遅咲きの桜もそろそろ終わりを迎えつつありますが、雑木林に目を向けると濃いピンク色をした花が山に彩りを添えています。
この花は、コバノミツバツツジです。ツツジ科の植物で、「小葉の三つ葉躑躅」という意味です。枝先に小ぶりの葉を3枚つけることからこの名前がつきました。
この花を手にとってよくよく見てみてください。
雄しべの先についている葯(やく)はバラやツバキのものとは少し違った形をしています。葯は壺のようになっていて、先端に小さな穴が空いています(写真左)。このような葯を孔開葯といいます。
この葯の中には花粉が沢山入っていますが、花粉を出してみると、沢山の花粉が蜘蛛の巣にかかったようにくっついて出てきます(写真中)。これは、花粉に粘着糸と呼ばれる糸があるからです。
最後に花びらをはずしてみると、めしべの基部に白い長い毛が沢山生えています(写真右)。これがコバノミツバツツジの特徴です。
皆さん、外に出るときにはぜひ虫眼鏡を持って、このような植物をじっくり観察してみてください。
山本伸子(自然・環境評価研究部)