篠山市の中央に位置する「篠山城のお濠」で、昨年度から外来種の駆除を行っています。この11月23日にも、たくさんの方に参加していただき、外来種の捕獲イベントを行いました。
写真にあるように、サーフネットでお濠の端から端までを引っ張ってゆきます。
今年は、たくさんの高校生が作業に加わってくれました。篠山産業高校、篠山鳳鳴高校、有馬高校のみなさん、ご苦労さまでした。来年は、水のなかにぜひ入ってください。
(今年の捕獲状況)
(去年2010年の捕獲状況)
昨年は大量に捕獲できたのですが、今年はやや少なめでした(約200匹弱)。
これは、数日前にたくさん雨が降って、お濠の水位があがってしまい、網引きによる捕獲効率が落ちたことに加えて、昨年度に根こそぎ採集した効果があったからなのか、良く分かりません。ただ、岸際に外来種の姿はほとんど見かけられませんし、捕獲数も昨年の5500匹からすると、およそ1/25以下になっているので、それなりに効果があったと思われます。ただ、残念ながら在来種は一匹も採れませんでした(途中でフナが逃げて行くのを見た人がたくさんいましたが・・・)。
今年も、オオクチバスはわずかで、ブルーギルが大半を占めていました。
ただし、超大物のカムルチーが2匹捕獲されました。
←子どもたちも興味津々。
現在、篠山市では、生物多様性の再生に関する取り組みを推進するため、「森の学校復大作戦」という名のプロジェクトが行われています。名称は森となっていますが、市内に残るすぐれた自然環境のいくつかを拠点として、その周辺の生態系を少しづつ手作りで再生してゆく取り組みです。
この拠点のひとつが篠山城です。篠山城は、市のシンボルであり、重要文化財にも指定されていて、多くの観光客が訪れます。日本の古き良き文化を鑑賞にきた人が、お濠に眼をやると、外来種だらけ、水は汚い、というのは問題ありです。
←これがドブガイです。
それと、このお濠には、たくさんのドブガイが生息しています。ドブガイというと聞こえが悪いですが、水の浄化にはとても役だっています。プランクトンをたくさん吸い込んで、濾過して食べることで、窒素やリンを身体に蓄えるわけです(カモなどに食べられて系外にゆけばばっちりです)。
昨年に測定した密度だと、中規模集落の下水処理場に匹敵するぐらいの能力があります。もし、篠山城のお濠からドブガイがいなくなると、アオコや植物プランクトンが大発生し、まみどりの水になったり、臭くなるかもしれません。
その重要な役割を果たすドブガイが生きてゆくには、在来の淡水魚(フナ、ヨシノボリ、ドジョウなど)が不可欠なのです。貝の卵からかえった幼生は、池の底で暮らすまえに、魚のえらに付着して、そこで少し大きくなります。この付着する魚が在来種でないとダメで、外来種だと脱落して死亡する確率が高まります。
つまり、お濠の水質を保つためにも、外来種を駆除して、生物多様性を保全しないといけない、という訳です。ちなみに、生物多様性が消失したお濠では、水質浄化の装置を運用するだけで、年間で数百万円の費用がかかるそうです。今風の表現で言えば、「生態系サービス」というのですが、生物多様性を保全することは、財政上も有益なのです。
オオクチバスの駆除をはじめ、篠山の自然環境や再生に関心のある方は、篠山市のHPもぜひご覧下さい。
http://www.city.sasayama.lg.jp/simin/simin-morinogakko.html
(みつはしひろむね)