さて、謎の講談師河南堂珍元斎でございます。
ミニ企画展「ゾウが描いたぞう・・・・」のお話の続きでございます。
この展示は、前のブログ http://hitohaku.jp/blog/2010/08/post_818/ にも書きましたが、7月13日に残念ながら帰らぬ人となられた増井光子さん(当時:コウノトリの郷公園長、よこはま動物園ズーラシア園長)との世間話がきっかけでした。
そのエピソードを語る前に、まずは、展示入口にある増井光子さんのメッセージのご紹介から。
そのメッセージは2010年7月7日(水)15:59にメールで珍元斎のもとに届きました。
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「お世話になります。ゾウの絵画展のメッセージお送りいたします。8日から13日まで海外に出かけています14日はズーラシアにいます。新しいメールがありましたらお知らせ下さい。」
ゾウの絵画展について
ズーラシア 増井 光子
このたび兵庫県立人と自然の博物館のご協力を得て、ゾウの絵画展が開催される運びとなり、誠に喜ばしく存じます。音楽、絵画といった芸術活動は人固有のものと思われがちですが、最近の研究では動物も絵画や音楽を楽しむことが判ってきました。大型類人猿に絵画能力があることは以前から証明されてきましたが、ゾウにも同じ能力が備わっていることが判明しました。現在のところ、絵を描くことができる動物は、自己認識能力がある動物、即ち大型類人猿やゾウに限定されているようですが、最近の研究ではマカク属のサルもテレビを鑑賞して人の乳児が喜びを感ずるのと同じ脳の部分が活性化されることが判明いたしました。
ゾウの絵画能力開発に貢献したのは、ニューヨークを拠点に活躍するロシア出身の画家、ヴィタリー・コマール氏とアレックス・メラミッド氏の二人 です。二人はタイの森林伐採作業が中止となり、失業したゾウ使いと作業ゾウの窮状を救うために、ゾウの潜在能力の開発に尽力し、その絵画能力を開花させました。今では多くのゾウが絵を描き、その優れた作品はニューヨークの有名なオークションで高額で買い上げられるまでになりました。
ズーラシアでは、1999年4月に開園以来、オス1,メス2の3頭のアジアゾウを飼育しています。そのうちの2頭のメス象1991年生まれのチャメリーと、1994年生まれのシュリーが絵を描き始めたのは2006年からです。はじめに年長のチャメリーが、2008年からはシュリーも始めました。2頭の絵はそれぞれ個性的で、その日の気分によっても色使いや描き方に違いが見られます。また、シュリーは指導員の指示に従って筆を運び、様々な図形を描くことにも挑戦しています。
動物たちが彼らを取り巻く環境をどのように捉え、何を考え、どう振る舞おうとしているのか、私たちにはほんの僅かなことしか分かっていません。しかし、多方面にわたる研究の結果が、次第に動物とヒトとの垣根を低くし、あるいは取り払ってきました。ゾウたちが示す優れた美的感覚についても然りです。地球で我々と共に暮らす多くの生き物たちの潜在能力は、これからも次々と解明されてくることでしょう。
増井さん似顔絵(画:珍元斎)
つづく・・・