オチフジはシソ科ラショウモンカズラ属の1種で、世界中を探しても近畿地方にしかないという、非常に珍しい植物です。この植物の実体を明らかにするために交配実験や訪花昆虫の調査、DNAの解析をおこなっています。
オチフジは流れのある沢沿いの急な斜面や、がれ場に生育しています。今回は兵庫県内のオチフジの生育地で結実率の調査とDNAサンプルの採取をおこないました。
花はすでに終わって実になっていました。結実率は良く、1つの花に4個ないし3個の果実をつけていました。他家受粉をおこなった個体でも良く実をつけていました。
ただ、盗掘された痕跡があり、前回花が咲いていた個体がなくなっていました。オチフジは絶滅危惧植物に指定されている希少な植物です。見つけても珍しいからと持って帰ったりせず、大切にしてください。
(自然・環境評価研究部)
2009年5月9日(日)に連続セミナー「芦屋でまなぶ森・川・海の自然」の第2回を行いました。この連続セミナーでは、森・川・海がコンパクトにそろった芦屋を舞台として、1年を通じた自然観察プログラムを実施します。芦屋のような都会でも、たくさんの生き物がいて、自然を学ぶフィールドとしてとても良い場所になるのです。セミナーには、地元芦屋で活躍するひとはく連携グループのNPO法人さんぴぃす、芦屋川に魚を増やそう会が協力してくださっています。
この回のテーマは、「浜辺の鳥 食べもののとり方を観察しよう」です。芦屋川河口の干潟で潮の満ち引きの様子や野鳥の観察、干潟の生き物採集を行いました。
観察会は、14時からはじまりました。参加者は、13名。芦屋川探検隊の小学生も参加してくれました。お天気が良く潮干狩りの人出があったため、残念ながら干潟で見られた鳥は、カラスとドバトだけ。人がいると鳥は逃げていってしまいます。実は、こんなささいなことからも、人と鳥との関係が見えてきます。
それでも、ちょっと沖のほうへ出てみると、アジサシの仲間やカワウを見ることができました。アジサシは空中からダイブして、カワウは潜水して魚をとるのです!
芦屋川河口周辺で見られるかもしれない鳥。(左)キアシシギ。(右)ゴミの中のチュウシャクシギ、観察会の日は見れず。(5月7日撮影)
折しもこの日は、満月。すなわち大潮の日。潮の満ち引きが大きいのです。干潟の様子がどれだけ変わるのか楽しみでした。セミナー終了時の17時には、堤防の下まで潮が押し寄せていました。しかし。。。残念ながら、くたびれていて、比較できるような写真を取り忘れました。
下右の写真は、さんぴぃすの大脇さんが撮影されたものです。
干潟の変化。(左)13時半、(右)16時半ごろ。右写真は、左写真手前の石がごろごろしているあたり。
この観察会のようすは、NPO法人さんぴぃすのホームページにも報告されています。こちらもぜひご覧ください。(http://sanps.com/index.html)
セミナー「芦屋でまなぶ森・川・海の自然」は、毎月1回行われます。各回ごとに事前申し込みが必要です。さまざまなテーマ、研究員で実施いたしますのでぜひご参加ください!セミナーについての詳細やお申し込みについては、こちらをご覧ください。→ http://hitohaku.jp/education/main.html
(自然・環境マネジメント研究部研究員 遠藤菜緒子)
----------------------------------------------------------------------
セミナー「芦屋でまなぶ森・川・海の自然」 今後のラインナップ
6月13日(土) 川の魚と水生昆虫 (田中研究員・三橋研究員)
7月18日(土) 森の昆虫は何を食べ、何に食べられるか (大谷研究員)
8月13日(木) 真夏の鳴く虫を聞く (大谷研究員)
9月13日(日) 芦屋の里山 (村上氏 芦屋森の会2001)
10月3日(土) 芦屋をとりまく森のキノコ (秋山研究員)
11月6日(金) モクズガニとウミボタルの観察 (三橋研究員・大脇氏 NPO法人さんぴぃす)
12月5日(土) 森の樹木と土の観察 (小舘研究員)
1月9日(土) 芦屋の街 野鳥図鑑をつくろう (遠藤研究員)
2月13日(土) 手作りカメラで自然を写そう (赤澤研究員)
3月13日(土) 湿地の水生動物(三橋研究員)
5月4日(月)〜5日(火)の2日間、毎年の恒例行事となっている『ありまふじフェスティバル'09春』に参加してきました。
ひとはく研究員を隊長として、早春の有馬富士公園内で魚・プランクトン・昆虫・鳥などの生き物の観察会を行いました。特に魚の観察会は大盛況!エビや小魚をたくさん捕まえることができました。
<研究員の説明にも熱がはいります>
たくさん捕まえられたかな?
<プランクトンを採集中>
プランクトンネットという器具を使って、水中の小さなプランクトンを効率よく集めます。
<恐竜化石のコーナー>
実際に恐竜化石が発見された発掘現場の石を展示しました。この中にも恐竜化石が入っているかも?!ひとはくでは、恐竜展示特別企画『丹波の恐竜を知ろう―3年間の発掘報告―』が開催中です。
<昆虫標本展示>
6月6日から8月31日にひとはくで開催される企画展『初夏の鳴く虫と巡回展:ぎっちょん君参上!』に先駆けて、キリギリス、バッタ、コオロギの標本を展示しました。キリギリス、バッタ、コオロギの違いがわかるかな?
会場には、ひとはく博士も登場し、子供たちに大人気でした。
ここからは、この春からひとはくにやってきた3人の新人研究員(上田、武田、北村)の出し物の様子と感想を紹介します。
<びわ玉コマ回しコーナー>
ビワの若い実でつくったコマは思いのほかよくまわります。
「フェスティバルに来られた方々とふれあいの機会が持てて嬉しかったです。子どもさんと一緒になって必死にビワこまを回してしまいました(笑)。ひとはくのコーナーを訪れてくださったみなさん、今度はぜひ博物館にお越し下さい!!」(上田)
<コウノトリの折り紙コーナー>
折り鶴をちょっと作りかえると、はばたくコウノトリが完成!
「皆さんと一緒に作ったコウノトリが、人と自然の共生する環境を考えるきっかけとなれば幸いです。いつの日か、皆さんのもとにたくさんの幸せを運んでくれることを願っています。」(武田)
<タネが運ばれる仕組み>
みんなが大好きなくだもの。どんな動物が食べるのかな?
「子供からの核心をついた質問にわかりやすく答えるのはなかなか難しかったです。」(北村)
ひとはくコーナーを訪れていただいたみなさま、楽しんでいただけたでしょうか?ぜひ、博物館へも足を運んでみてください。お待ちしております。
北村 俊平(自然・環境マネジメント研究部)