公園には数種類のスイセンが植えられています。スイセンの仲間は夏の間、地上に葉を出さず休眠しています。春先になるといち早く芽吹き、花を咲かせます。暖かいところでは1月から花が見られますが、深田公園では3月に入ってからです。スイセンは地中海沿岸からユーラシアにかけて40種ほどが分布していますが、副冠(ふくかん:中央の黄色い筒状の花弁)が小さいスイセンのグループと副冠が大きく発達するラッパズイセンのグループがあり、ヨーロッパでは1850年頃から品種改良がおこなわれ、1万種以上の園芸品種が知られています。
スイセンの花は子房下位なので、子房上位のユリ科と区別され、ヒガンバナ科に分類されます。白い6枚の花弁に見える部分は、外側の3枚がガクで、内側の3枚が花弁です。ガクと花弁の区別がつかないのは、ユリ科と共通しています。内側の黄色の筒状になった花弁はスイセン特有のもので、とくに副冠(ふくかん)と呼ばれています。国内では、海岸の暖地に見られ、越前海岸や淡路島の灘黒岩、立川の水仙郷は有名です。日本のスイセンは3倍体で、種子をつけないことから、古く中国を経由して渡来したものと考えられています。日本で初めて「水仙」が文書に登場するのは室町時代になってからです。
スイセンの学名(ナルキッスス)はギリシャ神話に登場する美少年、ナルキッススに由来しています。ニホンズイセンの花言葉は「自己愛」、ラッパズイセンの花言葉は「報われぬ恋」とされています。今年は水仙の芽吹きが遅れているので、サクラの花と同時に楽しめるかもしれません。
ラッパズイセン全景(縦位置) ラッパズイセン全景(横位置)
ニホンズイセン全景
外側の白い部分が花冠。
内側の黄色い部分が副花冠。
ニホンズイセンの花。 側面から見たところ。 左の濃い緑色で紡錘状に膨らんだところが子房。
藤井俊夫(自然・環境再生研究部)
皆さんこんにちは
「人と自然の会」では、毎年3月、所属している活動サークルや活動グループが神戸市立須磨海浜水族園からの依頼に応じて、来館者を対象にしたいろいろなプレゼンテーションを行っています。
この活動を通じて、来館者(とくに子供達)に自然や環境について皆さんの関心や興味を深めて頂けることを願っています。
今年は、3月7日(日)に、「人と自然の会」のサークル「古代の会」が「彩色勾玉づくり体験」のイベントを行いました。(午前10時から午後4時半まで実施)
前日は、人と自然の博物館周辺では雪がうっすらと積もる寒い一日でしたが、当日は雪もなく、まずまずの日和となりました。
大勢の来館者があり、遠くは岸和田からバス3台でやって来た子供会の皆さんなど、各地からの来館者でにぎわっていました。
入り口を入ってすぐの大水槽の前、大ホールにおいてのプレゼンテーション。
会場はうす暗くしてあるので、勾玉づくりのためには手元が暗く、スポットライトと特製のランターンを用意しての展開となりました。
人と自然の博物館で実施している通常のプレゼンテーションとはとても雰囲気が異なり、ある意味幻想的とも言える場となりました。
参加してくれた子供達には、勾玉の制作を通して古代の人々の生活の様子、勾玉の使われ方や勾玉に懸けた願いなどについて語りかけ、また、自然の中にあるロウセキとその使われ方などを話して、「現代の日常」と「昔の日々の日常」の違いなどが、少しでも伝わったかなと振り返りながら軽い疲れを覚えつつ帰路に着きました。 当日のイベント参加者数は、78名でありました。
なお、ただ今人と自然の会入会セミナー募集中です。
人と自然の会では毎月第3日曜日にだれでも参加できるファミリー向けの
「ドリームスタジオ」を実施しています。この入会セミナーでは、参加いただいた皆さんに実体験として、実際にミニドリームスタジオを計画・実施していただきます。
また、舞台裏を見学する収蔵庫ツアーや「むしむしガーデン」の観察会も予定しています。興味のある方はチラシをご覧ください。
さあ、あなたも、子供と一緒に自然にかかわる様々な活動をしてみませんか?
人と自然の会−古代の会 石倉則雄
みなさん 今ひとはくでは「植物画で語るキヨスミウツボの生活」という展示をしていますが、この展示もあと2週間、4月10日までで終了します。
もうご覧になりましたか? まだの方はお早めに!
展示の様子
キヨスミウツボ アジサイ
展示に関連した耳寄りなお知らせです。
この展示に関連した講座を行います。
キヨスミウツボに魅せられて、長年調査研究を続けてこられた中西 收(おさむ)さん(兵庫県植物誌研究会)が、現地調査でのいろいろな体験をお話しくださいます。
2.わたしはこうして植物画を描いた
ひとはく連携活動グループ「GREEN GRASS」の田地川和子さんが、キヨスミウツボを描いた時の苦労話などをお話しくださいます。田地川さんがご自宅で植物画を描くときの方法についてもお話しくださいます。
3.ギャラリートーク
植物画の作者のみなさんによる展示解説です。それぞれの作品の魅力をお話しくださいます。
ふだんは絶対に聞けないお話ばかりです。
キヨスミウツボのことは知らなくても、植物画をちょっと見てみたいという方は、ぜひ4月3日の講座にお越しください。
申し込みは不要です。当日入館されれば、自由に参加いただけます。
みなさまのお越しをお待ち申し上げます。
高橋 晃(自然環境評価研究部)