昆虫記で有名なファーブルは,フランスのアベロン県サン・レオン村に生まれました.フランスは日本人に人気の海外観光スポットですが,彼の生まれ故郷であるアベロン県やサン・レオン村のことを知る人は少ないのではないでしょうか.アベロン県はパリからおおよそ600km,フランス中南部に位置しています.面積は8,735平方kmで,人口はおよそ26万人ほどです.一帯はグラン・コースと呼ばれる石灰岩の高原地帯で,起伏の多い地形の谷間には清流が流れ、小さな村が点在しています.村々には中世期の町並みが当時のままに多く残されており,フランスで最も「美しい村」が多い県として知られています.ファーブルが生まれたサン・レオン村も谷間の小さな村で,ファーブルが暮らした頃と変らぬ風景が彼の生家とともに今も残っています.また,少年ファーブルが生家の窓からいつも眺めていたサンレオンの丘の上には,ファーブル生誕地を記念して昆虫博物館ミクロポリスがアベロン県によって建てられています. ファーブルの故郷アベロン県が兵庫県と姉妹県になっていることを知っている人も多くないかもしれません.2000年に兵庫県が淡路島で開催した国際園芸・造園博「ジャパンフローラ2000」に,アベロン県がファーブル館を出展したことを契機として、両県は2000年11月6日に姉妹・友好協定書を取り交わしました.さらに,両県交流のはじまりがファーブルであったことから,この協定書の中でファーブルをテーマとする文化交流を,ひとはくとミクロポリス館が中心となって進めて行くことが定められました.これを受けて,2002年にはミクロポリスで開催された国際会議「ファーブルと昆虫学の初期」で,ひとはくの研究員が講演を行いました.それ以降も,2008年にひとはくで開催された「昆虫記刊行100年記念日仏共同企画ファーブルにまなぶ」展で,アベロン県副知事とミクロポリ館長を招聘して国際会議を開催するなど,様々な活動を両館で展開してきました. 2015年はファーブルが世を去って100年目に当ります.それを記念して,アベロン県からひとはくに,日本の人々にもっとファーブルの故郷のことを知ってもらいたい,そして,未来のファーブルたちを育むために一緒にもっと活動を展開していきましょうというメッセージが届きました.そこで,「ファーブルの故郷からのメッセージ ー ひとはくとフランス アヴェロン県・ミクロポリスの国際交流活動報告展」を開催し,これまでの交流活動を紹介するとともに,ファーブルの故郷からのメッセージを皆さんにお届けします. 会期 4月10日から5月10日まで 場所 人博本館4F ひとはくサロン
(橋本 佳明)
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