さて、久々のちんげんさいのタヨウ星人みーつけた!の一席でございます。パパンっ
時は9月5日の朝。
台風一家の殴り込み…イヤ、台風一過の青い空、白い雲。さわやかな天気に誘われ、ふらりと播磨の国の塩屋村にある塩屋大池へ。
ふと、いつも通るサクラの木を見ると、太い幹の下にコブができてます。
「あっ、台風で枝が折れたんかいなあ、あんなとこに枝あったかいなあ。」
近づいていくと、なんとコブが動いています。
「サクラのコブが動いとる。ついにタヨウ星人発見かあ?サクラトラジロウかあ・・・」
と見ると・・・・・・
そのコブはなんとミツバチのかたまりで…うじゃうじゃうじゃ〜といてはります。
「これはセイヨウミツバチの分蜂蜂球かあ?新女王が誕生したら母女王は働きバチを連れて出て行くっちゅう巣別れかいなあ。ひとつの生き物みたいやなあ。こりゃハチダマちゃんやな。」と勝手にハチダマちゃんと愛称をつけ、さっそく大谷ハチミツカメン、イヤ、大谷剛研究員に聞いてみました。
大谷:「セイヨウミツバチの分蜂群なら5-6月に多く、今はまずありえません。ニホンミツバチの逃去群なら今の時期に多いです。オオスズメバチから逃げ出してきた蜂群なのです。」
珍 :「えー!襲われたんかいな。かわいそうに。そういえば、ハチダマちゃん、おびえているような…」
大谷:「ニホンミツバチがオオスズメバチの激しい攻撃に出会うと、無謀な反撃をやめて、巣を捨てて逃げ出します。動きは分蜂群とほとんど同じです。違うのは元の巣に半分残すことなく、すべてが逃げて出るところです。新しい造巣場所が見つかるまで、「蜂球」をつくり、木の枝からぶら下がったり、木の幹にべったり張り付いたりします。こうした逃去行動が今日までニホンミツバチを生き延びさせてきたのです。」
珍 :「なるほど…しばらく観察を続けます。」
午後4時、再び観察に…
「うわっ、スズメバチや!」なんとキスズメバチらしきハチがハチダマちゃんのまわりをブラブラ飛んでいます。
珍 :「大変です。襲ったスズメバチがハチダマちゃんを追いかけてきてます!」
大谷:「おそらく、違うスズメバチでしょう。今、ミツバチを狙うスズメバチは、コガタスズメバチ、キイロスズメバチ、ヒメスズメバチといろいろいます。」
その夜10時、再び観察に…
すると、カマキリ3匹に囲まれています。
ライトをつけた瞬間、ゴキブリがガサガサ…「ぱくっ」なんとカマキリはゴキブリを食べております。
ゴキブリカマキリはゆっくり食事するため木の上へ。
他の2匹はじーっとハチダマちゃんをにらんで動きません。
珍 :「えらいことです。ハチダマちゃんがカマキリに囲まれています!狙われているのでは?」
大谷:「もちろん、そうです。とくに珍しいことではありません。」
と平然…
「そうか、カマキリはミツバチを襲うのか。さされないんかなあ…」とぶつぶついいながら、現場へ戻り観察を試みましたが、残念ながら、その後の攻防は蚊に襲撃され退散したため謎のまま…
翌朝、午前9時。再びハチダマちゃんに会いに行きました。
いっそう丸く固まっています。
時折、偵察部隊のハチが帰ってきます。
「ハチダマちゃんの新しい巣の候補地見つけたかなあ。」
そして、次の日の朝。発見から3日目の午前9時。
ハチダマちゃんは、かすかなハチの巣を残して、飛び立っていたのでありました。
「ハチダマちゃーん!」と叫んでみましたが、声も返ってきません…あたりを探しまわりましたが、ハチダマちゃんはやっぱりどこにもいません。
「ハチダマちゃんの新たな場所での暮らしに幸あれ!」と祈るちんげんさいでありました。
ひとはく地域研究員 河南堂珍元斎