緑色の美しいハエがいるので接写を試みる.
「とばないでね〜」と念じつつ十分に近づき
ピントも合わせてシャッターを切る.
ハエは動かず.やった!撮影成功.
…のはずが,写ってない!?
止まっている葉っぱはちゃんと写っているのにハエだけが写ってない!?
おかしいと思いながら,再度挑戦,
今度こそ成功.
…のはずがやはり写っていない.
まだ葉っぱの上にいる,この緑のハエが…
そんなのが「消える虫」です.
深田公園で太陽光撮影したアシナガキンバエの♀
このように撮影すると消える事で知られる虫がいます.アシナガキンバエやマダラアシナガバエなどアヒナガバエの仲間がそうで,消えるのはストロボを使って接写している場合に限られます.
種明かしをすると,これはストロボのプレ発光を感じて飛び立つことによって起こる現象です.本発光(撮影)時には写野から外れた場所まで離れているのです.しかも,ふたたび同じ位置に戻ってきて着地するので.撮影者にとっては「じっとしているハエが映ってない」ように思えるのです.
似た現象はセセリチョウの仲間でも起こるらしく,翅を動かしている状態で写ってしまうそうです.つまり,本発光の時点では既に翅は動きはじめているけれども,体はほとんど移動していないわけです.生き物ごとに時間の進み具合がちがうんですねぇ.
昆虫共生 沢田