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双翅目 ユスリカ科 Chironomidae

ユスリカ亜科
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●体の特徴・生活の様子 

ユスリカ科は、日本からは7亜科約480種が報告されています。兵庫県では5亜科が確認され、このうちもっとも普通に見られるのがモンユスリカ亜科・エリユスリカ亜科・ユスリカ亜科です。兵庫県では百数十種の生息は十分に考えられます。


注)分布図:
ユスリカ科
幼虫
・ 河川、湖沼、海辺など様々な場所に生息します。
・ 主に泥の中、石の下、植物の間などで見つかります。
・ 体型は、イモムシ型に近く、足はありません。
・ 大きさは、1cm以下と小さい種類が多いです。
( 顕微鏡で見ると可愛いといわれます。)

成虫
・ サナギの段階を経て成虫になります。
・ カの仲間ですが、血はすいません。
・ 冬の間、小鳥の重要な餌資源となります。

生息環境:強酸性、高湿あるいは低温など、他の水生動物の生息を許さないような環境にも耐える種もあり、あらゆる水域に生息し、しばしば優占種となります。

生活史:交尾を終えたメス成虫は水辺に降りて産卵します。卵塊は寒天質に包まれています。約1日でフ化し、幼虫は寒天質を脱出、 2日目ごろから造巣を始めます。多くの種は微少な藻類やデトリタス(有機物残滓)を食べますが、なかにはモンユスリカ亜科のように捕食性のものもあります。幼虫は4回脱皮。都市河川に普通に見られるセスジユスリカの場合、春から秋にかけて5〜6回世代をくり返します。幼虫は約lヶ月で蛹化し、その後約1日で羽化します。水面に浮上した蛹は、ほとんど瞬間的に胸部背板が縦に裂開し、成虫が空中に飛び出します。成虫の寿命は数日のものが多いです。セスジユスリカなどでは、オス成虫がいわゆる蚊柱をつくりますが、これは生殖のための群飛で、早朝・夕方によく見られます。付近にいるメスがこれに飛び込んでオスと交尾しながら舞い降り、数分後離れて飛び去ります。

同定のポイント
・幼虫はよくキチン化した頭部と12の体節からなる単純で細長いイモムシ型。
・第l節と第12節にそれぞれl対の擬脚がある。
・色は白・灰色・褐色・赤などさまざまで、終令幼虫の大きさは種により5mmから20mmに達する。
・幼虫の形態で特に重要なのは、頭部腹面の下唇板・その左右にある下唇側板・大アゴ・触角・第11体節の血鰓の有無や形態・第12節の尾剛毛台など。
・モンユスリカ亜科は頭殻内部にある舌歯が目だつ。また、生きているときは頭殻両側に眼点があるが、アルコール標本などにすると消失する。
 
「相模川の水生動物」改変
●環境とのかかわり
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その他の写真

よく似た仲間と比べてみよう(幼虫の全形)
モンユスリカ亜科
Tanypodinae

エリユスリカ亜科
Orthocladiinae
ユスリカ亜科
Chironomidae
:体色は赤色〜黄色
よく似た仲間と比べてみよう(幼虫の頭部背面)
モンユスリカ亜科:頭殻に出し入れができる
エリユスリカ亜科:触角は長く,引き込めない
ユスリカ亜科:触角は長い種もある。引き込まれない。後頭縁両側に三角帯が発達する傾向
よく似た仲間と比べてみよう(幼虫の頭部側面)
モンユスリカ亜科:眼点は1対(円形やハート形)
エリユスリカ亜科:眼点は1対か2対で,2対の場合は上がり目(キツネ目)
ユスリカ亜科:眼点は2対か3対で、上下に並ぶか,下がり目(垂れ目)

よく似た仲間と比べてみよう(幼虫の頭部腹面)
モンユスリカ亜科:
・歯舌がある。
・上唇は膜質化し、付属器は退化的。

エリユスリカ亜科:
・下唇板の歯列は山形。
・下唇側板は単純な板状か退化。
ユスリカ亜科:
・下唇側板がよく発達し両側に張り出す。
・下唇側板は細いしま模様がある。
よく似た仲間と比べてみよう(幼虫の尾端)
モンユスリカ亜科:
・腹部第9節の尾毛台座が長大
・肛門鰓の先端が尖っている
エリユスリカ亜科:
・腹部第9節の尾毛台座は短い
・肛門鰓の形状は一定しない
ユスリカ亜科:
・腹部第9節の尾毛台座は短い
よく似た仲間と比べてみよう(その他)
モンユスリカ亜科:
・腹部体側に遊泳毛が発達する傾向
  エリユスリカ亜科:
・下唇板後方に剛毛がある種がいる
  ユスリカ亜科:
・腹鰓をもつ種がいる

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