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六甲山のキノコ展 〜ミニ展示ガイド 【vol.2】〜
 〜イボテングタケ編〜

ibotenngu.JPG 女子A 「このキノコ、クランチが乗っていて美味しそう〜」
 女子B 「ほんまや チョコレートクランチや」
 講師A 「これ毒キノコですよ」
 女子B 「ひえ〜!」
 講師A 「食べても死ぬことはたぶんないけど」
 女子B 「違うんです。虫がいっぱい出てきた!!」
 女子A 「私は食用キノコでも虫がいたら絶対食べへンわ」
 教師A 「そうゆうのはムシ」
 女子A 女子B「・・・・・・・・・・」

御影高校の皆さんは、こんな感じで六甲山の山中にて、キノコ採集に勤しんでおられました。真面目にやってるのかどうか、ちょっと微妙なところはありますが、生物の見た感じの感想を周りの人に伝えることは、名前を覚える上ではとても重要な方法です。
ちょうど、ワインがテーマの某ドラマで、「まるでアーモンドのように香ばしく、カシスと柑橘の甘いニュアンスが鼻腔をくすぐり・・・」ってな感じで(真面目に)ワイン評論しているのと同じですね。
そういえば、うちの某研究員のため池調査の野帳に、「ヒモ付きウジ型宇宙人A」という種名が書いてありましたが、「もしかしてハナアブ?」って聞いたらビンゴでした。
こういう感性は大事にしたいものです。
ぜひ、謎の生物をみたら、講評してみてください。
ワインを評論するソムリエに、生き物観察の案内役となる学芸員も習うべきことが多い気がします。

さて、2回目に詳細するのは、上の写真にあるイボテングタケです。名前からして毒っぽい気が・・・。
では、兵庫きのこ研究会の山上さんに解説してもらいましょう。

● イボテングタケ Amanita ibotengutake 
従来テングタケと言う和名で呼ばれていた種で、形態の違いから広葉樹タイプと針葉樹タイプなどと呼ばれていたものを、最近(2002年)の研究でテングタケ Amanita pantherina から独立してイボテングタケ  A.ibotengutake(アマニタ.イボテングタケ)として独立させて新種となりました。関西の里山ではイボテングタケの方が圧倒的に多く観察されます。夏になるとビックリするほど大量発生する事も有ります。この種は、有名な毒キノコのベニテングタケより毒性は強いと言われており、中毒症状は下痢嘔吐、異常発汗、縮瞳、錯乱、興奮、痙攣などで時には昏睡、呼吸困難その他で、まるでキノコ中毒のデパートです。怖いですね!!恐ろしいですね!!

そうです、キノコと言えば毒。
ときどき、毒キノコなんて珍しいという人もいるみたいですが、一面毒キノコということもありそうです。チョコレートクラチみたいといって、勝手な想像で食べないでください。
それと、キノコの分類学的な研究はまだまだ発展途上で、種名がついていない種もたくさんあります。毒キノコであたり一面に生えるような種なのに、2002年になって、やっと正式に名前がついたそうです。

ibotengutake_sp.jpgさて、このキノコの標本の写真はこちらです。
じつは、ちょっと製作に失敗しています。一番右のものは、柄の部分と表面にPEG(ポリエチレングリコール)とシリコン樹脂を塗り過ぎて、シナっとなってしまい、傘が直立しておりません。左はしの標本も同様です。キノコの種類にもよりますが、柄の部分が内部的にスカスカだったり、繊維構造が粗な場合には、標本作製が難しくなります。展示をごらん頂ければ、他にも柄の部分が折れやすい種があるのが、容易にわかるかと思います。この標本は、作成の難易度★★★★(5点満点中)です。
次回は、カイガラタケを紹介したいと思います。

もっと兵庫のキノコを知りたいひとは、「兵庫キノコ研究会」の美しいホームページをご覧ください!
http://www.hyogo-kinoko.jp/

【注意】
キノコの鑑定には十分な注意が必要です。初心者が、ホームページや図鑑を見て、食用できるかどうかを判断することは、大変危険です。食用と判断できない時は確実に鑑定できる専門家に尋ねてください。素人判断で食用することで、毎年のように死亡事故が発生していますので、不用意に食べることはお控ください。

(みつはし ひろむね)



 

2月21日、22日と豊岡市で豊岡KODOMOラムサール交流会が開催されました。
このもよおしは、鳥取県中海、滋賀県琵琶湖、そして豊岡の子どもたちが交流するイベントで、
豊岡市の依頼で、ひとはくの謎の講談師、河南堂珍元斎も参加しました。

郷公園の餌の時間に舞い降りるコウノトリ。飛ぶ姿は優雅でした。

  kounotori-thumb.jpg  

 

 

 

 

 

 

 

 

 




コウノトリ郷公園や文化館の見学ののち、城崎町戸島に整備中のハチゴロウの戸島湿地を見学。
工事中に一時避難していたナマズやフナ、コイをみんなで放流しました。

ナマズさん、元気でね・・・

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観察小屋。なんと浮いています。
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観察小屋の中。こうやってコウノトリを観察します。ちょっと怪しい3人組・・・。
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コウノトリたちも、かつてここをえさ場とした「ハチゴロウ」に見習ってえさを取りにきています。 hachi-thumb.jpg





















円山川の加陽の堤外田ビオトープには親子3羽のコウノトリが子どもたちを出迎えました。
ここはなんと15ha以上の大規模な湿地となるそうです。
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そして翌日、交流会のメインイベントです。まずは、珍元斎の「時空をこえたハチゴロウ」です。
2年前に豊岡で死んだ野生のコウノトリ「ハチゴロウ」は実は元兵庫県知事「坂本勝」が、「コ
ウノトリと共に暮らすということはどういうことか」を伝えるために過去から派遣したタイムトラベ
ラーだったという設定で、いろんな生き物が共に暮らす生物多様性のすばらしさやコウノトリ野
生復帰の取りくみの歴史を語りました。うまく伝わったでしょうか・・・。
kodomoram4-thumb.jpg





















ひとはくの収蔵庫に大切に収蔵されている但馬最後の野生のコウノトリも紹介しました。
さすが、自然を愛する子どもたち。ひとはくの事知ってくれてました。「うれしい!」
でも、「ひとはくはどこにある?」と質問したら「神戸!」と元気なこたえ・・・。ちょっとショック・・・。


収蔵庫にある但馬最後の野生のコウノトリ。(非公開)
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ひとはくにある「コウノトリ展示コーナー」。羽の封入標本は見事なアートです。ぜひみてください。

konotoritenji-thumb.jpg


















ラムサール条約登録湿地の中海と琵琶湖の子どもたちが、自分たちの取り組みを紹介。
なんとコウノトリは中海にも琵琶湖にも飛んでいってました。コウノトリがつなぐ子どもたちを
をつなぐ縁・・・「コウノトリ大使」はすごいなあ・・・。

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中貝豊岡市長にみんなでメッセージを渡しました。これは3月下旬までコウノトリ文化館で
展示されてます。
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さいごはみんなで記念撮影。
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今年の秋(9月23日〜11月23日)には、ひとはくでも、コウノトリ写真展「コウノトリのいる風景」
がやってくる予定です。
もしかしたら、本物のコウノトリも、深田公園に舞い降りるかもしれません・・・いや、舞い降りたら
いいなあ。せめてコウちゃんでも・・・。乞うご期待!
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ファーブルTF 川東丈純

六甲山のキノコ展 〜ミニ展示ガイド 【vol.1】〜
 〜カラカサタケ編〜

ただいま、ミニ企画展と称しまして、博物館の4Fひとはくサロンでは、御影高校・兵庫きのこ研究会との共催によります「六甲山のきのこ展」を開催しておりまして、約80種類のキノコを展示しております。いろんな新聞にとりあげて頂きまして、おかげさまで好評を博しております。

ですが、展示スペースが小さいので、キノコをぎゅうぎゅうに詰めて展示しております。その関係で、ひとつひとつのキノコについてしっかりと解説ができておりません(スペースがあっても実は僕には無理なんですが・・・)。そんなわけで、今回のキノコ展の立役者でもあります「兵庫きのこ研究会」の皆さんに協力いただいて、展示中のキノコを解説してゆきたいと思います。
展示期間中の5/31までに全部解説が終わるかどうか・・・、ちょっと不安ですが、キノコの生態写真と標本写真、面白い特徴や生態を紹介したいと思います。キノコと言えば、「毒」、「美味」。そんな話題も交えて紹介したいと思います。

 キノコに関心をもった方は、ぜひ、博物館のミニ企画展に足を運んでいただければと思います。5月31日まで開催しております(キノコ展で長い期間展示できるのは、特殊加工のおかげ!そしてひとはくだけです!)。
http://hitohaku.jp/exhibits/temporary_old/2008/mini08.html#minikinoko

第1回目に紹介するのは、「カラカサタケ」です。展示コーナーの中央に置いています。
なんで中央にあるのか、っていうことですが・・・。

karakasa_sp.jpg実は、大きくて目立つキノコなので御影高校の元気な野郎どもが、「オオモノ発見〜!」っと、本能の赴くままにいっぱい採りまくったからです。たくさん標本ができちゃったから、真ん中に置いてるだけで、深い意味はありません。言いかえれば、「目につきやすく、親しみやすいキノコ」なのかも知れません。
標本の仕上がりもまずまずです。ちょっと樹脂を塗りすぎたものもありますが・・・。この種は、凍結乾燥で標本にするとき、表面にあらかじめ糖アルコール(ポリエチレングリコールの分子量400+エタノール希釈)を薄く塗っておくと、カラカサの模様がポロポロはがれずに残ります。もともと固くて柔軟性があるので、標本にしやすい種類です。キノコ標本作製の難易度でいえば、★★★(満点は★5つ)でしょうか。

では、カラカサタケについて、兵庫キノコ研究会の山上公人さんに聞いてみました。


 カラカサタケ (vol. 1)

karakasa_field.jpg夏から秋に日当たりの良い雑木林などに発生するキノコ。大型のうえ、すら〜っと背の高い姿は山の中でも良く目立ちます。柄は固いが傘は綿のように柔らかく、ギュッと握っても壊れることなく元に戻ります。この事からニギリタケと呼ぶ地方も有るそうです。ツバにも特徴が有り、リング状で上下にスイスイ動かすことが出来きます(下の写真をご覧ください)。まるで、子供のおもちゃに使えそうです。
全体に地味な雰囲気だが、特徴的な色合いに「わび・さび」を感じるのは私だけでしょうか?
食用とされているので何度か食してみたが、ほろ苦うえに食感も悪く、油も良く吸います。個人的には美味しいとは思わないが読者の皆さんは如何でしょうか?ただし、良く似たキノコに有毒の物も有るので要注意。なお、生食は中毒します。


karakasa_ring.JPG

柄の部分にあるリング状のものが特徴です
――――――――――――――――――――――――――――――――――

皆さんの身近にも生えているキノコということで、観察のチャンスはありそうですね。発見したら、ぜひ握ってみて頂ければと思います。握ってもじわじわ形が戻るっていうのは、流行りの低反発樹脂みたいですね、枕とかに使われているやつです。このキノコを研究すると低反発樹脂の新製品開発に役立つかも知れませんね。
握った手は、ちゃんと洗ってくださいね。もちろん、生食は厳禁です。
次は、イボテングタケを紹介したいと思います。

もっと兵庫のキノコを知りたいひとは、「兵庫キノコ研究会」の美しいホームページをご覧ください!
http://www.hyogo-kinoko.jp/

【注意】
キノコの鑑定には十分な注意が必要です。初心者が、ホームページや図鑑を見て、食用できるかどうかを判断することは、大変危険です。食用と判断できない時は確実に鑑定できる専門家に尋ねてください。素人判断で食用することで、毎年のように死亡事故が発生していますので、不用意に食べることはお控ください。

(みつはし ひろむね)

脳梗塞のために後遺症があって、調査などできるのだろうかと思っていましたが、
2007年からインドネシアの調査に復帰しました。スマトラ島のパダンという都市の
郊外にあるアンダラス大学の先生のおせわになって、どんな動物がいるのか情報
を集めにうろうろしたのです。いなかを車で回り、どんなところにどんな動物がいる
かを調べました。

 2007年にはスマトラ島の東に広がる低地を回ったのですが、2008年は行き先を
変え、同じスマトラ島でも西を南北につらぬく山脈地域を行き来しました。もちろん、
当然ですが車でです。ここは昔からミナン・カバウの人びとが暮らす、ミナン・ハイラ
ンドといわれるところです。
高地ですのですずしい土地柄です。とても熱帯のスマトラ島とは思えない気候です。
   

(西スマトラの山の上から見た光景です。ずっと山やまが連なっています。そして、
こんな山の上にもアグロフォレストがあります。まん中の低木は、つい最近植えたば
かりの香辛料でしょうか?)

 ミナン・カバウの人びとは、伝統的な水牛のつのに似た屋根のある家――ミナン・
カバウという名前は〈水牛を飼う〉という意味だそうです――に住み、陸稲(おかぼ)や
水田を耕します。このごろは普通のウシを飼うことも多いようですが、田を耕すために
飼う家畜は、本来は水牛です。そして、その田畑のそば、多くは家の回りに、いろい
ろな果樹や役に立つ草が混じりあうアグロフォレストと呼ばれる森を育てます。



(水牛はのんびりと歩きます。水牛はとてもおとなしい動物です。この水牛のつのを
まねて、ミナンカバウの伝統的な家の屋根は作られたそうです。後ろには石油会社
のポンプがあります。日がな一日、キッコ、キッコと原油をくみ出していました。)



(ミナンカバウの伝統的な家です。現在では水牛のつのにあたる部分はトタンで作
ってありますが、もとは竹で作ったそうです。)


 「アグロフォレスト」とは何でしょう?聞きなれないことばだと思った方も多いでしょう。

 食用バナナや熱帯ショウガが植わり、頭の上には高いココヤシの葉が風にゆれる。
かたいカボチャのような実のなるパンノキや日本でも人気のあるマンゴーが緑のまま
の若い実をつる。そんな、まるで〈あるじの思いつき〉そのままに、気ままに育てたよ
うな熱帯の森がアグロフォレストです。

 アグロフォレストは「我が家の森」です。日本の里山と似ています。伝統的な森作り
の作法はあるのでしょうが、その一方で、うっかり育てた(“放っておいたら、かってに
育った?”)森では、何やかやといろいろ雑多な雑草や小動物が入り込んで、にぎや
かなありさまとなりはてます。


(田んぼのはしに森が見えます。これがアグロフォレストです。この森の中にはいると、
いろいろな樹木が植わっていました。)

 あるじが〈勝手に〉つくるのですから、アグロフォレストには、いろいろな景観がありま
す。シナモン・パウダーをつくるクスノキの仲間――日本でも、甘い香りのするシナモ
ンは料理やお菓子の香りづけに使います――を植えたところは、アグロフォレストとし
ては特殊です。あたらしく出た葉が赤く、目にあざやかに見えますが、商品作物とし
て作るため、シナモンを一定の面積に植えておかねばならず、何でもありの「我が家
の森」とはずいぶん違ったふんいきなのです。それでも、その森も普通の家族が持っ
ている「我が家の森」の一種であることに違いはありません。

 アグロフォレストと反対の意味を持つ森をプランテーションと呼んでいます。企業の
経営する大規模な森のことです。そこには普通、カキノキの仲間であるゴムの木や
アブラヤシなど、一種類の植物しか植わっていません。わたしがよく見たのは、アブ
ラヤシのプランテーションです。昔はヤシ油から食用油や石けんが作られたのです
が、最近はバイオ燃料にすることが増えたようです。


 どれだけいろいろな生きものがすめるかという点では、アグロフォレストが圧倒的
に有利です。いろいろな作物が野生の木とともに植わった森ですから、そこかしこ
に、いろいろな生きものが見られます。あるじが気を抜くと、とたんに雑草までがは
びこってしまいます。いくつかの霊長類もアグロフォレストに見られます。

 それに引き替え、プランテーションは、いろいろな生きものが住むアグロフォレス
トとは、だいぶようすがちがいます。農園というより「工場」ということばが当てはま
ります。あまりに機械的で、生き物が育っているという感覚に乏しいのです。近代
的なムダのない〈農園工場〉とでも言えばいいのでしょうか?プランテーションは
企業の利益を最優先して経営されています。

 でも、ここで注意しておいてほしいのですが、「アグロフォレストは正義の味方、
プランテーションは悪もの」という見方は一面的です。止めておきましょう。アグロ
フォレストを作るために、少なくとも多少の土地は持っていなければなりません。
つまり、比較的裕福な、土地持ちの家庭であることが条件です。それにひきかえ、
プランテーションならば、そこで働くには身ひとつでも可能です。もちろん経営者
は別ですが、プランテーションで働いているのは、比較的貧しい人が多いのです。
事実、住みなれた村を離れて出稼ぎ
で働きに来ている人がよくいます。

 最近、伝統的なアグロフォレストリィは、「いろいろな生きものが育つという意味
で人間生活と自然がうまく結びついた森林経営だ」と言われるようになりました。
アグロフォレストとプランテーションのどちらにも、よいところ、悪いところがありそ
うです。
皆さんは、伝統的なアグロフォレストと合理的なプランテーションのどちらが好み
ですか?(つづく)

三谷 雅純(兵庫県立大学/人と自然の博物館)

※このブログで掲載されている文章・写真の無断転用・転載はご遠慮ください。

博物館では、2月10日から5月31日の約4カ月間にわたって、「六甲山のキノコ展 〜
リアルな森の妖精たち〜」を開催しております。この展示は、兵庫県立御影高等学校、
兵庫きのこ研究会、当館との共同開催です。六甲山の修法ヶ原でとれたキノコ約80種
類、110点を展示しています。博物館が所蔵する「キノコ」の標本は、普通は干しシイタ
ケのように縮こまった形となり、生きていた状態とは似ても似つかないものになりますが、
今回は凍結乾燥や樹脂含浸、封入標本などによる特殊な技法を駆使して、できるだけ
生きている状態に近い形でリアルな標本に仕上げています。
展示を見られた方で、眼の肥えている人ほど、「どこの業者に作ってもらったの」なんて
質問される方がいますが、すべて、高校生と博物館スタッフによる手作りです。キノコ
好きの方だけでなく、博物館の展示用標本の作製技術に関心がある人にも必見です。

(写真1:ニセマツカサシメジ)


(写真2:サンコタケ)


この展示には、もうひとつの大きな特徴があります。それは、高校と博物館、市民団体
のコラボレーションです。標本の採集や製作、展示は、兵庫県立御影高等学校の第2
学年の総合学習を通じて実施したものです。


(写真3:採集の様子)

採集には、初夏、夏と秋の3シーズンにおいて、六甲山系再度公園(修法ヶ原)のキノ
コを調査・観察し、これらの活動やキノコの鑑定には「兵庫きのこ研究会」の方々の協
力を得て実現しています。高校、博物館、地元の専門家の3者が揃わなければ実現
できない企画でもあります。

展示を見て頂ければ、六甲山には、実にたくさんのキノコが生育していることがひとめ
で分かるかと思います。キノコを一同に並べて眺める機会はそうそうないのではありま
せんか。この展示会では、自然界では起こりえない風景、キノコの標本を一堂になら
べることで、生物多様性が織りなす不可思議な光景をお見せしたいと思います。


(写真4:企画展全景)


<開催の概要など>
展示コーナーは小さいですが、中身がぎゅっと詰まってます!

期間: 2009年2月10日(火) 〜 5月31日(日)
場所: 兵庫県立人と自然の博物館 4階ひとはくサロン
観覧料: 無料(博物館観覧料が必要です)
主催・共催: 兵庫県立御影高等学校 ・兵庫キノコ研究会・
兵庫県立人と自然の博物館 
URL: http://hitohaku.jp/exhibits/temporary_old/2008/mini08.html#minikinoko
展示品についての詳しい解説は、これからひとはくブログで紹介してゆきます!

                                 三橋弘宗(自然・環境マネジメント研究部)

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