兵庫県生活衛生課によると兵庫県で最も多いキノコ中毒は「ツキヨタケ」によるものだそうです.
ツキヨタケは夜光るキノコとして有名ですが,昼間はシイタケ風の茶色いキノコで,一見食べられそうです.
ツキヨタケの上面(写真左)とツキヨタケの下面(写真右).大きさ12cm位だった.三川山で撮影(クリックすると写真が大きくなります).
上の写真は典型的なツキヨタケを撮影したものですが,たまに上面の色(=カサの色)がかなり薄く,黄土色のツキヨタケも見かけます.そんな個体はムキタケという食べられるキノコにとてもよく似ています(大学生の頃,私も危うく食べてしまうところでした).ムキタケとツキヨタケは混生することもあるので,とにかく素人判断で食べたりしないでくださいね.
兵庫県生活衛生課のホームページに「食べてしまった時の対処法」「中毒の予防法」「毒キノコの紹介」」掲載されています. 是非見てみてください.
→毒キノコによる食中毒について(兵庫県生活衛生課のページ)
また,今週土曜日(2007/2/23)から開催される企画展「クリプトガミックボタニー」ではツキヨタケのフリーズドライした実物標本が展示されています.この企画展は,花の咲かない植物の多様性や面白さを紹介したものなので,特に「有毒/無毒」の視点ではキノコを紹介していませんが,ツキヨタケの大きな特徴である「ツキヨタケを切断したときに現れる柄の黒いしみ」を見てもらうことができます.
→企画展「クリプトガミックボタニー 隠花植物の不思議な世界」
是非お越しください.
布施静香(自然・環境評価研究部)
企画展「クリプトガミック・ボタニー」に登場するキノコついて紹介します。
まずキノコの形をイメージしてみてください。
一番簡単なのは椎茸やシメジのような形でしょうか。傘と柄があって、傘の裏に
はヒダがあって、ヒダから胞子が出る、大体そんな形ですね。
しかし、舞茸を見てください。胞子が出てくるはずの“ヒダ”がどこにもありません。
実は舞茸はヒダのかわりに管孔(かんこう)と呼ばれる穴がたくさんあり、そこか
ら胞子を出しているのです。
キノコには面白い胞子の出し方をするものがあります。例えばキヌガサタケの胞
子は臭い粘液に混ざっています。キヌガサタケが成熟すると臭い粘液がドロリと
出てきて、蝿が群がります。胞子はその蝿によって運ばれて行くのです。また、
チャダイゴケの仲間はコップ状の体の中に碁石のようなものが入っています。こ
の碁石は胞子の塊で、雨がコップの中に落ちることで弾き出され、散布されると
考えられています。他にも体の中から胞子を噴き出すキノコなどがあります。
キノコの中には面白い生活を送るものもいます。その一つが冬虫夏草です。
冬虫夏草は生きた虫の体に寄生して生えるキノコの総称です。かつて「冬は虫で
夏は草(キノコ)になる」と考えられていたため、このような名前がつけられました。
昆虫の口や、呼吸をする気門といった部分から菌が入り込み、体液によって移動
しながら脂肪組織やタンパク質を分解して成長します。やがて昆虫が死に、体中
に菌糸を張り巡らせます。 充満した菌糸体は成熟し、昆虫の外皮の弱い部分を突
き破ってキノコ(子実体と呼ばれる部分)を伸ばすのです。
企画展では、キノコの標本や拡大模型を展示しています。
ちょっと異様で面白い生物の世界を楽しんでください。
自然・環境評価研究部 布施 静香
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企画展「クリプトガミック・ボタニー〜隠花植物の不思議な世界」
開催期間 2月23日(土)〜8月20日(水)
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企画展「クリプトガーミック・ボタニー 隠花植物の不思議な世界」のセミナークラブ会員向けプレビューが行われました。
多数の会員が来られ、研究員の解説に耳を傾け、写真を撮ったり、アンケートに意見を書いたり、熱心に見学されました。
クリプトガーミック・ボタニーという言葉は「隠花植物学」といわれ、コケ植物、シダ植物、藻類、キノコなど花の咲かない植物を研究する学問のことです。
会場にはコケや菌類の美しい写真、キノコのフリーズドライ実物標本、冬虫夏草の拡大模型、巨大コンブとワカメ、キノコ染めの作品など、おもしろいものがたくさん展示されています。
隠花植物の色や形には、花の咲く植物とはまた違う、独特の美しさ、不思議な生活様式などがあります。
2月23日から一般公開いたしますので、皆様ぜひおいでになって、不思議と美の世界をご覧ください。
高橋 晃(企画調整)
今日のひとはくは「共生のひろば」の発表者でいっぱいになりました。
「共生のひろば」というのは、幅広い年齢層や県内各地の個人あるいはグループが、地域の自然や身の回りのことを調べたり、活動してきたことを発表する場として、年に1回、2月11日に開催しているものです。
第3回目の今年は、参加者が多くなったので会場をホロンピアホールに移して行われました。150名以上来られたのではないでしょうか。口頭発表の発表者のなかには、朝、会場をみて驚かれた人も居ましたが、皆さん落ち着いて発表されました。
発表者は就学前の小さな子から小・中学生、高校・大学生、主婦、さらにはお仕事をもっている現役の方から70歳を過ぎた高齢者の方まで幅広く、したがってテーマも本当にさまざまです。
口頭発表が19題、ポスター発表が26題あり、ポスター会場ではポスターというよりショーウィンドウの中の展示のようなものもあり、たいへんカラフルで楽しい展示が出来上がりました。
発表会の終了後はひとはくサロンで茶話会が催され、発表者やグループの人たちに館員も混じって交流しました。気の早い人はもう来年の調査をどうするか、という話題で盛り上がりました。皆さんとても元気で活力がみなぎっていました。
最後に、今日の発表のなかから優秀な発表として次の3題に館長賞が贈られました。
「亜熱帯性の蛾イチジクヒトリモドキの兵庫県姫路市における発生状況:占部晋一郎(テネラル)」(口頭)
「有馬富士公園湿地ゾーンにおけるインタープリテーションの提案:大根裕士ほか(淡路景観園芸学校・神戸学院大学)」(口頭)
「いのちの宝庫・湿地:西村朱吉史(平成19年度湿地管理に関する勉強会)」(ポスター)
そして次の4題にユニークな発表として名誉館長賞が贈られました。
「網を持って逆瀬川へ行こう!家族で燃えたミヤマアカネ・マーキング2007:清水知子ほか(あかねちゃんクラブ)」(口頭)
「run♪run♪plazaが拓くジュニアナチュラリストの未来:小西真弓(run♪run♪plaza)」(口頭)
「空木という名の植物 茎の中は空洞か?:西野眞美(植物リサーチクラブ)」(ポスター)
「鳴く虫マップ2007 神戸市北区道場町日下部の有野川周辺:宮武美恵子(鳴く虫研究会「きんひばり」)」(ポスター)
「共生のひろば」は来年度も同じ日、2月11日(祝)に開催します。参加してみたいと思われる方は、とりあえず当館や県下各地で行っているセミナーや観察会、イベントなどに参加して研究員に声をかけてみてください。新しい世界を知るきっかけが必ず見つかると思います。
(高橋 晃・企画調整)