ひとはく恐竜ラボで化石クリーニング道具を発明!国際誌発表および臨時展示開催のお知らせ
1.主旨
化石をクリーニングする際、世界中の博物館で愛用されている道具は「エアースクライブ」というペン型の小型削岩機です。従来では10 cm程度の長さがあり、複雑な形の化石や顕微鏡下での作業では扱いづらいという課題がありました。この度人と自然の博物館は、米国フィールド自然史博物館との共同研究によって、世界最小かつハンドルを取り付けることで作業角度を調整できるエアースクライブを世界で初めて開発し、『Palaeontologia Electronica』(査読付きオープンアクセス誌)に論文が掲載されました。これは100年以上変わらなかったエアースクライブの基本形を大きく改良した画期的な発明で、開発者の名前から「和田式エアースクライブ」と名付けられました。このような化石クリーニング道具の開発は、化石研究の質を向上させるために極めて重要な役割を果たします。2.論文タイトル
The challenge of hard-to-reach spaces in mechanical fossil preparation: Development of the Wada air scribe, a novel short-bodied air scribe with an adjustable handle【和訳】機械的化石剖出における到達困難な空間への挑戦:小型かつ調整可能なハンドル付きの新型エアースクライブ「和田式」の開発
3.掲載誌
Palaeontologia Electronica(オープンアクセスの査読付き電子ジャーナル)
※ 論文は無料で閲覧可能です(https://palaeo-electronica.org/content/2024/5151-wada-air-scribe)
4.執筆者
田中 公教1, 2、和田 和美2、新谷 明子3、池田 忠広1, 2※1兵庫県立大学;2兵庫県立人と自然の博物館;3フィールド自然史博物館
5.開発された道具
・和田式エアースクライブ(全長3.5cm、世界最小の削岩機)・ハンドル(和田式エアースクライブに取り付けることで握りやすく、化石クリーニングがしやすいように作業角度の調整が可能)
▲和田式エアースクライブ |
▲ハンドルを取り付けることによって、作業角度の調整が可能 |
6.研究のポイント
・手が届きにくい空間や顕微鏡下での化石クリーニングを効率良く行うことが可能な和田式エアースクライブを開発・和田式は摩耗や破損により短くなったエアースクライブ針を再利用可能
・和田式の詳細な設計図、作成工程、3Dモデルを公開
7.臨時展示「和田式エアースクライブ 化石クリーニングにおける到達困難な空間への挑戦」
(1)期間 令和6年3月1日(金)~9月1日(日)(2)場所 兵庫県立人と自然の博物館 3階 兵庫の恐竜化石展示室
(3)展示物 和田式エアースクライブ、その他参考資料数点、論文、パネル3点
8.担当
兵庫県立人と自然の博物館 自然・環境評価研究部 研究員 田中 公教兵庫県立人と自然の博物館 自然・環境評価研究部 主任研究員 池田 忠広