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トライやる1日目!

2012年5月29日
今年もトライやるウィークとして、西谷中学、ゆりのき台中学、長坂中学、八景中学、富士中学から10名の生徒さんがやってきました。学校とは違い、慣れないことも多いと思いますが頑張ってください。
トライやるウィークが始まりました。まずは、職員の前で元気よく自己紹介からスタートです。

0529_3011.jpg
0529_3017.jpgのサムネール画像

カビや虫を除去するために年に1回の虫干しを手伝ってもらっています。
アルコールを湿らせた布で、資料(本)の周囲を拭いてもらっています。








0529_3019.jpgのサムネール画像標本作りのため昆虫採集に取り組んでいます。
今日は、ケヤキの先端を食う幼虫が成虫になったアカアシノミゾウムシが多いとのことです。
1週間違うと生態も変わる・・・

0529_DSC01959.jpgのサムネール画像




アカアシノミゾウムシがいる特徴は、
ケヤキの葉から出てくると葉が縮れてるのが特徴だそうです。








0529DSC_3020.jpg            ちょっと見づらいけど、これはヨコヅナサシガメでカメムシの1種
         サシガメとしては日本中で最大級!他の虫の体液を吸って成長するとのこと

              よく見ると周りにはいろんな虫がいるのですね・・・

                                           情報管理課 さかうえ






トライやる・ウイークです

 ひとはくは、今日からトライやる・ウイーク

 宝塚市立西谷中学校・三田市立ゆりのき台中学校・三田市立長坂中学校・三田市立八景中学校・三田市立富士中学校 の5校から中学校2年生が来ています。

 ひとはくにお越しになって体験中の中学生を見かけられたら、是非励ましのお声掛けをお願いいたします。

 

生涯学習課:トライやる・ウイーク担当 

5月26日土曜日 丹波市山南町「ちーたんの館」で行われた化石発掘報告会に行ってきました。

第6次発掘調査結果では、発掘面積7平方メートルに対して、2011年12月11日から2012年1月15日までの25日間、のべ139名を動員して、6点の化石が確認されたとのことです。詳しくはひとはくのHPをご覧ください! →  http://hitohaku.jp/top/kaseki_20120526news.html

DSC_0526.jpgのサムネール画像これまでに篠山層群で確認された恐竜化石の種類は
 獣脚類 3種類(ティラノサウルス類、テリジノサウルス類、その他獣脚類)
 鳥脚類 1種類
 角竜類 1種類
 竜脚類 1種類
 曲竜類 1種類  の計7種類が確認されているそうです。

また、個人的にはかつての通勤経路を6年ぶりにR176で丹波方面へ北上、風景が懐かしく感じられました。

帰りには「たんば竜パイまんじゅう」を手土産に帰りました。味は粒あんとしっとりしたパイ生地の相性が絶妙と評判です!

                                             情報管理課 さかうえ











福知川の護岸修復工事の時に、工事現場に入らせていただき、福知泥炭層の調査をしました。このときに地層のはぎとり標本を作りました。地層の標本とはどんなものでしょう。

 

201205hagitori1.jpg

川岸を重機で掘ったところの写真です。地層の断面に黒い層があらわれました。よく見ると、人の身長よりも高くまであります。この黒い層が泥炭層です。

 

201205hagitori2.jpg

1m、高さ2mの大きさで地層の標本を作ることに決めました。はじめに表面を平らにけずってととのえます。高い所がとどかないので、両わきにはしごを立てました。

 

きれいにけずったら、しましまが見えてきました。白いところはけずるとじゃりじゃりします。これは砂の層です。黒い泥炭層がたまる途中で、くりかえし何度も砂が流れてきてたまったことがわかります。

 

 

 

201205hagitori3.jpg次に、地層の表面にはけで樹脂をぬっていきます。これはトマックといい、水と反応して固まる接着剤です。上から順番に、いちばん下まできれいにぬります。加藤研究員、両手をはなして作業しているけれど、落ちないでね!

 

いちばん下まで樹脂をぬったら、次に補強用のうすい布を同じ樹脂で1枚ずつはりつけます。少しだけ重なるようにはるのがコツです。大きな布1枚をはりつけてもいいのですが、小さい布のほうが手早くきれいにつけられます。

201205hagitori4.jpg全面にきれいにはりつけたら終了です。あとは乾くのを待つだけ。

 

さあ、乾いたら上からはがしていきましょう。やぶれないように、少しずつ慎重に!

 

201205hagitori5.jpg白い樹脂の裏側に、地層がきれいについてきています。やったー!

樹脂の量はちょうどよかったようです。布もやぶれずにうまくはがせそう。

 

201205hagitori6.jpgカッターで切っているのは木材です。泥炭層に木材化石が入っていました。そのまま引っぱると木材がはぎとり標本からはがれてしまうので、はぎとり標本のほうに木材が残るように切りました。

 

201205hagitori7.jpgはぎとり標本をはがし終わったあとです。この地層の表面の厚さ数ミリが、はぎとり標本についているわけです。

はぎとり標本は、博物館に持ち帰り、洗って表面を整え、板にはりつけました。

ミニ企画展「宍粟市でみつかった9000年前のタネ・はっぱ・虫」では、このはぎとり標本を展示します。できばえの気になるあなた、はぎとり標本を見にきませんか。

 

自然・環境評価研究部 半田久美子

 

ユニバーサル・ミュージアムをめざして7

 

さまざまな色覚−2

 

 


 今回書くことは、クラスでプリントを配ったり、色チョークを使ったりする学校の先生にも、きっと役立つはずです。先生が配色を考慮してくれたら、しなくてよい苦労をせずにすむ生徒は、どこのクラスにもいるのです。前回から書いていることは、博物館に関係した方だけでなく、まだ色覚のことにくわしくない学校の先生にも、読んでいただきたいのです。

 

 

 さて、

 

 インドネシア、ジャワ島のパンガンダランという海岸近くの森に住むカニクイザルは、たいていは3色型色覚ですが、たまに2色型色覚のオスがいます。2色型色覚では、光の具合によって赤と緑の区別が難しいのです。皆さんは、そんなカニクイザルは、さぞかし緑の木の葉の中からでは赤い実を見つけるのに苦労していると思ったことでしょう。ところがそのカニクイザルは、3色型色覚のカニクイザルと同じように、何の不自由もなく、赤いおいしい実をじょうずに選んで食べていたそうです。2色型の色覚は、森で生きていくのに、たいして問題にはならないのでしょうか?

 

male97Jan31.jpg 

 ヒトの色覚は遺伝的な多様性を示します。血液型と同じことです。ヒトは霊長類ですが、カニクイザルをはじめ多くの霊長類の仲間でも基本は同じです。多くの3色型色覚の個体がいて、少しだけ2色型の個体がいる。ヒトの2色型色覚は男に多く、女には少ないのですが、それも同じだと思います。この色覚の多様性は、自然の中では問題になりません。

 

 ヒトは、長い間、狩猟採集生活をしてきました。その生活は、何万年か、何十万年か、ことによると、何百万年よりももっと長い間続けてきたのかもしれません。チンパンジーはさまざまな動物を捕(つか)まえて食べてしまいますが、チンパンジーの〈狩り〉を「狩猟」と呼ぶのなら、ヒトの狩猟もチンパンジーの時代から続いてきた事になるからです。そんな長い時間を、ヒトは色覚を意識せずに暮らしてきました。農耕が起こってからも同じです。

 

 くわしく説明しましょう。ものごとの性質は色だけで決まるわけではありません。つややかな光沢や新鮮な匂い、触った時の張りのある感触でも、おいしいか、おいしくないかがわかります。役に立つか、立たないかがわかるのです。ヒト本来の狩猟採集生活や農耕生活では、このような色以外の手がかりがあって、3色型色覚であるとか、2色型色覚であるとかに関わりなく、生活ができたのです。

 

 それではなぜ、現代に生きる人は2色型色覚を問題にするのでしょうか? それは、印刷したりテレビやコンピュータの画面に映ったものには、色以外の手がかりがないからです。

 

 いくらおいしそうに印刷してあっても、印刷物は実物とは違います。料理をテレビやコンピュータの画面に映しても、おいしそうな匂いまでは再現できないのです。

 

 わたしたちの回りには、印刷したものや画像があふれています。人と自然の博物館も同じです。パンフレットや展示解説にしても、情報端末(じょうほう・たんまつ)と呼ばれるコンピュータの画面にしても、2色型色覚を意識しなければ、きっと見にくい来館者がいるのです。そしてそんな人は、多数者が想像する以上に多いのです。

 

 3色型色覚の人が2色型色覚の人の見え方を体験する事は可能でしょうか? 3色型色覚の人用に2色型色覚の人の見え方を、擬似的(ぎじてき)に体験できるコンピュータ・ソフトがあります。わたしがよく使っているのは、Windowsで使えるカラードクターというソフトです。

 

カラードクター 2.1 for Windows

 

 これ以外にも、さまざまな色覚シミュレーション・ソフトが公開されています。有料のものや無料のものがあります。お好きなものをお使い下さい。

 

いろいろな色覚シミュレーション・ソフト

 

 ためしに、わたしが撮った博物館での野外活動のようすを、色覚を変えて見てみましょう。写真の左側が3色型色覚の人が見た時のようす、右側が2色型色覚の人が見た時のようすです。

 

comparison_Color vision.JPG 厳密には、2色型色覚といっても、びみょうに異なる色覚があるのでますが、ここでは代表的な色覚を取り上げました。くわしくは、カラー・ユニバーサルデザインの解説を見て下さい。

 

カラーユニバーサルデザインとは?

 

 このふたつの図の比較で、2色型色覚の人は、(1)赤が黒っぽくなって目立たないこと、(2)緑の葉は黄色く見える事、一方、(3)中央の青いブラウスの色はそのまま見えているがわかります。つまり、赤と緑は区別しにくいが、黄と青は見やすいのです。

 

 この色の特性を考えて、色づかいのユニバーサルデザイン、つまりカラー・ユニバーサルデザインでは、どういう色を使えば多くの人に見やすくなるかが岡部正隆さんと伊藤啓さんの書かれた論文(岡部・伊藤,2002 細胞工学 21)に載っていました。紹介します。

 

岡部・伊藤,2002 細胞工学 21: 1080-1140

 

 実際、どう見えるのかは2色型色覚の方に聞いてみるのが一番ですが、要は、色づかいでは、赤や紅色は避ける。使う場合はオレンジや赤紫をつかう。緑は避けて、使いたい場合は青や水色をつかう。青緑は灰色と混同しがちなので、青にしてしまう、といった事がポイントとして載っています。

 

color_Barrier free.JPG 

Barrier free.JPG わたしはこのような注意点だけでは不安なので、念のために色覚シミュレーション・ソフトを使っています。色のついたプリントを配るのなら、皆さんもシミュレーション・ソフトを使って、自分とは違う色覚の人がどのように見えているのかを確かめてみるといいと思います。

 

三谷 雅純(みたに まさずみ)

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