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ユニバーサル・ミュージアムをめざして4

 

ことばの整理

 

 

 バリアフリー・デザイン、ユニバーサル・デザイン、そしてユニバーサル・ミュージアムです。似たことばが飛び交っています。中には「インクルーシブ・デザイン」という聞き慣れないことばが使われることもあります。なれない「ことばの海」にアップアップしているのは、わたしだけではないしょう。

 

 そこで、このよく似たことばを、わたしなりに整理しておこうと思いました。まずはバリアフリー・デザインから。

 

 

◎ バリアフリー・デザイン

 

 日本には、いわゆる「バリアフリー新法」という法律があります。もともとは、道路や公共の建物などをきちんと整備して、高齢者や障がい者が使いやすく、安心できるようにするくふうの事です。ひとはくも公共の博物館ですから、バリアフリー・デザインでなければいけません。ですから、ひとはくの床には段差がなく、エントランスホールには視覚障がい者のための触地図があるのです(さわれなければ意味がありません。触地図の前には、視覚障がい者のじゃまになるものを置かないようにしましょう)。基本的にバリアフリー・デザインというのは、「高齢者や障がい者が通行や居住がスムーズにできるように、障害となっているものを取り除く」ということです。

 

 

◎ ユニバーサル・デザイン

 

 バリアフリー・デザインも高齢者や障がい者が使いやすく、安心できるようにするくふうなのですが、バリアフリー・デザインには批判があります。それは、「高齢者にせよ、障がい者にせよ、特定の人に使いやすいデザインであっても、まわりの人にはかえって使いにくいことがある」というものです。たとえば、わたし(三谷)が作ったひとはくブログのページ:

 

http://hitohaku.jp/blog/2010/06/post_754/

 

は、コミュニケーション障がい者には読みやすいだろうが、普通の人には読みにくいという批判をいただいています(どんな批判だったかは、

 

http://hitohaku.jp/research_collections/no22pdf/HN22_06_43_51.pdf

 

の表2にくわしく書いてあります)。それを防ぐため、障がい者に限らず、みんなが使いやすくしようと計画したのがユニバーサル・デザインです。

 

 自分自身が身体障がい者であったアメリカ人のロナルド・メイスという大学の教員で建築家が、「できるだけ多くの人が利用可能であるように製品、建物、空間をデザインすること」をユニバーサル・デザインと呼んだのです。ユニバーサル・デザインは、障害がある人やない人、年齢、性別、民族や母語はどうか、人種はどうかなどにかかわらず、さまざまな人がいっしょになって、快適に使えるようにしようという考え方です。

 

 

◎ インクルーシブ・デザイン

 

 インクルーシブ・デザインは、いちばん新しい概念だと思います。発祥の地かどうかはわかりませんが、現在ではイギリスで広がっている運動のようです。「いろいろな人が使いやすいように」というのはユニバーサル・デザインと同じですが、ユニバーサル・デザインでは「いろいろな人が使いやすいように」するために、美的には劣るものになっていたり、自分は使いたくない・行きたくないと感じる場合があります。それを防ぐために、作り始めから高齢者や障がい者などいろいろな立場の人が、デザイナーなどといっしょになって計画し、みんなが美しい、あるいは、みんなが使いたいとか、行ってみたいと思うようなデザインを創造するという理念です。

 

 ユニバーサル・デザインはユニバーサルデザインの7原則に固執するあまり、「美的には劣るものになっていたり、自分は使いたくない・行きたくないと感じるものになっている」場合があるという批判です。ユニバーサルであっても、きれいなものやかっこいいものの方がいいですものね。

 

 ユニバーサル・デザインとインクルーシブ・デザインは、求めているものは同じですが、求め方には、少し違いがあるようです。

 

 

*「ユニバーサル・デザインの7原則」

 

どんな人でも公平に使えること

使う上で自由度が高いこと

使い方が簡単で、すぐに分かること

必要な情報がすぐに分かること

うっかりミスが危険につながらないこと

身体への負担がかかりづらいこと(弱い力でも使えること)

接近や利用するための十分な大きさと空間を確保すること

 

 

◎ ユニバーサル・ミュージアム

 

 そして、ユニバーサル・ミュージアムです。ユニバーサル・ミュージアムという言葉は、ユニバーサル・デザインから生まれました。元神奈川県立生命の星・地球博物館研究員の奥野花代子さんによると、それまでは展示ケースのガラスや車いすの視線位置などをまったく考慮してこなかった博物館だが、障がい者をはじめ、いろいろな人の使いやすさを考えて、生命の星・地球博物館ができたそうです。

 

 これとは別に、初代館長が視覚障がい者の梅棹忠夫さんが基礎を築かれた国立民族学博物館でも、障がい者、異なる民族、無国籍の人など、さまざまな人が研究者として在籍しています。たとえば座頭市流フィールドワーカーとして有名な広瀬浩二郎さんは、全盲の民族学者です。国立民族学博物館は、もともと異文化には理解があったでしょうが、館長が障がい者だと、館員の障がい者に対する理解も、こなれたものになっているのでしょうね。(わたしをはじめ)障がい者は、ある意味で「異民族」です。

 

 現在は「ユニバーサル・ミュージアム」を標榜する博物館(や美術館、図書館)が、あちこちにできました。人と自然の博物館は、今はまだ「ユニバーサル・ミュージアムをめざして」いるのですから、道半ばと言えそうです。いろいろな来館者が訪れる博物館や美術館では、ユニバーサル・デザイン(やインクルーシブ・デザイン)が求められています。

 

 それに博物館には展示や展示の説明、印刷物、ネット情報などの、あれやこれやがありますが、人と自然の博物館ではこれらのユニバーサル化を考えなければなりません。

 

 わたしが、「ユニバーサル・デザイン(とかインクルーシブ・デザイン)」という言葉ではなく、あえて「ユニバーサル・ミュージアム」という、あまり聞き慣れない言葉を使ったのは、博物館に「ユニバーサル・デザインを考慮した道路や建物」と同じ扱いをしたのでは、(来館者はもちろんのことですが、館員も)あまり居心地がよくないと思うからです。

 

三谷 雅純

みたに まさずみ

 

       今年の桜の開花は ちょっと遅れ気味ですね〜

  でも 春が来た〜♪ ひとはくに来た〜♪♪〜 ♪〜

 

春のモビール

 1本の糸とピンクや青色の紙で桜のモビールを作りました。

女の子3人姉妹

 

おじいちゃんと一緒にチョキチョキ〜おじいさんとお孫さん

男の子ふたり

みんなのサクラ最高! 3人

 

 

 

 

 

    次回のうきうきワークショップは 

 4月7日(土)10時30分から4時まで

       4階ひとはくサロンにて

「きょうりゅうのジオラマをつくろう」です。

 みなさん きてね〜\(^o^)/

       フロアスタッフ ありむら・ おの

セミナー B02:マツバラン観察会のご案内

4月22日(日)に姫路市の北、旧新宮町嘴崎の屏風岩周辺でマツバランの観察会を行います。

午前10時にJR姫新線の東嘴崎駅集合、マツバランを観察し、本龍野へ移動、醤油博物館や鶏籠山を観察します。

参加費:500円

申込はこのホームページからできます。

psilotum.jpg

嘴崎の屏風岩に生えるマツバラン(新宮町指定天然記念物)

根も葉もない、茎だけからなる原始的なシダ植物です。

茎は原始的な分枝方法である、二叉分子を繰り返す。

(イチョウの葉の葉脈も二叉分子です)

他に、イワヒバ、ツメレンゲなども見られます。

この季節は、川沿いでクサソテツの新芽が採れるかも。

                   (再生研:藤井俊夫)

セミナー

B06: 山陰海岸植物観察会(春:2日間)の案内

セミナーガイドにも載っていますが、宿泊を伴い、申込期限も短いので、このブログでもお知らせします。

5月12日(土)、13日(日)の二日間にわたって、山陰海岸の春の植物を観察します。

 5月12日(土)13:00−17:00 JR竹野駅集合・解散

 5月13日(日)10:30−16:00 JR諸寄駅集合・解散

二日間で、参加費2000円です。(1日だけの参加は1000円)

宿泊施設は、各自手配をお願いします(紹介はします)

セミナーの申し込みはホームページからできます。

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竹野町の猫崎半島に群生する暖温帯性のムサシアブミ

対馬海流の影響を感じさせられる

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日本海側の福井県から鳥取県までの岩場に生えるタンゴイワガサ

(ミツバイワガサ):イワガサの変種で、海岸に見られる。

浜坂町諸寄の城山海岸で。           再生研:藤井俊夫

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展示のまえで体験をともなって、楽しみながら学ぶことができる「フロアスタッフと遊ぼう」に新しいプログラム「川でさかなつり」が加わりました。これまでのプログラムを大幅に改訂したもので、ちょうど川にすむ生き物と餌の関係を釣りゲーム形式で楽しむものです。

ちょうど昨年の8月頃から企画と準備をはじめて、1月末にキットが完成(全部スタッフの手作りなんです!)、2月にデモンストレーションを何度か行い、ようやく通常メニューとなりました。事前演習を繰り返し、うまく釣れなかったり、釣れすぎた部分を改造したりと、結構手が込んでいます。昨日のイベントは満員御礼で、定員に限りがあるため、釣りに参加できなかった子どもさんもいて残念、ごめんなさい。

kawaturi_setsumei1.jpg

まずは、フロアスタッフの松田さんによるルール解説です。今回のプログラムづくりでリーダです。
展示の前で解説するのがポイントです。

kawaturi_card.jpg kawaturi_esa.jpg 

上の写真にあるような指令が書かれたカードを最初にもらい、餌となるカードを選んで釣り糸の先につけ釣る訳です。
指令カードにある魚をつるために、必要な餌を自力で選びます。餌には、フックや磁石などのカラクリがついていて、魚の種類と合致しないと釣れないようになっています。魚は種類ごとに上流から下流へと適地に配置されています。

kawatsuri3.jpg    kawatsuri_2.jpg

こんな感じで指令カードにしたがって釣って行きます。無事3匹つれると、ちゃんと釣れたか鑑定です。指令にある魚の種類は、ちゃんと上流〜下流に棲み分けていて、学習してないと効率よく探せません。

kawaturi_kinen.jpg

なんとか大物が釣れました。ぜひ次は実際の川で釣りに行ってくださいね。

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最後は学習します。どうして、アユはアユで釣れたのか、外来種ってなに、そんなことを紙芝居で解説します。学習を後にまわすことで体験と知識が合致しやすくなります。

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展示スペースと隣接したところでのワークショップ・プログラムですので、まわりの標本や展示をみながらも発展的に学ぶことができます。餌が間違っていたり、魚を見分けられないと、子ども達はお父さん、お母さんにたずねることになります。そうすると、みんなで一緒に川の生き物について学ばざるを得なくなります。親子で学ぶための仕掛けも、このプログラムの特徴です。
おかげさまで、初日ですが、トラブルもなく大いに盛り上がりました。

川の魚には、外来種、絶滅危惧種(レアアイテム)、回遊魚などもあり、もう少し高学年の子ども達の団体来館のときには、環境との関わりを含めた発展プログラムも用意してあり、Questionに対してActするかたちのプログラムの基本形がなんとか完成しました。

当館の中期目標(平成24年度まで)のなかでの重点項目として、常設展示を使った演示と来館者とのインタラクティブな交流を促進するプログラムづくりが目標に掲げられていますが、23年度中に原型ができて、あと一年引き続いて実施したのちに見直しや改良をかけてゆきたいと思います。

 → 川でさかなつりのスケジュールはコチラ(うきうきカレンダー)をご覧ください!

(みつはしひろむね)






 

 

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