Potentilla tristis forma ciliata のアイソタイプ(副基準標本)
しばらくササ類の標本が続いたので、今回は中部ネパール、ガネッシュヒマール産のバラ科キジムシロ属のアイソタイプ標本を紹介します。どうしてネパールの標本が?と思われるかもしれません。この標本は池田博氏(現東京大学准教授)がひとはくに研究員として在籍していた当時、東京大学のネパール調査に参加して採集したものです。東大によるヒマラヤ植物研究は50年を超える歴史があり、その経緯は大場秀章先生によりよくまとめられています(注1)。それによると、終戦直後の1950年代に東大の植物分類学教室を主宰していた原寛先生が、日本の植物の起源を明らかにするため当時は国交のなかった中国にかわりヒマラヤ地域の調査を計画し、1960年にインドのサニー古植物学研究所との共同研究という形で始まったそうです。以来10回以上日本の関係機関と現地の研究者による合同調査隊がインドやネパール、ブータンの植物を調査し、膨大な数の新種記載と論文発表が行われています。
ここで紹介しているPotentilla tristis forma ciliata は、基準品種の f. tristis にはない、花弁の縁に短い毛があるという特徴から、新品種として記載されました。(自然・環境評価研究部 高野温子)
注1)ヒマラヤ植物の研究ーその歩みと成果 http://umdb.um.u-tokyo.ac.jp/DPastExh/Publish_db/1997Expedition/05/050300.html
しばらくササ類の標本が続いたので、今回は中部ネパール、ガネッシュヒマール産のバラ科キジムシロ属のアイソタイプ標本を紹介します。どうしてネパールの標本が?と思われるかもしれません。この標本は池田博氏(現東京大学准教授)がひとはくに研究員として在籍していた当時、東京大学のネパール調査に参加して採集したものです。東大によるヒマラヤ植物研究は50年を超える歴史があり、その経緯は大場秀章先生によりよくまとめられています(注1)。それによると、終戦直後の1950年代に東大の植物分類学教室を主宰していた原寛先生が、日本の植物の起源を明らかにするため当時は国交のなかった中国にかわりヒマラヤ地域の調査を計画し、1960年にインドのサニー古植物学研究所との共同研究という形で始まったそうです。以来10回以上日本の関係機関と現地の研究者による合同調査隊がインドやネパール、ブータンの植物を調査し、膨大な数の新種記載と論文発表が行われています。
ここで紹介しているPotentilla tristis forma ciliata は、基準品種の f. tristis にはない、花弁の縁に短い毛があるという特徴から、新品種として記載されました。(自然・環境評価研究部 高野温子)
注1)ヒマラヤ植物の研究ーその歩みと成果 http://umdb.um.u-tokyo.ac.jp/DPastExh/Publish_db/1997Expedition/05/050300.html