これはいったい何でしょう?
カビ?キノコ?いえいえ,これでも正真正銘「単子葉植物」です.
これは「ホンゴウソウ」.
先日,在野の研究者の方に自生地をご案内いただきました.
ホンゴウソウは兵庫県レッドリストでBランクに指定されている希少種です.
ご案内いただいたのは兵庫県内の2箇所で,いずれも,今までに報告されたことのない場所でした.新しい生育地の発見です!
開花中の個体のうち,数株を採集し,標本を作成しました.この標本は,ホンゴウソウが生育していることなどを示す重要な証拠として,人と自然の博物館標本庫で大切に保管されます.
さて,ホンゴウソウはどんな植物でしょうか.
全体が赤っぽい色をしていて,いかにも普通の植物ではありませんね.
実は,ギンリョウソウなどと同じ「腐生植物(ふせいしょくぶつ)」です.光合成をしないので,緑色の葉はありません.
指さしている辺りにある,丸い部分が雌花.その上に見える黄色の部分が雄花の葯(やく)です.
ご覧のとおり,とても小さな植物.よく見つけられたことだと,関心&感謝します.
今回の目的はホンゴウソウでしたが,ヒナノシャクジョウも見ることができました.
これも腐生植物で,兵庫県レッドリストでBランクに指定されています.左の写真では茎の部分が見えていますが,茎の部分は完全に土中に埋まっていることが多く,ふつう地表すれすれの場所に花が咲きます.
写真の左下に写っているのはスギの葉.ホンゴウソウほどではないですが,ヒナノシャクジョウも小さい植物であることが分かります.
帰りがけには,夏虫夏草も見せていただきました.
トゲアリにつく菌類で,クビオレアリタケという種類だそうです.
ホストのトゲアリは,潅木の枝にしっかりとしがみついています.クビオレアリタケが,より遠くへ胞子を飛ばすために誘導したのかもしれませんね.
ホンゴウソウなど,面白い生物を見つけたら是非博物館へ!みなさまからのご連絡をお待ちしています.
(自然・環境評価研究部 布施/自然・環境再生研究部 鈴木)