シカの侵入を防ぐ柵(防鹿柵)の設置は草原の植物や昆虫の多様性を回復させることを解明しました
兵庫県立大学自然・環境科学研究所
兵庫県立人と自然の博物館
シカの侵入を防ぐ柵(防鹿柵)の設置は
草原の植物や昆虫の多様性を回復させることを解明しました。
1 概要
中濱直之 兵庫県立大学自然・環境科学研究所講師 兼 兵庫県立人と自然の博物館研究員、内田圭 東京大学大学院農学生命科学研究科附属生態調和農学機構 助教、小山明日香 国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所主任研究員、岩崎貴也 神奈川大学理学部生物科学科特別助教、尾関雅章 長野県環境保全研究所主任研究員、須賀丈 長野県環境保全研究所自然環境部長らの研究グループは、シカの侵入を防ぐ柵(防鹿柵)を設置することで、草原内の開花植物や昆虫(チョウとマルハナバチ)の多様性が回復することを明らかにしました。
近年、ニホンジカの全国的な増加に伴う植生の破壊により、全国各地で植物や昆虫の多様性が減少傾向にあります。こうしたシカの多い地域における生物多様性の保全は喫緊の課題です。本研究では、比較的大規模な防鹿柵が設置されている長野県霧ヶ峰の草原において、柵の設置による開花植物やチョウ、マルハナバチの多様性の回復効果を検証しました。その結果、柵の設置により開花植物の種数、また花に依存するチョウやマルハナバチの種数と個体数が大きく回復していました。
本研究は、草原の生物多様性の保全のために防鹿柵設置が有効であることを示した重要な成果といえます。防鹿柵を日本各地の草原に設置することで、多くの草原の生物多様性が保全されることが期待されます。
本研究成果は2020年4月8日20時に、国際科学誌「Biodiversity and Conservation」の電子版に掲載されました。
2 詳細
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3 論文情報
(1) タイトル
Construction of deer fences restores the diversity of butterflies and bumblebees as well as
flowering plants in semi-natural grassland
(防鹿柵の設置は、半自然草原の開花植物、チョウ、マルハナバチの多様性を回復させる)
(2) 著者
Naoyuki Nakahama, Kei Uchida, Asuka Koyama, Takaya Iwasaki, Masaaki Ozeki, Takeshi Suka
(中濱直之、内田圭、小山明日香、岩崎貴也、尾関雅章、須賀丈)
(3) 雑誌・号・doi
雑誌:Biodiversity and Conservation
号:電子出版のため未定
doi:10.1007/s10531-020-01969-9
4 問い合わせ先
兵庫県立大学自然・環境科学研究所 講師
兵庫県立人と自然の博物館 研究員
中濱 直之
電話:079-559-2002