ひとはく20年の実績に基づいて、21年目からのひとはくのあるべきすがたを描き出しています。日常的な活動と並行し、現在の博物館に求められているものが何かを広く検討し、ひとはくに注目して下さる方々のご意見をいただきながら、成人したひとはくのあるべきすがたを模索する作業を進めました。年度末には、ひとはくの20年を総括し、自己評価する文書を取りまとめ、同時にひとはくの将来構想を公表する準備を進めています。自分たちの活動が何であったかは、すでに『みんなで楽しむ新しい博物館のこころみ』(研成社刊、2012年)にまとめ、博物館に関心を寄せ、活用して下さる人々からの評価をいただいています。より広い範囲の人々の博物館活動への関心を呼ぶことができれば幸と思っています。
ひとはくでは新しく、ひとはく多様性フロアに「魅せる収蔵庫」コーナーを整え、博物館が生物多様性とどのように取り組んでいるか、それをすべての階層の人々とどのように共有できるかの試みを始めました。これからの人と自然の調和ある共存のために、わたしたちを含む生物多様性の望ましい在り方をいっしょに考えるコーナーに育てるように、ひとはくはいっそうの注力をしたいと考えています。
(ひとはく多様性フロア)
今年は、移動博物館車「ゆめはく」が皆さん方のお近くで見かけられる機会も増えることと思います。「ゆめはく」がやってくるのを待つだけでなく、積極的に「ゆめはく」をみなさんの地域に呼び寄せる行動も起こしていただければと期待します。「ゆめはく」はひとはくの移動博物館車ですが、同時にみなさんの移動博物館車でもあります。その実績が、今年は大きな効果を上げることを期待したいと思います。
これまでひとはくといっしょに学ばれた方も、これまでひとはくと接点がなかったけれども今年は恊働の実績をあげたいと期待されている方も、ひとはくの活動を起点とした学習に今年はいっそう多く参画されるよう期待します。
岩槻邦男(館長)