8月18日(火)、ひとはくでやっている夏季教職員セミナーのひとつ「地層の見方・調べ方in丹波」がありました。野外での実習だったので天候が心配でしたが、暑すぎるくらいの好天に恵まれました。
セミナーの前半は、篠山市の旧西紀町にある「黒豆の館」に集合し、丹波帯や篠山層群の地質的特性や化石についての基礎的な講義を受けました。講師は、人と自然の博物館主任研究員の古谷裕(ふるたに ひろし)先生です。講義では、地層の並び方のきまりを教わったり、現在も海にたくさんいるプランクトンの1種である放散虫の化石について、顕微鏡写真や実物標本を見ながら基礎知識を詰め込みました。
あっという間に90分ほどの講義は終わり、いよいよバスに乗って現場の露頭へ向かいました。 まずはじめは、黒豆の館の近くの垣屋に見られる露頭の現場です。ここでは、丹波帯2型地層群が見られ、泥岩中の層状チャートや砂岩のブロックを観察しました。岩石ハンマーの使い方も教えていただきながら、岩石を砕いて化石が含まれないかルーペで観察しました。
次に訪れたのは、丹波の恐竜化石発掘現場です。今の時期は発掘が行われておらず、発掘の跡は化石を保護するためのコンクリートで覆われていますが、付近では篠山層群下部層の赤味を帯びた泥岩や砂岩、礫岩が見られます。また、篠山層群の堆積後に貫入したマグマによって作られた石英斑岩の岩脈を観察しました。
そして、さんなん住民センターにある「丹波竜化石工房」を見学しました。
昼食の後、篠山市藤岡奥で丹波帯2型地層群の中の、砂岩ブロックを含んだ泥岩を露頭で観察しました。
そこから民家の横を通り抜け、どんどん山を登ります(といっても、10分程度)。健脚の古谷先生に追いつくのがしんどかったです。
そして、この山の中の露頭では、丹波帯2型地層群藤岡コンプレックスの中の、古生代ペルム紀と中生代三畳紀の境界部分の地層を観察しました。と言葉で書けばそれだけなんですが、中生代三畳紀といえば、恐竜が活躍していたジュラ紀より古く、2億年から2億5千万年くらい前のこと。そしてその前が古生代ペルム紀(おおよそ3億年ほど前)ですから、それはもう驚きです。
(ハンマーで砕いた岩石は断面がとても鋭利ですから、ケガにはくれぐれもご注意を)
最後に訪れたのは、王地山公園ささやま荘のある王地山の南東部の露頭です。ここには篠山層群上部層の凝灰岩や凝灰質砂岩が見られ、頭の上に見えている地層の底面(地層の底面が観察できるなんて!!)には、多数の生痕化石が残っていました。
あっという間の1日のセミナーでしたが、私たちの身近なところに、こんな素晴らしいフィールドがあることに感激するとともに、是非多くの方々にもセミナーに参加していただいて、地層や化石に興味をもってほしいと思いました。
(情報管理課:八尾)