自然・環境評価研究部の先山 徹です。7月20日〜25日に兵庫県立大学主催のアカデミック・ツーリズム・プログラム「2009年 皆既日食クルーズ」に講師として参加しました。
ひとはくからは私と自然・環境マネジメント研究部の大谷 剛さんが参加し、すばらしい皆既日食を体験することができました。
くもり空の中「ふじ丸」という豪華客船で出発。天候が心配です。
船の中では公開講座やいろいろなイベントがあり、私と大谷さんは小笠原の自然について話をしました。
7月22日、いよいよ日食当日の朝、観測地の北硫黄島近海に到着すると、20日から続いた曇り空がうそのような青空が広がっていました。
北硫黄島は、いかにも火山島という風貌の無人島です。飛んでいるのはカツオドリです。
波の静かな海面には雲が映るんですね。
参加者は500人以上。午前8時半に全員集合し、グループごとに決められた場所に向かいます。
甲板へ上がると、それぞれシートを敷いて場所を確保し、それぞれ工夫を凝らした装備で撮影に備えています。それに引き換え、私はポケットサイズのデジカメひとつ。この時点で皆既日食の写真はあきらめました。
いよいよ日食の始まりです。まずは部分日食の観察です。
10時5分撮影。太陽の右端が欠け始めているのがわかりますか。
10時18分撮影
10時43分撮影 だいぶ欠けてきました
ピントを合わせるのが難しいです
11時22分撮影。世紀の一瞬まであと少しです。
木漏れ日で観察するのと同じように、発泡スチロールのボードに穴をあけ、白紙の上に部分日食を映してみました。
太陽の形が全部同じです
これは何の影でしょうか?
クラッカーでした。
そうこうしているうちに、あたりが急激に暗くなります。そして、この直後、太陽は一瞬ダイアモンドリングの光を残して月の影に隠れてしまいます。
黒い太陽です。皆既日食は6分あまり続きましたが、皆ほとんど無言で、ただ黒い太陽を眺めていました。
私のカメラでは、この程度の写真が限度でした。
ダイアモンドリングと皆既日食のきれいな写真は、撮影の上手なスタッフから分けていただくことにしました。
皆既日食の最中は、周囲に360度夕焼けのような景色が広がり、頭の上だけが暗いという、不思議な光景でした。
その晩は、さっそくそれぞれの発表会が開かれ、自慢の写真が披露されました。見事な写真が映されるたび、会場はどよめきやため息に包まれ、改めて昼間の感動を思い起こしました。
翌日の23日には父島に上陸し、大谷さんは昆虫、私は岩石について案内しました。そちらも天気が良く、大満足の一日でしたので、また改めてご報告いたします。
今回のクルーズは、およそ6分間の皆既日食を見るために、6日間の船旅をおこない、そのための準備に6年間を費やしたそうです。実施に当たっては、西はりま天文台公園の黒田園長をはじめ、スタッフのみなさんの尽力は並大抵のものではなかったと思います。黒田先生、県立大やボランティアで参加されたスタッフの皆さん、さらに様々なイベントをしていただいた皆さんには、この場でお礼申し上げます。本当にありがとうございました。
(自然・環境評価研究部 地域環境地質研究グループ 先山 徹)