先生、あんなあ。小泉凡塾長からメッセ-ジもろてん。
先生も読んでみてな。
五感力を育む「子ども塾」
「子ども塾」プロジェクトの誕生は、2004年、小泉八雲没後百年の年に遡ります。記念事業の実行委員会の中で、未来の松江を担う子どもたちに、現代社会の中でも輝きを失わない小泉八雲の意味を継承する企画をという声があり、それを実践したのが「子ども塾―スーパーヘルンさん講座―」です。
バーチャルの世界にいる時間が急速に長くなった現代の子どもたちに、もっとも継承させたいのは八雲の五感力でした。16歳で失明した八雲は、生涯、五感を研ぎ澄ませて生きました。八雲の作品が読み継がれる大きな理由は、彼があらゆる身体感覚を通して明治の日本をとらえていたからだと思います。以来、「子ども塾」では、「町の音」「蝉の声」「海辺の生活」「怪談」「虫の音」「人力車」「怪談屋敷」など、毎年、少しずつテーマと活動場所を変えて、小学校4年生から中学生を対象に、小泉八雲を通して五感を磨くイベント(教育実践)として夏休みに開催してきました。
今年の「子ども塾」は小泉八雲記念館の企画展「ヘルンさんとタヨウ星人」と連動して、8月17・19・20日の3日間、おもに松江市の出雲かんべの里周辺で行いました。特別講師に、企画展のタヨウ星人の作者で講談師・画家の珍元斎さんと兵庫県立人と自然の博物館の鈴木武さんと大谷剛さんを迎えて、生物多様性の意味と大切さをお話と生きもの散歩で体感しました。また、ヘルンの耳と自然観についても塾長の話と記念館・旧居訪問から学びました。「いろいろな違った生き物がいること」「それぞれの場所に違った生き物がいること」(サンインマイマイ、シロマイマイなど)、そして松江にはじつに豊かな自然が残されていることを喜びとともに感じた3日間でした。
6人の子どもたちは、その体験をもとに、オリジナルのタヨウ星人や生きものの世界を絵で表現したり、生物多様性をモチーフとする物語をつくったりしました。今年も「子どもの才能って、すばらしい!」と痛感しながら作業を見守りました。ヘルンが、将来の日本に最も必要だと説いたのは、自然との共生を続けるということでした。そんなヘルンの思いも、子どもたちは十分受け止めてくれたように思います。
2013年8月
子ども塾―スーパーヘルンさん講座―塾長
島根県立大学短期大学部教授
小泉 凡