さて、謎の講談師河南堂珍元斎でございます。
ちょっと旅に出ておりまして、この度のミニ企画展「ゾウが描いたぞう・・・・」の担当として、久々の登場でございます。
「ゾウがほんまに絵を描くんかいなぁ。このでたらめ講釈師!」なんて声も聞こえてきそうでございますが、よこはま動物園ズーラシアのインドゾウの女の子、チャメリーとシュリーは”ほんまに”絵を描きます。
2頭が絵を描き始めましたのは、チャメリー(1991年生まれ)は2006年から、シュリー(1994年生まれ)は2008年からでございます。
チャメリーの得意技は、点描画や水墨画。シュリーはといいますと、文字や図形が得意技でございます。この絵はなんに見えますか?
これはチャメリー作の点描画です。近頃は鼻をばチョンチョンと小刻みに使って点で描くのにはまっています。他にチャメリーは水墨画も描けます。
さて、これは?
これは、シュリーが2か月の猛特訓でこの展示のために習得した「ひとはく」でございます。すごいでしょう!他の作品は、「花」や動物園での結婚式に描いた「ハート」もあります。
「なんで絵を描くの?」
はい、いい質問でございます。
ハズバンダリートレーニングという動物園での健康管理のひととうで、それは、「ゾウの足の裏は大丈夫かいなぁ?」とか、「鼻はちゃんと動いとうかいなぁ?」ってなことをチェックするため、日頃から飼育員の指示でいろんなポーズや動きがとれるようにしていく訓練なのでございます。他にも見慣れないモノに柔軟に対応できるようにするためでもあります。
2頭は動物園のエレファントライブでさまざまな絵を来園者の前でも描いていて、上手に描けるとお客さんや飼育員は「シャバース!」(アッサム語:よくできたね)と歓声をあげます。そうやってほめられることはゾウの創作意欲を刺激し、ゾウ自身が楽しんで描くことは動物園ライブでのゾウの生きがいになっているのでございます。
この展示のきっかけは、7月13日に残念ながら帰らぬ人となられた増井光子さん(当時:コウノトリの郷公園長、よこはま動物園ズーラシア園長)の昨年の2月のひとはく訪問でございました。そのエピソードはまた今度!
さあ、今回の絵画展では、絵だけでなく、映像で描いているところもご覧いただけますので、百聞は一見にしかず。ひとはくでぜひご覧くださいませ!
ひとはく地域研究員 川東 丈純