岡山県吉備中央町の宇甘渓にアオキの調査に行ってきました。アオキには「アオキ」と「ナンゴクアオキ」と呼ばれるものがあります。アオキは染色体数が2n=32の4倍体で、北海道から中国・四国地方まで広く分布しています。一方、ナンゴクアオキは2n=16の2倍体で中国・四国地方以西に分布しています。岡山県ではアオキとナンゴクアオキの両方が生育していてとても調査しやすい場所なのです。
さて、これまでアオキとナンゴクアオキは染色体数が違うものの外見で区別するのは難しいとされてきました。
しかし、この2種類のアオキは葉の鋸歯の形で区別できるのです。
これがアオキ(右)とナンゴクアオキ(左)の葉です。
この2枚の葉を比べて見ると、アオキの葉は鋸歯の先は外を向いています(赤線)。しかしナンゴクアオキの葉は鋸歯の先が内側を向いているのです(黄線)。
個別に見てみると、
こちらがアオキ。鋸歯の先は外側を向いて鋭い感じです。
こちらはナンゴクアオキ。鋸歯の先は内側を向いていて丸みがあります。
この違いは伊豆諸島や屋久島など島嶼部に生育するものには当てはまりませんが、本土のアオキとナンゴクアオキであればほぼ区別できます。
山本伸子(自然・環境評価研究部)