昨日、5月2日に加西市立西在田小学校の横を流れる若井川で水生生物の観察を行いました。昨年度、加西市では生物多様性戦略を策定。これを機会に、市からの依頼を受け、加西市内のいくつかの場所で観察会やキャラバン事業(移動展)を行いました。地域にある自然環境を再発見して、観察会や自然体験の機会をつくることが大きな目的の1つです。加西市さんの生物多様性に関する事業は、昨年だけで完了しましたが、キャラバン事業を実施した市立西在田小学校では、引き続き関心を持ってくださっています。学校のすぐ横で、色んな生き物が採集できて、100名近くで川に入れることも、大きな魅力。今後も持続して観察会ができそうです。観察会には、いつも博物館でもお世話になっている加西ナチュラリストクラブの3名の方にも応援いただきました。
観察会の様子はこんな感じです。1年生から6年生まで全員参加で、高学年の子が1年生などの世話をみてくれています。
川の水温もほどよく冷たく、水位も下がっていてとても良い条件で採集できました。
ちょうど膝までの水深で、所々に深いところがあって、全身びしょ濡れの子どもいましたが、まったく動じることなく採集に夢中です。
採集した生物は水槽にいれて台の上に集めて、いくつかの種類をとりあげて解説します。そのあと、しっかり観察できるように種類ごとにタッパーにいれておきます。アカハライモリやドンコ、カワムツ、オニヤンマ、アメリカザリガニ、トノサマガエルなどの大きなもののほか、ニンギョウトビケラやトビイロトビケラの仲間、コオニヤンマ、ハグロトンボ、コシマゲンゴウロ、ミズカマキリ、コオイムシ、コバントビケラ、ヤマモトセンカイトビケラの仲間、ナミウズムシ、カワニナなど、たくさんの種類がとれました。ちなみに昨年度の観察会では、約53種類が採れています。
さて、今年は何種類だったでしょうか。黒板にざっと書き出してリストをつくったところ、およそ51種類が記録されました。おおむね、昨年とおなじぐらいの種類となりました。昨年に比べて、カワニナの個体数がぐっと増えていましたが、カゲロウの仲間やサワガニ、ドジョウなどが見つかりませんでした。外来種のアメリカウズムシが増えていることも気になるところです。
学校には、採集した水生生物の液浸標本とアップで撮った写真が保管されていて、このあとの学習でしっかりと観察できると思います。小さな昆虫にも関心をもってくれたり、カワニナがひっつく仕組み、大雨のときにどこに逃げるのか、など色々な疑問が生まれています。年度の最初にこうした体験を伴うことで、このあとの色んな授業での関心が高まることを期待したいです。
これと並行して、若井川では小さな実験をしています。ここからが真骨頂!
小規模な対策による自然の修復は、「小さな自然再生」と呼ばれています。ここでも挑戦しています。
川のなかに大きな石を集めて上向きの堤防を昨年7月の授業でつくりました。たった1時間の作業で、しかも仕組みはとっても単純ですが、効果はそれなりにあります。下の左側の写真は昨年に工事をして2週間経ったところです。右側は昨日の写真(2014年5月)です。昨年は、大きな洪水が何度かあって、小さな石は流されましたが、大きめのものは、そのまま維持されています。周りに散らばった石は、小学校のみなさんが集めて修復してくださりました。簡単に治るのもこうした取り組みの気軽さです。
まず、上流側と写真の右側に土砂が溜まって浅瀬ができました。写真左側の突き出したところは、流れが速くなって瀬になったほか、深みができて魚がついています。さらに、写真右側の下をご覧ください。洪水のときに、流れが右側に寄るので、この部分が掘れてワンドが自動的に出来ています。今年の観察会では、この部分で、たくさんのカワニナ、魚やアカハライモリが採れました。
右側のところを反対からみると下の写真のようになっています。ばっちりワンドと水みちが出来上がっています。この水路部分は、増水したときだけ流れて、泥は定期的に流されます。普段は水たまりに近いもので、泳ぐのが苦手な生き物の住処になります。
下の右側の写真をご覧ください。予想よりも変化が大きかったのが上流側です。おそらく洪水のときに突堤がじゃまして水位があがり、上流側はかなり水深が深くなりました。おかげで魚はたくさんいついているのですが、子どもが入るには危ないぐらいの水深に。こんな小さな仕掛けでも、ちょっとだけ変化のある川になりました。
普通なら、素通りしてしまいそうなところですが、キャラバン事業がきっかけとなっていくつかの発見もあって有意義なものとなりました。
(ヤマモトセンカイトビケラの仲間、モリクサツミトビケラの仲間がたくさん採れてよかったです)
加西市のみなさん、西在田小学校のみなさん、加西ナチュラリスト倶楽部のみなさん、大変お世話になりました。
引き続き川での活動を続けていただければと思います。
美麗でモノ珍しいものを陳列するタイプの移動博物館とはまた違った形で、地域資源を生かしたユニークで持続可能な活動プログラムをつくってゆくことができればと思いますので、みなさん引き続きご協力のほどよろしくお願いします。
観察会の様子はこんな感じです。1年生から6年生まで全員参加で、高学年の子が1年生などの世話をみてくれています。
川の水温もほどよく冷たく、水位も下がっていてとても良い条件で採集できました。
ちょうど膝までの水深で、所々に深いところがあって、全身びしょ濡れの子どもいましたが、まったく動じることなく採集に夢中です。
採集した生物は水槽にいれて台の上に集めて、いくつかの種類をとりあげて解説します。そのあと、しっかり観察できるように種類ごとにタッパーにいれておきます。アカハライモリやドンコ、カワムツ、オニヤンマ、アメリカザリガニ、トノサマガエルなどの大きなもののほか、ニンギョウトビケラやトビイロトビケラの仲間、コオニヤンマ、ハグロトンボ、コシマゲンゴウロ、ミズカマキリ、コオイムシ、コバントビケラ、ヤマモトセンカイトビケラの仲間、ナミウズムシ、カワニナなど、たくさんの種類がとれました。ちなみに昨年度の観察会では、約53種類が採れています。
さて、今年は何種類だったでしょうか。黒板にざっと書き出してリストをつくったところ、およそ51種類が記録されました。おおむね、昨年とおなじぐらいの種類となりました。昨年に比べて、カワニナの個体数がぐっと増えていましたが、カゲロウの仲間やサワガニ、ドジョウなどが見つかりませんでした。外来種のアメリカウズムシが増えていることも気になるところです。
学校には、採集した水生生物の液浸標本とアップで撮った写真が保管されていて、このあとの学習でしっかりと観察できると思います。小さな昆虫にも関心をもってくれたり、カワニナがひっつく仕組み、大雨のときにどこに逃げるのか、など色々な疑問が生まれています。年度の最初にこうした体験を伴うことで、このあとの色んな授業での関心が高まることを期待したいです。
これと並行して、若井川では小さな実験をしています。ここからが真骨頂!
小規模な対策による自然の修復は、「小さな自然再生」と呼ばれています。ここでも挑戦しています。
川のなかに大きな石を集めて上向きの堤防を昨年7月の授業でつくりました。たった1時間の作業で、しかも仕組みはとっても単純ですが、効果はそれなりにあります。下の左側の写真は昨年に工事をして2週間経ったところです。右側は昨日の写真(2014年5月)です。昨年は、大きな洪水が何度かあって、小さな石は流されましたが、大きめのものは、そのまま維持されています。周りに散らばった石は、小学校のみなさんが集めて修復してくださりました。簡単に治るのもこうした取り組みの気軽さです。
まず、上流側と写真の右側に土砂が溜まって浅瀬ができました。写真左側の突き出したところは、流れが速くなって瀬になったほか、深みができて魚がついています。さらに、写真右側の下をご覧ください。洪水のときに、流れが右側に寄るので、この部分が掘れてワンドが自動的に出来ています。今年の観察会では、この部分で、たくさんのカワニナ、魚やアカハライモリが採れました。
右側のところを反対からみると下の写真のようになっています。ばっちりワンドと水みちが出来上がっています。この水路部分は、増水したときだけ流れて、泥は定期的に流されます。普段は水たまりに近いもので、泳ぐのが苦手な生き物の住処になります。
下の右側の写真をご覧ください。予想よりも変化が大きかったのが上流側です。おそらく洪水のときに突堤がじゃまして水位があがり、上流側はかなり水深が深くなりました。おかげで魚はたくさんいついているのですが、子どもが入るには危ないぐらいの水深に。こんな小さな仕掛けでも、ちょっとだけ変化のある川になりました。
普通なら、素通りしてしまいそうなところですが、キャラバン事業がきっかけとなっていくつかの発見もあって有意義なものとなりました。
(ヤマモトセンカイトビケラの仲間、モリクサツミトビケラの仲間がたくさん採れてよかったです)
加西市のみなさん、西在田小学校のみなさん、加西ナチュラリスト倶楽部のみなさん、大変お世話になりました。
引き続き川での活動を続けていただければと思います。
美麗でモノ珍しいものを陳列するタイプの移動博物館とはまた違った形で、地域資源を生かしたユニークで持続可能な活動プログラムをつくってゆくことができればと思いますので、みなさん引き続きご協力のほどよろしくお願いします。
(みつはしひろむね)