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2種目の幻の水生ハムシ ~キタキイロネクイハムシを青森県から再発見~

兵庫県立大学自然・環境科学研究所
兵庫県立人と自然の博物館
2種目の幻の水生ハムシ ~キタキイロネクイハムシを青森県から再発見~


1 概要

 中濱直之 (兵庫県立大学自然・環境科学研究所講師 兼 兵庫県立人と自然の博物館研究員)、岡野良祐 (大阪府)、西本雄一郎 (三重県)、中谷祐輔 (愛知県)、野一色麻人 (日本自然保護協会)、小川直記 (東京農業大学) らの研究グループは、青森県においてキタキイロネクイハムシ Macoplea mutica (ハムシ科) を複数個体発見しました。キタキイロネクイハムシは、ユーラシア大陸には広く分布しておりますが、国内では1個体が記録されているのみでした。本種の同属の近縁種として、1960年代に記録が途絶え、2022年に琵琶湖で再発見されたキイロネクイハムシMacroplea japanaが知られています。どちらもほとんど陸上に出ず、主に水中で生活する特異的なハムシ科昆虫です。このため、キタキイロネクイハムシは国内においてまさに「2種類目の幻の水生ハムシ」といえます。この度、青森県から成虫及び幼虫を含めた複数個体を発見し、形態及び遺伝学的な解析を実施しました。その結果、海外に分布するキタキイロネクイハムシと同種であることが結論づけられました。キタキイロネクイハムシは2003年に北海道東部でメス成虫が見つかっていたのみで、本州から見つかったのは本研究が初めてです。また、本種の正確な同定に必要不可欠なオス成虫も採集できたことから、海外のキタキイロネクイハムシと詳細な形態比較が可能となりました。さらに、本種の遺伝学的な解析の結果、ユーラシア大陸との遺伝的な違いが非常に小さいことも明らかとなりました。本種の発見は、北日本における豊かな湿地生態系を示すとともに、これまで詳細が不明だった水生ハムシ類の生態解明や保全手法を明らかにする重要な成果と言えます。本研究成果は、4月21日0時 (日本時間)に日本昆虫学会国際誌 "Entomological Science" に掲載予定です。



2 詳細

 別紙のとおり(※下のボタンをクリックしてください)
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3 論文情報

 (1) タイトル
  The second phantom aquatic leaf beetle in Japan: Macroplea mutica rediscovery in the wetlands (Coleoptera; Chrysomelidae)
  (日本からの幻の2種目の水生ハムシ: キタキイロネクイハムシの再発見)

 (2) 著者
  Naoyuki Nakahama, Ryosuke Okano, Yuichiro Nishimoto, Yusuke Nakatani, Asato Noishiki, Naoki Ogawa
  (中濱直之、岡野良祐、西本雄一郎、中谷祐輔、野一色麻人、小川直記)

 (3) 雑誌・号・doi
  雑誌:Entomological Science
  号:26号
  ページ番号:e12545
  doi:10.1111/ens.12545

4 問い合わせ先

 兵庫県立大学自然・環境科学研究所 講師
 兵庫県立人と自然の博物館 研究員
 中濱直之
 電話:079-559-2001(代表)
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