篠山層群より産出した恐竜卵殻化石の記載論文の出版について
2015年6月29日
趣旨
丹波市山南町に分布する篠山層群における複数年に及ぶ恐竜化石発掘調査の結果、恐竜卵殻化石が多数発見されています。この度、これらの標本には、日本初発見を含む5種類の卵殻化石が含まれていることが判明し、そのうちの1種類は、新卵属・新卵種であることが明らかになりました。この研究成果を論文にまとめ,「Cretaceous Research」誌(査読付き国際学術雑誌)に投稿し、受理され出版されます。
1 明らかになった5種類の恐竜卵殻化石
・新卵属・新卵種の獣脚類恐竜の卵殻
(学名)ニッポノウーリサス・ラモーサス(Nipponoolithus ramosus oogen. et oosp. nov.)
学名の語源:Nipponは「日本」、Oolithusは「卵の石」という意味のギリシャ語である。Ramosusはラテン
語で「枝分かれした」の意味で、卵殻外表面の特徴的な装飾模様に由来する。
・1種類のハドロサウルス類の卵殻(Spheroolithus)及び日本初発見となる3種類の獣脚類恐竜の卵殻
(Elongatoolithus,Prismatoolithus,Prismatoolithidae科の卵殻)
2 執筆者
田中 康平 博士課程大学院生 (カルガリー大学、カナダ)
Zelenitsky, D. K. 准教授 (カルガリー大学、カナダ)
三枝 春生 主任研究員(県立人と自然の博物館)
池田 忠広 研究員 (県立人と自然の博物館)
DeBuhr, C. L. 技師 (カルガリー大学、カナダ)
Therrien, F. 研究員 (王立ティレル古生物博物館、カナダ)
3 掲載予定誌
「Cretaceous Research」(査読付き国際学術雑誌)
4 論文標題
英文:Dinosaur eggshell assemblage from Japan reveals unknown diversity of small theropods
和訳:日本産の恐竜卵殻化石が明らかにする小型獣脚類恐竜の多様性
5 特筆すべき点
・恐竜卵殻化石の報告に乏しい日本で、新種を含む5種類の卵殻化石が確認された。
・これらには小型の獣脚類及びハドロサウルス類恐竜の卵殻が含まれており、そのうちの1種類を新卵属・新卵
種の「ニッポノウーリサス・ラモーサス」と命名した。
・複数種の小型獣脚類恐竜の卵殻が確認されたことにより、骨化石では未知であった篠山層群の小型恐竜の多様
性が明らかになった。
6 今後の予定
(1)記載論文の出版に合わせ、これを記念して、その恐竜化石の実物を展示しパネル等で説明します。
展示概要
◆ 期 間: 2015年7月21日(火)~ 8月31日(月)終了しました。
◆ 場 所: 兵庫県立人と自然の博物館
3階 丹波の恐竜化石展示コーナー
◆ 展示物: ホロタイプ標本など約10点程度
関連HP: 臨時展示「下部白亜系篠山層群から発見された卵殻化石」
(2)クリーニングの完了していない部分がまだあるので、クリーニングを完了させ近い将来それらに関する追加
論文を出版する。
7 担当
兵庫県立人と自然の博物館 自然・環境評価研究部 主任研究員 三枝 春生