ヒアリ燻蒸・殺虫法にマイクロカプセル化ワサビ成分を安全・簡便に活用する研究成果を発表しました
兵庫県立大学自然・環境科学研究所
兵庫県立人と自然の博物館
マイクロカプセル化ワサビ成分を安全、簡便なヒアリ燻蒸・殺虫法に
活用する研究成果の発表
1 概要
橋本佳明(兵庫県立大学自然・環境科学研究所准教授 兼 兵庫県立人と自然の博物館主任研究員)、坂本洋典(国立環境研究所 生物・生態系環境研究センター(生態リスク評価・対策研究室) 研究員)、五箇公一(同研究所 生態リスク評価・対策研究室 室長)、浅井ひろみ(株式会社PRD防カビ・抗菌事業部)、八十島将充(もりや産業株式会社)、Hui-Min Lin(Monster's Agrotec, Taiwan)らの研究グループは、天然由来の安全な防虫、殺菌成分である「ワサビ成分(AITC:アリルイソチオシアネート)」が、ヒアリの燻蒸剤として有効であることを明らかにしました。
ワサビ成分AITCは強力な防虫効果を持つ、天然由来の安全な成分であることは知られていました。しかし、その高い揮発性と強い刺激性のために、コンテナ貨物などの燻蒸に使われることはありませんでした。最近になり、細孔を有する樹脂でワサビ成分をマイクロカプセル化する技術が確立され(PATENT No. JP5033232B)、ワサビ成分の揮発量と徐放性のコントロールが可能となりました。今回、台湾で、マイクロカプセル化ワサビ成分を含有したペレットとガスバリアー性プラスチック袋を使った簡便な方法で、ダンボール箱内のヒアリの燻蒸実験を行いました。その結果、ヒアリを完全に燻蒸・殺虫できることが確かめられました。
本研究は、ヒアリが侵入したコンテナ貨物が直接、内陸部の倉庫などに運ばれる事例が発生した時に、誰もが、どこでも、安全に、貨物を燻蒸処理できる方法を示した重要な成果と言えます。さらに、食品にも使用されるワサビ成分は、薬剤による貨物の汚染を懸念することなく使用できる燻蒸剤として、多様な貨物のヒアリ燻蒸に活用されることが期待されるものです。
本研究成果は2020年4月24日に、国際科学誌「Applied Entomology and Zoology」のOnline firstとして、Springer.com(https://www.springer.com/journal/13355)に掲載されました。
2 詳細
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3 論文情報
(1) タイトル
The effect of fumigation with microencapsulated allyl isothiocyanate in a gas-barrier bag
against Solenopsis invicta (Hymenoptera: Formicidae)
(マイクロカプセル化ワサビ成分のヒアリ燻蒸効果)
(2) 著者
Yoshiaki Hashimoto, Hironori Sakamoto, Hiromi Asai, Masamitsu Yasoshima, Hui-Min Lin & Koichi Goka
(3) 雑誌・号・doi
雑誌:Applied Entomology and Zoology (2020)
号:電子出版のため未定
doi:https://doi.org/10.1007/s13355-020-00684-9
4 問い合わせ先
兵庫県立大学自然・環境科学研究所 准教授
兵庫県立人と自然の博物館 主任研究員
橋本 佳明
電話:079-559-2001
○マイクロカプセル化ワサビ成分に関する問合せ先
株式会社PRD 防カビ・抗菌事業部 浅井 ひろみ
〒579-8025 東大阪市宝町12-3
電話:072-984-3154 FAX:072-985-7088
○ガスバリアー性袋に関する問い合わせ先
もりや産業株式会社 八十島 将充
〒536-0011 大阪市城東区放出西3丁目10-7
電話:06-6969-9835 FAX:06-6969-2551