日本では61年ぶりとなるガロアムシの新種を北海道から発見
兵庫県立大学自然・環境科学研究所
兵庫県立人と自然の博物館
日本では61年ぶりとなるガロアムシの新種を北海道から発見
1 概要
中濵直之、山﨑健史(兵庫県立大学兼兵庫県立人と自然の博物館)、駒澤正樹(北海道旭川市)、中野隆文 (京都大学)らの研究グループは、ガロアムシ目昆虫2種類を北海道から発見、新種として記載しました。また新属 (エゾガロアムシ属Arctigalloisiana)を設立し、既知種のエゾガロアムシを含めた北海道産ガロアムシ目3種を新属に移動させました。
ガロアムシ目昆虫は日本から1属6種が知られているものの、分類学的な研究の遅れが指摘されており、新種として記載されたのは1961年のエゾガロアムシ Galloisiana yezoensisが最後でした。また北海道からは、石狩山地で先述のエゾガロアムシが知られるのみでした。本研究では北海道各地から採集されたガロアムシ目昆虫の形態や遺伝情報を詳しく解析した結果、北海道のガロアムシを新属Arctigalloisianaに含めるのが適切であるという結論に至りました。また、夕張山地からオナガエゾガロアムシ Arctigalloisiana yubariensis、日高山脈からオオエゾガロアムシ Arctigalloisiana poropnetopaをそれぞれ新種として記載しました。さらに石狩山地のエゾガロアムシはArctigalloisiana yezoensisという学名に変更になりました。これで国内のガロアムシ目昆虫は2属8種となります。
本研究は、分類学的研究が大きく遅れていたガロアムシ目昆虫のうち北海道の個体群を分類学的に整理した、今後のガロアムシ目研究を進めるうえで基盤となる重要な研究となります。またガロアムシ目昆虫は北海道に限らず、国内各地で多くのガロアムシ目昆虫が新種として記載されることが期待されており、本研究はその先駆けとなります。本研究成果は2022年11月11日に、国際科学誌「Zoologischer Anzeiger」の電子版に掲載されました。
2 詳細
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3 論文情報
(1) タイトル
Integrative approach clarifies the distinct taxonomic account of gryloblattids endemic to Hokkaido, Japan, with a description of two new species (Insecta, Grylloblattodea)
(統合的アプローチによる北海道産ガロアムシ目の分類学的な評価と2新種の記載)
(2) 著者
Naoyuki Nakahama, Takeshi Yamasaki, Masaki Komazawa, Takafumi Nakano
(中濵直之、山﨑健史、駒澤正樹、中野隆文)
(3) 雑誌・号・doi
雑誌:Zoologischer Anzeiger
号:電子出版のため未定
doi:https://doi.org/10.1016/j.jcz.2022.11.003
4 問い合わせ先
兵庫県立大学自然・環境科学研究所 講師
兵庫県立人と自然の博物館 研究員
中濱直之
電話:079-559-2001(代表)