6月27日(土)にぎっちょん君参上!展のスペシャルイベント、
講談「ノコギリ名人 ぎっちょん君誕生!」を2F企画展示室前
スペースのこけら落とし公演!で行いました。その模様のさわり
を紹介します!
野辺へ出て参りますと春先のことで、空には
ひばりがチュンチュンさえずって、下にはレ
ンゲ、タンポポの花ざかり、陽炎がこう燃え
立ちまして遠山にはスーッと霞の帯を引いた
よう、麦が青々と伸びて菜種の花が彩ってい
ようという本陽気。そんな中、土のなかから
うまれ出ましたのが、このお話の主人公ぎっ
ちょん君でございます。
「あー、やっと生まれ出れたな。うわー、お
てんとさま、まぶしいなあ。クラクラすんなあ。
それにしてもわしの触角りっぱやなあ。われな
がら惚れ惚れすんなあ。
よし、だんだんあしもかたなってきたなあ。」
と体をばくねらせながら、土のかたまりをこえ、
巨大な小石をのぼり、葉っぱだらけの世界へやっ
というような感じで始まりました、まず、登場するのは、 鳴かないキリギリス、ぎっちょん君。ちょっと太めのぎっ ちょん君役は、スペシャルゲストの県立美術館の橋本尚人 さん(河南堂四十一斎)で、ひとはく・美術館連携寸劇講談
珍元斎との共演は、数十回にのぼります。息もぴったりで、
ノコギリ音楽を奏でました。
ほかに登場する虫たちを紹介します。
まずは、ぎっちょん君とえさの花粉を奪い合う、ミツバチのハチリン(FS西口さん)。
そして、ぎっちょん君と戦うカマキリのカマエモン(北村研究員)にぎっちょん君と
恋に落ちるキリコ(FS笹山さん)・・・。
3人とも本番直前の指名とは思えない迷演技ぶりでございます。拍手喝采!
子供たちも飛びいり参加しての大賑わいの寸劇講談でございました。
それから、講談を聞いて、自分で想像した、ぎっちょん君を描きました。リアルなキリギリス派からマンガのぎっちょん君派まで、いろんな絵が
お絵かきのあとは、大谷研究員と深田公園へ生ぎっちょん君さがし!
ショウリョウバッタやカナヘビ、カエル、ハチなどを捕まえました。盛りだくさんの
ぎっちょん君イベントでございました。
次回の講談は、7月26日でございます。乞うご期待!
昨日、鈴木武研究員と沢田佳久研究員による環境体験事業「スーパー『むし』ビンゴ 〜ひとはく深田公園〜」が行われました。
参加したのは、小野市立小野東小学校3年生5クラスの皆さんです。
ホロンピアホールでガイダンスを受けた後、2グループに分かれて順番にカタツムリの観察(スケッチ)と虫探しについての授業を受けました。
かたつむりをスケッチ中
あらかじめ探す虫の番号を選んで、ビンゴシートに書いておきます。虫をゲットできたら、研究員にスタンプを押してもらいます。
いよいよ虫捕りに出かけます。研究員に虫の居所ろ聞きながら探しました。何が見つかったかな?
捜索開始!
ダンゴムシをゲット
石の裏側や落ち葉の下、木の幹などをくまなく探します。
沢田研究員のレクチャー
池ではアメンボがたくさん捕れました。
網ですくう子どもたち
カマキリをゲット
トンボはすばやくて中々捕まえられません。
元気いっぱいに走って跳んでもみても…
他にも、ハチ、チョウ、アブラムシ、アリ、バッタなどの虫を見つけることができました。どんな所にどんな虫がいるのか、分かったのではないでしょうか。中には、池でカエルを捕まえた子もいました。ビンゴはできたかな?
最後に鈴木研究員からまとめのあいさつ
次は、ぜひ家の周りで虫ビンゴに挑戦してみてくださいね。
上田萌子(自然・環境マネジメント研究部)
先日、岩手県北上市で行われた木材採集会に行ってきました。植物採集でなく、あえて木材採集というのは、山に生えている樹木を切って、その樹幹を集めるからです。樹幹を集めるためには樹木を伐採しなければならないので、ふつうの植物採集のように簡単にはいきません。まず林野庁に国有林での伐採許可を申請し、許可書を取ってから管轄の森林管理署へ出向き、許可エリアの山や林道の様子を聞き、林道ゲートの鍵を貸してもらって初めて山へ入ります。
山では、おもに花や実をつけている樹木を探し、直径20 cm以下の細い樹木を鋸で切り倒します。太い樹木の場合は、チェーンソーを使い樹幹から材ブロックを採取します。
切られた樹幹にはラベルをつけ、花や葉と合わせて写真を撮ります。
枝先を採って証拠さく葉標本としますが、高い樹木の枝の採集が大仕事で、電線保守用の高枝切りを操るには若者の体力と、年配者の熟練した技術との共同作業が必要です。
採集会は現地よりも宿舎に帰ってからの方が大変です。重要な仕事は標本作りと食事の用意です。標本班は、乾燥機にかけている標本の乾燥具合のチェック、さく葉標本の形直し、)、材標本からプレパラート用の小さなブロック切り出しなど、夕方5時から7時過ぎまで休む間もなく作業が続きます。
夕食は食事班が食料の買出しと料理を担当し、標本整理が終わるころ交代で入浴し、8時過ぎにようやく全員そろって夕食です。調査は基本的に自炊で、10数人の食事を朝、昼、晩と作るのはかなり大変ですが、美味しくても不味くても、自分たちで作った食事での酒盛りは楽しいものです。夜11時頃までには就寝して、翌朝は6時からまた標本チェックと朝食準備。食後、お昼のおにぎりを作って、8時には山へ出発します。合宿のような採集会ですが、フィールド経験の浅い若い人たちには、現地での樹種鑑定や伐倒、標本作りなどの技術習得の場として重要な意味があります。
この木材採集会は、(独)森林総合研究所(森林総研)が主体となり、国産全樹種の木材組織識別データベース化を目的として、樹幹(材鑑標本)、証拠さく葉標本、画像資料、DNAサンプルなどを収集しています。私もひとはくの開館前から参加して、おもに樹種同定とさく葉標本作りで協力してきました。それらの材鑑・さく葉・プレパラートの重複標本は、ひとはくの収蔵庫にも保管しています。
1万点近い日本産材をしかも証拠標本つきでそろえた森林総研の木材標本庫は、世界的に貴重な標本庫として認識されるようになってきました。しかし、まだ国産全種の収集には遠く及んでおらず、木材採集会は今後も継続されることになっています。
高橋 晃(自然・環境評価研究部)