篠山層群より産出したカエル類化石の記載論文の出版について
2016年2月2日
趣旨
丹波市山南町に分布する篠山層群における複数年に及ぶ発掘調査の結果、多数のカエル類化石が発見されています。これらの標本を調査研究したところ、新属・新種の存在が明らかになりました。この度その研究成果は英語論文にまとめられ、Cretaceous Research誌(査読付き国際学術雑誌)に投稿、受理・出版されました。
1 記載報告されたカエル類化石
(学名)ヒョウゴバトラクス・ワダイ(Hyogobatrachus wadai gen. et sp. nov.)
学名の語源:Hyogoは「兵庫」、Batrachusは「カエル」という意味のギリシャ語である。
wadaiは本標本の発見者でクリーニングを行った和田和美氏(人博・技術職員)から命名。
(学名)タンババトラクス・カワズ(Tambabatrachus kawazu gen. et sp. nov.)
学名の語源:Tambaは「丹波」、Batrachusは「カエル」という意味のギリシャ語である。
kawazuは日本語の古語「蛙(カワズ)」に由来する。
2 執筆者
池田 忠広 研究員・特任助教(県立人と自然の博物館・兵庫県立大学)
太田 英利 研究次長・教授 (県立人と自然の博物館・兵庫県立大学)
松井 正文 名誉教授 (京都大学)
3 論文掲載誌
「Cretaceous Research」(査読付き国際学術雑誌)Elsevier 社(オランダ、アムステルダム)
4 論文標題
英文:New fossil anurans from the Lower Cretaceous Sasayama Group of Hyogo
Prefecture, Western Honshu, Japan
和訳:「兵庫県下部白亜系篠山層群から発見された新しいカエル類化石について」
5 特筆すべき点
・篠山層群に多産するカエル類化石のうち、特に保存状態の良好な二標本を精査し、それぞれ
新属・新種として命名した。
・下部白亜系からのほぼ全身を留めたカエル類化石の発見は日本初で、世界的にも例が少なく、
篠山層群産カエル化石は、同分類群の系統進化を検討するうえで貴重な資料といえる。
・白亜紀前期はもとより、中生代全体としてもカエル類化石を新分類群(新属、新種)として
記載し、学名を付与することは国内初の快挙である。
・報告された化石は、第二・三次発掘調査(H19.11~H20.3, H20.11~H21.3)において
産出した化石で、これまでの地道なクリーニング作業と分析、研究を続けたことによる成果で
ある。
6 今後の予定
記載論文の出版に合わせ、これを記念して、そのカエル化石の実物を展示しパネル等で説明します。
展示概要
♦ 期 間:2016年3月6日(日)~4月10日(日) 終了しました。
♦ 場 所:兵庫県立人と自然の博物館
3階丹波の恐竜化石展示コーナー
♦ 展示物:ホロタイプ標本2点、パネル等
7 担当
兵庫県立人と自然の博物館 自然・環境評価研究部 研究員 池田 忠広
ヒョウゴバトラクス・ワダイ タンババトラクス・カワズ