージャケットを作製しました。まず最初に、水に溶いた石膏をしみこませた布で表面を覆い、石膏が固まった後、下をえぐってブロックをひっくり返します。次に下面を同じように石膏で覆って完成です。この中には、生息時の状態のままつながった部分を含む、数点の尾椎が含まれています。
【3月22日】
引き続き22日には、前日完成したプラスタージャケットをクレーンでつり上げ、トラックに積んで博物館に持ち上げる作業が行われました。現地では3月末まで後片付けの作業を行い、今回の発掘はすべて終了となります。
写真19:プラスタージャケット作製作業 |
写真20:つり上げ作業 |
写真21:トラックへの積み込み作業 |
写真22:化石ブロックはすべて搬出されました |
2007年6月26日 『丹波の恐竜化石の新知見 ~頭骨の一部も見つかる~』
6月30日(土)に開催される日本古生物学会の年会・総会において、当館の研究員が丹波の恐竜化石に関する学会講演を行う予定としておりますが、それに先立ち、当館において6月26日(火)の14:00から講演内容のポイントを報道機関向けに発表しました。
【新たに公表されたこと】
①クリーニング作業の結果、昨年度の発掘で得られた丹波市産の竜脚類の化石の中には、頭骨の一部が含まれていることが確認された。
②丹波市産の竜脚類は、尾椎の形態からみて、ティタノサウルス類のなかでも比較的原始的な種類に属する。
③発掘された化石の中から、鳥脚類の歯の破片2個が発見された。
(発表内容の詳細はこちら
記者発表当日の模様(該当する実際の化石を指し示しながら行われました。)
今回新たに確認された頭骨の化石
以下の2点は当日の配布資料です。
今回確認された頭骨は黄色の部分に該当します。
2007年7月21日『新展示「丹波の恐竜化石」が始まりました』
本日(2007年7月21日)より、3階小企画展示室において、新展示「丹波の恐竜化石」が始まりました。今回の展示では、6月に発見されたばかりの頭骨の一部や、鳥脚類の歯などこれまでの展示には登場していなかった標本、7月20日にクリーニングが終了したばかりの、小さいけれどとても保存のよい尾椎などをごらんいただくことができます。ただし、最大の血道弓や尾椎などは、現在レプリカ製作中のため、しばらくの間ご覧いただけません。ご了承ください。 |
また今回は竜脚類の骨格の特徴や、頭骨の特徴を理解していただきやすくするため、アパトサウルスの1/12縮小模型や、カマラサウルスの頭骨レプリカを展示しています。
【アパトサウルスの縮小模型】 |
【カマラサウルスのレプリカ】 |
恐竜の化石以外では、発掘の様子を再現したジオラマ、クリーニングの道具、プラスタージャケットの材料なども展示しています。 今回の展示は、少なくとも来年の8月いっぱいは、現在の小企画展示室で継続される予定です。その間、クリーニングの進捗や、二次発掘の開始などに伴い、展示内容は随時変更されます。現在展示されている標本も、他施設への貸し出し、レプリカ作製、追加のクリーニングなどの都合上、ご覧いただけなくなることもあります。 多数の皆様のご来館をお待ちしています。 |
2007年度第二次発掘調査
2007年11月20日 『第2次発掘調査を開始』
2007年11月20日(火) 第2次発掘調査が始まりました。
化石を含有しない上部の礫岩や砂岩を除去する作業が開始され、これから本格的な発掘調査に向けた準備を進めていきます。この日は報道関係者に掘削のようすが公開されました。
発掘のため、現地に重機を搬入 |
現地のポイントを確認している様子 |
取材のため、多数の報道関係者の方にもお越しいただきました。
2007年12月1日『丹波の恐竜化石クリーニング施設の開設セレモニー』
丹波市山南住民センター(丹波市山南町谷川1110番地)内に恐竜化石のクリーニング施設が12月1日(日)に開設しました。
開設にあたっては、関係者によるプラスタージャケット開封などのセレモニー、三枝研究員による作業内容の解説などが行われました。
開設セレモニーの様子
化石のクリーニング施設 |
三枝研究員による解説 |
2007年12月27日 『丹波の恐竜化石第2次発掘調査 進捗状況』
第2次発掘調査については、11月20日から1月初旬にかけて、まず上層部(おもに砂岩、れき岩層)を重機で掘削しているところです。
また、丹波市山南住民センターにおいてクリーニング作業を進めています。
三枝研究員によるクリーニング作業の様子(12月26日撮影
発掘現場の様子(12月26日撮影)
2008年1月11日 『丹波の恐竜化石第二次発掘・ボランティアの方々も参加して手作業による発掘開始』
2008年1月7日から重機による掘削作業を再開し、11日からボランティアの方々も参加して手作業による発掘作業が始まりました。
2008年1月18日 『丹波の恐竜化石第二次発掘・獣脚類の歯の化石発見』
1月18日、ボランティアの方により、獣脚類のカルノサウルス類と見られる歯の化石が発見されました。大きさは、長さ4.5cm程度(見えている部分は3.5cm)、幅1.5cm。
2008年2月7日『丹波の恐竜化石第二次発掘・肋骨などを大量に発見』
新たに発見された肋骨・椎骨などの化石が岩盤中に多数散乱している様子を現地で公開いたしました。
報道機関の関係者に多数お集まりいただきました。
雪におおわれた発掘現場の様子と見学者
2008年2月21日 『新たに環椎(首の骨)を発見!(現地記者発表の様子)』
2008年2月28日 『竜脚類の歯を発見』
今回の調査(1次、2次)で初めて竜脚類の歯が発見された。
過去に竜脚類の脱落歯の発見例はあるが、今回発見されたものは国内では例のない未萌出(※)の歯である。この歯の化石は、現在発掘中の恐竜と同一個体であると思われる。
※顎(あご)の歯肉の中に埋まっている状態
2008年3月3日 『プラスタージャケットで覆って保護し搬出』
第二次発掘で見つかった化石を周囲の岩盤ごと切り出し、大小九つの塊にした後「プラスタージャケット」で覆って保護し、クレーンで吊り上げ、トラックに載せ搬出しました。
2008年3月3日 『第二次発掘調査が終了しました』
2007年11月20日から始まった恐竜化石の第二次発掘調査は、2008年3月3日をもって終了しました。
今回の発掘調査では、竜脚類の環椎や歯の発見のほか、坐骨?や肋骨の化石が産出するなどの成果がありました。今後はプラスタージャケットにして持ち帰った岩塊をクリーニングすることにより、新たな発見が期待されます。
坐骨?が一点と、肋骨の化石が散在する大きな岩塊 |
石膏で固める前に化石を保護しているところ |
調査期間中、悪天候に見舞われることがしばしばありましたが、雨の日もビニールシートの雨よけの下で、発掘はつづきました。
雨の日の発掘のようす |
削岩機で岩を切り出す豪快な作業 |
2008年1月11日(金)からの手作業による発掘調査では、多数のボランティアの方々にご協力いただきました。
岩くずをハンマーで割る地道な作業 (1月18日には、この作業中に獣脚類の歯が見つかった。) |
岩を慎重に削って化石を探し出す |