| 交通アクセス | サイトマップ |
文字サイズの変更

臨時展示「ササヤマグノームス 篠山の地下に隠された財宝を守る小人」開催のお知らせ

兵庫県・篠山盆地から新属新種の角竜類を発見
「ササヤマグノームス・サエグサイ」



1 研究のポイント
  • 兵庫県丹波篠山市に分布する篠山層群大山下層(約1億1000万年前)から植物食恐竜(角竜類)化石を発見し,新属新種「ササヤマグノームス・サエグサイ」と命名
  • 系統解析の結果,ササヤマグノームスは北アメリカの原始的な角竜類と近縁であることを解明
  • アジアで誕生した角竜類が北アメリカへと渡った時期が,1億1000万年前頃であった可能性を指摘
  • 白亜紀中頃に,ベーリング陸橋の形成と極端な地球温暖化が同時に起こったことが,原始的な角竜類の生息域拡大を可能にしたという仮説を提示
2 概要

 兵庫県立大学,兵庫県立人と自然の博物館,岡山理科大学,カールトン大学の国際研究チームは,兵庫県丹波篠山市から発見された恐竜化石が既知の角竜類とは異なる特徴を持つことを明らかにし,この恐竜を新属新種「ササヤマグノームス・サエグサイ」と命名しました.属名は「篠山の地下に隠された財宝を守る小人」を意味し,種小名は丹波地域の恐竜化石発掘調査を指揮してきた故・三枝春生博士に由来します.ササヤマグノームスの化石は17個の骨を含み,そのほとんどは同一個体に由来する可能性が高いと考えられます.脛骨の薄片を作成し,骨内部の微細構造を観察したところ,ササヤマグノームスは成熟しきっていない若い個体だったと推測されます.系統解析の結果,ササヤマグノームスは北アメリカの原始的な角竜類と近縁であり,アジアで誕生した角竜類が北アメリカへと渡った時期が1億1000万年前頃であった可能性が示唆されました.この時期,ユーラシア大陸東部と北米大陸西部が「ベーリング陸橋」によって繋がり,動物が陸伝いに両大陸を行き来できるようになりました.また,極端な温暖化が起こっていたため,当時の北極圏には広大な森林が存在していたと考えられます.ベーリング陸橋の形成と地球温暖化という2つの大きなイベントが重なったことで,白亜紀中頃,角竜類のアジアから北アメリカへの生息域拡大が促進されたと考えられます.

ササヤマグノームスの化石(全部で17点の化石が発掘された)


3 詳細

 別紙のとおり(※下のボタンをクリックしてください)
  別紙PDFファイル 

4 論文標題

 英文:A new neoceratopsian (Ornithischia: Ceratopsia) from the Lower Cretaceous Ohyamashimo Formation (Albian), Southwestern Japan
 和訳:大西南日本の下部白亜系篠山層群大山下層から発見された新たなネオケラトプス類


5 執筆者

 田中公教 主任研究員*1、千葉謙太郎 講師*2、池田忠広 主任研究員*1、マイケル・ライアン 特任教授*3
 (*1兵庫県立人と自然の博物館・県立大学;*2岡山理科大学;*3カールトン大学・カナダ自然博物館)

6 掲載誌

 「Papers in Palaeontology」(イギリスの査読付き国際学術雑誌)

7 臨時展示について

 (1) 期 間 2024年9月4日(水)~ 2024年11月10日(日)(予定)
 (2) 場 所 兵庫県立人と自然の博物館 3階「兵庫の恐竜化石」展示室前
 (3) 展示物 丹波篠山市産角竜類化石、パネル3点(予定)

8 担当

 兵庫県立人と自然の博物館 自然・環境評価研究部 主任研究員 田中 公教


Copyright © 1992-2023, Museum of Nature and Human Activities, Hyogo, All Right Reserved.