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高槻でオトシブミ展

2010年3月 6日
 大阪府高槻市の「あくあぴあ芥川」で今日3月5日から企画展
「安田守昆虫展 不思議なムシ オトシブミ」を行なっています.
くわしくはこちら(↓)をごらんください


 で,5日の設営はこんな感じ(↓).いろいろと盛り沢山です.

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 ユニークなのはオトシブミをまねて葉を巻く体験コーナー.
難しいけど,揺籃の折り紙的な仕組みがよくわかります.

本日のおまけプルプル3D
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芥川と摂津峡の図

昆虫共生・沢田佳久

Kawahigashigicchon chingensai  Ohtani,sp.nov.
     図1.自画像。漢字では「河南堂珍元斎」と書く
図1.自画像。漢字では河南堂珍元斎と書く。

 成虫。オス(図1)、体長1.78m、体重80kg、中肉中背(いや、ちょっと太めか)、頭髪もじゃもじゃ系。眼鏡使用。アンテナ発達。活動性高く、昼夜ともによく鳴く。鳴くときは、和服を身にまとう。平常はソウムカにいることが多く、ネクタ・ジャケット姿で、スーツは着用せず。

<生態>
多芸多才。ソウムカの仕事を素早くこなし(ここを強調しないと本職の仕事をしていないように思われるらしい)、似顔絵・イラスト・キャラクターなどささっと描いてしまう。兵庫県立人と自然の博物館の「ひとはく手帖」の研究員の似顔絵はすべて描いている。

       
図2.ひとはく研究員の似顔絵。左から高橋・沢田・小舘・大谷。すべて写真から描く。


あまり似ていないものもあるが、大半の人は、その素早さについていけず、文句を言うタイミングを逸する。図2.の左3名はかなり似ているが、右端の筆者は少し似ているというところ。図1.の自画像は似ているほうである。もちろん、ひとはくの巡回展「初夏の鳴く虫と巡回展」のときのキャラクター「ぎっちょん君」もカワ・チンの作品である(図3.)。
ぎっちょん君
図3.ぎっちょん君。ひとはくの巡回展のキャラクターとして大いに活躍した。

 

何かイベントがあるとき、こうしたキャラクターがあると、全然感じが違い、何か盛り上がってくる。鳴く虫をダジャレ的にキャラクター化した「鳴く虫ブラザーズ」(図4.)もなかなか味がある作品なので、使いたい人は直接カワ・チンに連絡あれ。

         
図4.鳴く虫ブラザーズ。たくさんあるうちの、割合、想像がつきやすいものを4種選んでみた。種名を想像してください。キリギリス上科は入っていない。(正解は次回)

 

 自然・環境マネジメント研究部 大谷 剛

三田でも少しずつ春らしさが感じられるようになってきました. ooinunofuguri.JPG足元をみると,小さな瑠璃色の花が咲いていました.

これは,オオイヌノフグリ.

とてもかわいい植物です.

秋に発芽して,翌年の春に開花.夏には枯れてしまいます.

瑠璃色の花びらは4枚に見えますが,実は1枚.花が終わるとお椀のような花びらがポロリと落ちます.

原産地はヨーロッパで日本へは明治時代に入ってきたと言われていますが,今では日本各地に広く分布しています.

この植物は,街路樹の植え込みなどでも普通に見ることができるので,みなさんもこの「小さな春」を見つけてみてくださいね.

  (自然・環境評価研究部 研究員 布施静香)

 

 

今回まで、6回にわたってインドネシア、スマトラ島のパダンのようすやジャワ島のパンガンダランのようすを聞いていただきました。調査のおおよその内容は、3年前のものですが:

http://www.jstage.jst.go.jp/article/primate/23/0/23_51/_article/-char/ja/

に載っています。この連載でお伝えした日本語論文は、昨年、日本霊長類学会の論文誌『霊長類研究 Primate Research』に書かせていただきましたが、まだインターネットにはなっていないようです。

 また、昔、1997-98年のエル・ニーニョの年にパンガンダラン自然保護区で採集してあった植物は、人と自然の博物館の研究紀要『人と自然 Humans and Nature』に載せていただきました。インドネシアでも役に立つリストですので、インドネシア人の学生にも読んでもらうために、日本語ではなく英語で書いたのです:

http://www.hitohaku.jp/research_collections/no20pdf/No20_11.pdf


 インドネシアの調査はこれからも続けていきますが、この連載(れんさい)は、今回でいったん終わりにさせていただきます。また研究がまとまったり、言いたいことが出てきましたら、このブログで報告しようと思います。連載(れんさい)の最後になる今回は、自分の研究のことではなく、パンガンダランでお会いした漁師(りょうし)のことをお話します。自分が調査をした土地に住む人びとには愛着が生まれますし、日常の生活から森をはぐくんできた人びとでもあるからです。

 今では砂州(さす)でジャワ島本土とつながったパンガンダランですが、砂州ができたのは、百年ほど昔のことでした。それまでは小さな島だったのです。小さな漁村があるだけのところだったと思います。ところが、パンガンダランに砂州(さす)ができて、島にラフレシア・パトマ(Rafflesia patma)という珍しい植物(ラフレシアの一種)がはえていると確認されると、自然公園になり、観光地として発展していきました。砂州(さす)があると砂がたまるので、海水浴場ができるのです。


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(写真:メスのシルバールトン。姉妹だと思います。このサルが何を食べるのかを、おもに観察していました。)   

 

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(写真:林床(りんしょう)で座っている若いカニクイザル。オスだと思います。)

 
  シルバールトンやカニクイザル、それにサルではありませんが、ヒヨケザルと呼ばれる動物など、調査をしたい研究者がうわさを聞いて集まるようになりました。京都大学の渡邊邦夫(わたなべ・くにお)さんは、もう30年以上前から、インドネシアの研究者と協力してパンガンダランのデータを集めています。その数多くの調査の中から、わたしは、パンガンダランで押し合いへし合い混み合って暮(く)らすシルバールトン――ここのように多くのシルバールトンが、ひとところで暮(く)らす例は、ほかにありません――が何を食べるのかを観察しているのです。ルトンは木の若葉が大好きですから、パンガンダランには、どんな木がはえているのだろうということが気になって、それでインドネシアの研究者といっしょに植物リストをまとめてみました。それが、上でご紹介した英文のリストです。

 もともと漁師の村があったのですから、パンガンダランに自然公園ができてからも、漁師には、いろいろな例外が認められています。自然公園の中を自由に行き来できることもそのひとつです。自然公園というものは保護地域ですから、ふつうは自由に行き来することが禁じられているのです。森の中には、人びとの伝承を伝える<王家のお墓>もありました。

 昔からくふうしたらしく、さかなを捕(と)る技法にはいろいろなものがあります。大物をねらう磯の竿づり、沖のやぐらで灯(あか)りをともして太刀魚(タチウオ)をねらう夜釣り、いろいろな底魚をとる地引き網(じびき・あみ)やアミという小型のエビを、舟で網を引いてとる方法などがあります。人気のある車エビの仲間は網でとるのだと思います。高価なイセエビの仲間は、道具を使うというよりも、もぐって手でつかむのではないでしょうか。


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(写真:岸近くに泊めてあるボート。舟の左右に見えているのがアウトリガー。船外機を取り付けられるように、舟のおしりは平たくなっています。右手の遠くに見えるのが、太刀魚(タチウオ)つりのやぐらです。)

 パンガンダランには、小さな魚市場(うお・いちば)があります。パンガンダランではいつもせわになっている民宿ラウト・ビル(=海・青い)のすぐそばです。魚市場(うお・いちば)には、朝早くから、その日にとれたさかなが並びます。その前の晩(ばん)に漁師(りょうし)がとってきたさかなです。イセエビの仲間も魚市場(うお・いちば)で売られていますが、車エビは市場ではなく、パンガンダランにずらっと並んだ魚介レストランに、直接おろされます。漁師(りょうし)が魚介類(ぎょかい・るい)の仲買人(なかがい・にん)や魚介レストランもかねているのでしょう。そうして並んだ車エビやさかなを、観光客がめずらしがって買っていき、またその場で食べるのです。

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(写真:魚市場に並んださかな。) 


 アミは、インドネシアの「えびせん」、<クルプッ・ウダン>(=揚げせんべい・エビ)になります。ですから、獲物(えもの)がわたしたちの目に触れる事はなく、アミはすぐに、近くの加工場に運ばれてしまいます。

 いちばん高く売れるのが、磯で竿づりをしたクエでしょう。2メートルもあるものが運ばれていくのを見たことがあります。しかし、磯の竿づりは体力がないととてもできませんし、つれるかどうかが運しだいです。それに較べて網漁(あみりょう)では、あまり運は関係ないようです。見ていると、アミの網漁(あみりょう)には、毎日決まって出漁しているようでした。


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(写真:舟をタテに並べて、アミ用の網を引きます。)


 女性は、男性に混じって網も引きますが、それよりも、手間のかかる、後のさかなの処理(しょり)が大変そうです。小魚や小エビはすだれに並べて干します。干し上がったさかなで、かたちのよいものはおみやげにして売っています。かたちが悪くても、味に差はないのですから、きっと家(うち)で食べるのでしょう。

 


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(写真:漁師さんやその奥さんが、網をあげてくつろいでいます。)

                                                 

   mitani2-6.jpgのサムネール画像

 (写真:熱帯魚のようなかたちをしたさかなを干していました。アジの仲間でしょうか?)


 海岸一面に打ち上げられた貝ガラも、かたちのよいものは観光客に売れます。男が寝ている間に――夜中は海に出ているのですから、眠っておかないといけません――奥さんたちが貝拾いをしているところには、よく出会いました。


 

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(写真:おみやげにする貝をひろっているところです。)


 漁師は、何となく、無口(むくち)な印象があります。でも、それはわたしの思い込みにすぎませんでした。話をしてみると、何とも気持ちのよい人たちでした。パンガンダランにはこのように漁師がいます。漁師とは別に、近くの農民がパンガンダランに出てきて、人力自転車(じんりき・じてんしゃ)の<ベチャ>を漕(こ)いでいることがあります。安く人を乗せたり、荷物を運んだりしてくれます。あといるのは役人とホテルを経営している華僑(=中国系のインドネシア人)です。華僑は、もちろんインドネシア語もしゃべりますが、自分たちどおしでは中国語をしゃべっています。お金持ちが多い華僑は、パンガンダランではなく、大都会のジャカルタに住んでいることが多いのです。ですから、本当に土地の人ということになると、漁師と農民、それにお役人ということになります。

 パンガンダランは行政区でいえば西ジャワ州になりますが、中部ジャワ州とは目と鼻の先です。このあたりはスンダ民族が多く住む、スンダ語が通じる社会です。スンダ語は、いわゆるジャワ語とは異なります。社会もスンダ民族に固有のものなのでしょう。その中にあるパンガンダランですが、観光地であるだけに、スンダ社会とは少し違うようです。

 最後です。パンガンダランで見た「カニクイザルのカニ探し」のことを書いて、終わりにします。

 パンガンダランの砂浜には、何種類かのカニが住んでいます。よく見かけるのは小さな、米粒(こめつぶ)のようなシオマネキです。でもシオマネキは小さすぎて、食べてもおいしくなさそうです。やや大きな種類のカニは、砂浜に横穴(よこあな)を掘って住んでいます。この大きな方のカニを、カニクイザルが食べていました。

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(写真:若いカニクイザルが腕(うで)を地面(じめん)に突っこんで、 何かを探しています。)


 ある日、群れから離れて、若いオスザルが何かを探しているところに出くわしました。オスザルは熱心に砂浜を掘っているようすです。何をしているのかわかりませんでしたが、写真を撮(と)っておきました。オスザルは何かを食べているようです。オスザルの去った後、そのあたりに行ってみると、カニの穴(あな)が掘り返され、カニの甲羅(こうら)が食べ残されていました。


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(写真 サルが去ってから近くに寄ってみると、カニの甲羅(こうら)や 足が散っていました。)


 パンガンダランでは、人もカニクイザルも、同じようなエモノをとらえて、毎日のかてにしているようです。(おわり)


三谷 雅純(みたに まさずみ)
兵庫県立大学 自然・環境科学研究所/ 兵庫県立人と自然の博物館


※このブログで掲載されている文章・写真の無断転用・転載はご遠慮ください。

今回は、樹木の冬越しについてみてみましょう。樹木は環境が悪くなる(気温が低くなったり、雨が少なく乾燥したり)と葉を落として休眠します。このときにつける芽を冬芽と呼びます。冬芽には葉だけが出てくる葉芽(はめ)、花が咲く花芽(はなめ)、両方が混じっている混芽(こんが:アオキなど)の3種類があります。また、芽が小さな鱗片(りんぺん)におおわれている鱗芽(りんが)、鱗片がなく裸になっている裸芽(らが)などがあり、この組み合わせで芽のグループ分けができます。裸芽を持つ樹木は熱帯など、暖かいところが起源のものが多く、サンショウ、アジサイ、クサギ、センダン、ムラサキシキブなどが代表的です。鱗芽を持つ樹木が圧倒的に多く、深田公園では9割以上がこのタイプです。

 

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(写真:いろいろな冬芽。

左上からトチノキ(鱗芽)、アジサイ(裸芽)、2列目上からキンモクセイの縦生副芽、ニセアカシアの葉痕からのぞいている鱗芽、3列目上からカンツバキの花芽、カンツバキの葉芽、4列目上からアオキの葉芽、花芽。)

 

少し変わった冬芽では、葉の中に隠れているタイプです。葉がソケット状に新芽のまわりについていて、葉が落ちると冬芽が現れるもので、ニセアカシアやスズカケノキがあります。また芽が縦に並んでつく縦生副芽(じゅうせいふくが)というものがあります。キンモクセイの腋芽(わきめ)は、たてに2−3個並んでついているものがあります。これが縦生複芽で、一つの芽が何らかの原因で大きくなれなかった時の保険をかけているようなものです。

 

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(写真:ロウバイの花の分解図。

    芽鱗から花弁へと、連続的に変化している。)

 

さて、この冬芽を保護している芽鱗(がりん:冬芽を包んでいる、鱗状のもの)は何からできているのでしょうか。少し大きい冬芽をつけるツバキの花芽やタラノキの葉芽を外側からていねいにはがしていくと、いつのまにか花弁や葉へと変化していきます。そうです、芽鱗は葉が変化してできたものなのです。

 

 

 

 

藤井俊夫(自然・環境再生研究部)

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