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  omote2.jpg以前にもブログでこの写真の生き物について紹介したかと思います。
http://info.hitohaku.jp/blog/2008/09/post_158/

この生き物は、甲殻類エラオ亜綱チョウ目チョウ科チョウ属のチョウです。
学名は、Argulus japonicus Thiele,1900 。当館の液浸収蔵庫にも一部標本が保管されています。エイリアンのような格好で、養殖のコイに付着する外部寄生性の水生動物として知られています。

この写真等をブログで紹介したところ、しばらくして、広島大学の長澤先生より標本提供の依頼があり、提供させていただきました。しばらくした後に、長澤先生らにより、この標本をはじめ各地のチョウやチョウモドキ(朝来のアマゴに付着)に関する記録が以下の論文で取りまとめられています。チョウ類のことを調べたい方には、以下の文献が役立ちます。

長澤和也ら(2009)本州西部で採集されたチョウとチョウモドキ、J.Grand.Sch.Biosp.Sci.,Hiroshima Univ.48:43-47.
長澤和也(2009)日本産魚類に寄生するチョウ属エラオ類の目録(1900-2009年). Bull.Biogeogr.Soc.Japan 64.135-148

市民の方からの通報にはじまり、ブログへの掲載、そして学術論文として記録が残ることになって、なによりです。こうして、自然史の情報が積み上がってゆきます。
なかなか採れない生物、希少でマイナー生物は、こういった形で情報を流通させることで大切だということを再認識。甲殻類の専門家はこの博物館にはいませんが、生物多様性情報のハブ機関としての自然史系博物館の役割が良くわかる一連の顛末でした。
あらためて、広島大学の長澤先生にお礼申しあげます。

(みつはし ひろむね)

オトシブミの裏側

2010年3月24日
風は吹くわ 雨は降るわ さぶいやら ぬくいやら

でも,だんだん春になってきていて,オトシブミの展示をやっている
槻の「あくあぴあ芥川」でもそろそろ桜が咲きはじめる頃かもしれませ
ん.行くのなら花見も兼ねて,ですよ(勧誘).虫が動き始めたら,生
き虫も置きますので,その頃に行くのもいいですけど(勧誘).入場料
は無料ですし(勧誘).

で,オトシブミの話の続きをば.

オトシブミといえば,子供のために葉っぱを巻く虫という事で

『まじめでほのぼの』

のイメージですが,それは真実の半分でしかありません.母親オトシブ
ミは確かにそうなのですが,おやじオトシブミときた日には,ふだんは
ロクに働きもせずブラブラしてるかと思えば,いきなり凶暴で好戦的な
虫に豹変する恐ろしい動物なのです(ちょっと悪く言い過ぎてますが).

そもそも,オトシブミの仲間は大型の種類ではオスの体がグワッと変な
形になっています.前足がやたらと長いとか,口が長いとか,胸から首
にかけて長いとか,です.その代表は,日本産の種ではヒゲナガオトシ
ミです.この種類は雄の前胸が長く,さらに首が長く,さらに触角も長
くなっています.それらはたぶん背比べ(というか触角の先までのルー
ル)をするためです.

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キリンオトシブミの♂(奥左)と♀(奥右)
ヒゲナガオトシブミ♂(手前左)
ロクロクビオトシブミの一種の♂(手前右)

ヒゲナガのヒゲ比べはまだエレガントなほうで,カシルリオトシブミは
前足を使ってレスリング状態になりますし,ルイスアシナガオトシブミ
は前脚で殴り合いをするようです.

世界的には,マダガスカル産で世界一大きいオトシブミとされている,
キリンオトシブミ(Trachelophorus giraffa)というのがいて,
これも大型のオス個体では首が長くなっています.触角に防御装備があ
りますので口の先までを比べるのではないでしょうか?

また,フィリピンのロクロクビオトシブミ類(Trachelismus spp.
は,体は小さいのに雄の首は長大です.妖怪の「轆轤首(ろくろくび)」
みたいに首がうにょうにょ曲がるわけではありあません.付け根のと
ころ,つまり頭部と前胸の間で曲がるだけ.これでどうやって餌を摂る
のか心配になります.たぶん無理では? とにかく不健康な長さです.
珍しい虫なので今のところ戦い方は不明です.

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ロクロクビオトシブミの一種の♂

このような「オトシブミの裏側」はそのつもりでいると観察の機会は
少なくありません.もっとも身近なカシルリオトシブミでも,多くの
個体が活動しているところでみていると,一匹の♂が飛んできていき
なりバトルが始まります.ふつうは継続時間が短いので要注意.

昆虫共生・沢田佳久

ひとはくの本館4階の「ひとはくサロン」には、休憩コーナーがあります。

このコーナーの一方の壁面に飲み物の自動販売機がありますが、
その反対側の壁面(?)には「掲示ボード」があります。

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▲ 4階の「ひとはくサロン」の休憩コーナー
(写真右下のところが掲示ボード)

 

その掲示ボードには、フロアスタッフが行っているオープンセミナー「ふかたん」や「画はくの日」

(これらは、参加無料のイベントです)の作品が掲示されています。

 

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▲子どもたちがつくった作品              ▲「ふかたん」のマーク

(ここには、「ふかたん」で観察したことなどを記録したマップが貼ってある)

 

さて、今回は、その掲示ボードでも現在紹介されている先日(3月20日に)
行った「ふかたん」の実施報告です。


「ふか・たん」は、「深田(ふかた)公園 うきうき探検隊(たんけんたい)」のことです。
ひとはくの建物は、深田公園の中にあります。

「ふかたん」は、この公園の中を(テーマにそって)、いろんなものをみんなで観察しながら探検をする

イベントのことです。

このイベントは、(隊長は研究員が担当するのですが、)フロアスタッフが
企画・司会進行・記録(写真撮影)・とりまとめ等を行います(スタッフのみなさん、御苦労さまです)。

 

今回のテーマは、「冬を耐えた植物を かんさつしよう!」です。

14時に集合し、少し説明を聞いて、いざ 外へ!

 

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▲ さあ、出発だ!                ▲ まずは、ツバキの花をかんさつ!

 

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▲ クヌギの枯れ葉をかんさつ中!       ▲ ツクシが生えているところの
                              土を掘っています

 

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▲ ドングリを探しています            ▲ 根がでているドングリをみつけたぞ! 

 

この他にもいろいろと かんさつ しました。

「ひとはくサロン」に、もどってきて、みんなで かんさつ したことなどをマップに書きます。

 

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▲ みんなで、 かんさつ したことを マップに まとめています

 

全体で約60分のイベントでした。

 

◆2010年4月からの「ふかたん」は、下記の日が予定されています。

  なお、テーマや日程等を変更する場合がありますので、参加を希望される方は、
  日が近づいた時点で(ホームページに掲載される、その月の「うきうきカレンダー」等で)
  確認をお願いします。

<平成22年度の「ふかたん」開催予定日>(テーマは、月によって、いろいろです)
********************************************************************************

   月/日:  4/29、5/8、6/5、7/10、8/21、9/18、10/23、11/23、12/23、2/19、3/19

********************************************************************************

みなさんも、ぜひ、参加してみてください。
                                                               (自然・環境再生研究部 小舘 誓治)

 

 

 

nagahashisumire2.jpg兵庫県竹野町でナガハシスミレが咲いていました。

ナガハシスミレの別名は天狗すみれ。

花の後ろ側にある細長い部分(「距(きょ)」と言います。蜜を出したり溜めたりする部分です)が,天狗の鼻のように長いことから名づけられました。

なるほど。天狗の鼻に見えますね。

このスミレは主に日本海側に分布しています。日本海側にお住まいのみなさん,是非探してみてくださいね。

撮影:ひとはく地域研究員 小豆むつ子

(自然・環境評価研究部 研究員 布施静香)

 

 

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連載1はこちら →  http://hitohaku.jp/blog/2010/03/post_634/

連載2はこちら →  http://hitohaku.jp/blog/2010/03/2_6/

 

 

 

 吾輩は、時々、そっと虫籠から抜け出し、館内を見てまわる。2階には、メインの企画展示があり、その中には世界のぎっちょん君という日本では考えられない巨大なナナフシなどの吾輩の仲間の標本が展示してあり、吾輩たちの美しい鳴き声や写真、昆虫写真家として有名な栗林慧氏の瞬間写真などもある。吾輩はバッタの飛ぶ瞬間の写真とカブト虫の脚をあげてのオシッコの写真がお気に入りである。
世界のぎっちょん君 

 


 そんなある日のこと、その栗林慧さんが長崎からはるばるやって来るというではないか。吾輩の心は躍った。写真撮影の思い出を語る講演会と吾輩たち虫族の写真撮影の手ほどきを子どもたちにする「昆虫写真であそぼう!」というぜいたくなイベント。この企画は、あの小柄な白髪の学者風の男、大谷剛研究員が栗林さん家の居候・・・いや客分だったのが縁で実現したのである。吾輩はいつも以上に顔をゴシゴシして男に磨きをかけ、その瞬間を待った。カシャ!「やった。栗林さんに撮ってもらった!」と吾輩は叫んだ。その写真は今、吾輩の虫籠に飾ってある。吾輩の宝になったのである。それにしても、ただでさえ格好いい吾輩を一層格好よく切りとる技術は感心せざるを得ない。吾輩だけでなく参加した子どもたちも直接指導に大はしゃぎで、最後はサイン大会となったのである。
撮影大会   記念撮影

 

 
 それから、博物館の定番といえる標本づくりのセミナーもやっている。大谷剛研究員は根っからの昆虫少年で、標本づくりになると目がキラキラしてまぶしい。たくさんの子どもたちが吾輩たち鳴く虫族をきれいな標本に仕上げていくのは複雑な気持ちであるが、その子どもたちの目もキラキラして美しい。また、この大谷研究員は鳴く虫の聞き分けセミナーもやっている。「きんひばり」はそのセミナーを修了した鳴く虫インストラクターだったのである。夏の夜、鳴く虫の声の聞き分けをしながら、虫を捕獲する「きんひばり」の面々の顔もまた、キラキラ光り輝いているのである。

昆虫標本づくり実演コーナー

 

     ・・・・・・・つづく

鳴目 虫石(なくめ ちゅうせき)

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