先週8/8(日)に神戸市立森林植物園での六甲山のネズミについての講座のついでに、甲南高校の恩地さんと中学校生物研究部の諸君とで園内にネズミ用わなを仕掛けました。ふつうのアカネズミはとれるだろうと思っていたら、なんと、神戸市レッドデータAランクのスミスネズミが捕まりました。たぶん神戸市内では3つめの産地です。
スミスネズミは東北南部以南の日本に分布する日本の固有種で、体長10cm、尾長5cm、体重30g程度で、冷涼な山地に穴を掘って暮らし、おもに植物を食べるといわれています。耳が小さく、尾が短く、ずんぐりむっくりしたモグラのような野ネズミです。
写真:アカネズミ(左)とスミスネズミ(右)
アカネズミにくらべるとスミスネズミは目も耳も小さい。
1904年にイギリス人冒険家ゴードン=スミス氏が六甲山地(標高650m)で採集した標本が英国自然史博物館で研究された結果、新種として発表されたものです。そのため六甲山地はスミスネズミの基準産地、つまりは六甲山のスミスネズミが本家本元のスミズネズミとなりますので、六甲山地のスミスネズミは重要なものです。
しかし、六甲山地でのスミスネズミの記録はきわめて少なく、わずかに摩耶山や西宮市甲山などが知られています。
2006年には六甲山小学校付近で飼い猫がスミスネズミを捕まえてきて、その後の調査により周辺で生きた個体を確認したのが最も最近の六甲山地での生きたスミスネズミの記録でした。
摩耶山、六甲山小学校周辺に続いて神戸市内では3つめのスミスネズミの生育地となる。森林植物園は標高450mと従来の2地点に比べると標高が低く、六甲山地の中腹を広く調べる必要があるそうです。
8月14日(土)、15日(日)の両日午前11時および午後2時から、人と自然の博物館ひとはくサロンで、今回のスミスネズミを見て、研究員が解説します。
(鈴木 武)