突然ですが、
まずは、この写真を見てください。
何に見えますか?
画像をクリックすると、写真が
拡大するものがあります。


▲なんの断面?(2025年3月上旬に撮影)
野菜のキャベツの断面っぽく
見えたりしませんか?
黄緑色の葉のようなものが
幾重にも重なっています。
これは、ある木の枝先にある冬芽を
縦方向に切った断面の写真です。
この木は、オトメツバキ(品種名)
と呼ばれる ヤブツバキの仲間
(ツバキ科)です。
この仲間の冬芽は、枝先に、
ボールのような形の、花がでてくる
花芽(かが)と、タケノコのような
形の、枝葉がでてくる 葉芽(ようが)
の2種類に分かれています。

▲オトメツバキの丸い花芽と
細い葉芽
次の写真を見てください。
花が咲いた状態です。
淡いピンク色の花ビラが
たくさん ついています。
たくさん花ビラがあるものを
八重(やえ)咲きや、
千重(ちえ)咲き など
と呼ばれることがあります。
オトメツバキの場合、
花の中心部にある雄しべが
すべて花ビラに変わったものです。
また、雌しべも退化しています。


▲オトメツバキの花(2024年4月上旬に撮影)
最初に示したオトメツバキの花芽の
縦断面の写真でキャベツの葉のようだ
と言っていたのは、まだピンク色に
なっていない、黄緑色の花ビラだった
のです。
ひとはくに隣接する深田公園には、
オトメツバキ、カンツバキ、ヤブツバキが
植えられています。
3月上旬~中旬の
オトメツバキ、カンツバキ、ヤブツバキの
それぞれの花芽の断面は・・・

▲左から オトメツバキ、
カンツバキ、ヤブツバキの
それぞれの花芽の縦断面
それぞれの花芽の最も外側には
芽鱗(がりん)と呼ばれる
小さなウロコ状のもので中身が
包まれ(守られ)ています。
オトメツバキの花芽の芽鱗の内側は、
ほぼピンク色っぽい花ビラだけで
占められています(花粉が入って
いる、黄色の葯(やく)がありません)。
また中央の下の方に黄色っぽい三角
のものが退化した雌しべです。
カンツバキの花芽の芽鱗の内側は、
周辺に濃い赤色のたくさんの花ビラ
の厚い層があり、その中心に
黄色の葯がたくさん見えます。
また(たくさんの葯で隠れた部分
もありますが)中央上部に
薄緑色をした棒状のものが
1本見えるのが 雌しべです。
ヤブツバキの花芽の芽鱗の内側は、
カンツバキのように、中心部に
黄色の葯が たくさんあり、
その周辺に薄紅~ピンク色の
花ビラの薄い層が見えます。
また(たくさんの葯で隠れた部分
もありますが)中央上部に薄緑色
をした棒状のものが1本見える
のが 雌しべです。
カンツバキの花は、(花が咲く)
ピークを過ぎていますが、現在
も咲いています。
さきほど示したオトメツバキの花 や
ヤブツバキの花は、3月下旬から
4月上旬に観察できます。
ちなみに、カンツバキの花は、

▲カンツバキの花(2025年3月上旬に撮影)
ヤブツバキの花は、

▲ヤブツバキの花(2024年4月上旬に撮影)
それぞれの花の中心部(雄しべや雌しべ)
や 花ビラの数を よく見てみましょう。
開いたときに、どんな違いがありますか?
皆さんも 周辺の環境で生きもの
の観察をしてみませんか。
研究員 小舘