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設立準備室の職員による「自然との語らい入門講座」

修了証は31名の方に!



 日ごろ、博物館の設立準備に追われている職員に、自然入門講座を開いて県民へ博物館の情報提供とPRをしたらどうか、という話が持ち込まれました。「忙しい」、「準備が大変だ」、「募集対象が絞られてないから話しにくい」といった一部の抵抗はあったものの、「自分の専門を生かして、博物館のアピールをしよう」ということで、13名の職員の専門の話と職員の知人8名のフレッシュな話で「講座」を構成しました。
 「土曜の午後は自然と語ろう」という記事が神戸新聞朝刊に出たのは、8月24日。25日には読売新聞朝刊、27日には産経新聞朝刊に同様の記事が掲載されましたが、受講申し込み締め切りの9月3日までに期日があまりなかったので、見逃した方もおられたことでしょう。それでも、応募者は予定した50名を超え、毎回受講希望者55名、選択受講希望者6名の計61名(女性25名)で応募を締め切りました。応募者は最年少25歳、最高齢が75歳で、平均年齢は52.4歳でした(表1参照)。大半は神戸市の方ですが、16名が市外で、遠くは城崎郡香住町から申し込まれています(選択受講者)。
 9月22日に開講式と第1回目、以後毎週土曜日連続11回開講し、12月1日に閉講しました。7回以上出席された方、31名には修了証が渡され、そのうち9名の方が全回出席です。

<表1 毎回受講者の年齢層>
  20代30代40代50代60代70代 計 
男性 1330
女性 25
合計 10131955


開講のあいさつをする伊谷室長と受講者の方々


<表2 各回のテーマと講義>
開講月日テーマ講師所属
 9月22日川のさかなたち
海のさかなたち
田中哲夫
鷲尾圭司
自然系博物館設立準備室
林崎漁業協同組合
 9月29日ミツバチとはちみつ
モンシロチョウの四季
大谷 剛
中西明徳
自然系博物館設立準備室
自然系博物館設立準備室
10月 6日みじかな植物
万葉植物と植物生態学
浅見佳世
服部 保
開発システム研究所
自然系博物館設立準備室
10月13日骨を読む
恐竜はどう歩いたか
三枝春生
石垣 忍
自然系博物館設立準備室
地質コンサルタント
10月20日性と動物の社会
アフリカ・タンガニイカ湖の魚たち
江崎保男
幸田正典
自然系博物館設立準備室
大阪市立大学理学部
10月27日木の成り立ち
日本と中国の高山の植物
高橋 晃
小菅桂子
自然系博物館設立準備室
神戸大学理学部
11月 3日明石公園内の植物探索
 −植物を見ながら遊ぼう−
橋本光政
杉田隆三
自然系博物館設立準備室
賢明女子学院短期大学
11月10日変動する地球
小さな化石からわかる大きなこと
小林文夫
古谷 裕
自然系博物館設立準備室
自然系博物館設立準備室
11月17日都市と自然
都市と水辺
田原直樹
久 隆浩
自然系博物館設立準備室
大阪大学工学部
1011月24日遺伝と遺伝子
たべものと体
永吉照人
保田 茂
自然系博物館設立準備室
神戸大学農学部
1112月 1日緑の創造中瀬 勲自然系博物館設立準備室


 表2に掲げた各講師の話の内容は紙面の都合上、紹介しませんが、最終日に感想文をお願いしたところ、4名の方から原稿を頂きましたので、講座の内容・雰囲気は次ページ以降の行間からご推察下さい。


左:9月29日に参加された方々。  右:10月13日の石垣氏(中央)の講義。

待ち遠しかった土曜日   橋本 輝夫(70歳)
 多くの公共機関や大学などでは、いろいろな教養講座が設けられているが、この講座は数少ない自然科学系のユニークなものなので、このたび受講できたことは幸いであった。
 講師陣には準備室の諸先生が主軸となって新進気鋭の学究の方々が当たられ、各専門分野についてスライドを中心に、時には標本なども用意されて、最新の学説をまじえながらもわかりやすい講義を受けることができたのはうれしかった。またそれに戦前の中学校の教科で「博物」としてわれわれが習った若き日々を回想しながら、科学もずいぶん進歩したものだと実感するとともに、古いアタマに少しは新しい知識が入れ換えられて、気分は若返ったかなと思ってもみた。
 この講座の開催には準備室の皆様が企画・実施に大変なご苦労があっただろうし、また講義が土曜日午後の勤務時間外でもあって、その熱意には心からお礼申し上げたい。諸先生のご活躍により兵庫県が誇りうるすばらしい自然系博物館ができることを切望してやまない。
 最後に受講者の皆様におはかりしたいことではなるが、共に学んだ機会に講座終了者が親睦会をつくって年何回か集まり、自然探訪に出かけられるようなことができればと思っている。それに準備室の諸先生のご指導が得られれば幸甚ではあるが、いかがなものだろうか。

「講座」をおえて   中山 正一(68歳)
 昨年の8月下旬に新聞で知った「講座」を無事11回、終了しました。
 私たち素人が「博物館」と聞くと、歴史・民族・芸術・科学等の資料を展示している所と思いますが、「自然系」とは珍しいものだと感じ、興味を覚えました。
 「自然との語らい」を毎回のテーマ毎に専門の先生の方(21名)が担当され、スライドの映写、持参した標本等の説明、印刷された資料の配布等、その熱心さには感謝のほかありませんでした。
 受講者は老若男女で、わがままな要望・質問があり、なかなか大変であったろうと存じます。しかし、もっと有難くまた申し訳けなかったのは、先生方が受講者よりも早く会場に来られて映写用機器やマイク等を設営され、講義が終われば後片付けをされていたことで、受講生側ももう少し考えるべきだと感じました。
 長期間同席すれば、気の合った方や人格者との出会いもあり、受講テーマ以外にも多くのことを学べたと喜んでおります。また先生方の著書をお譲り頂いたり、貴重な資料を見せて頂いたり、有難く存じました。
 室長のお話の通り、「自然と人間の生活」とのかかわりから「自然の本質、生命の貴さ」を学びました。今後は受講者の一員として、11月3日の明石公園のごとく、「自然と語る」機会を持ち活用したいと思います。
 次にこのような講座を企画されるようにお願いするとともに、立派な「自然系博物館」が無事開館されますようにお祈り申し上げます。

次の講座も期待   赤保 正文(57歳)
 開講日は出席できませんでしたが、あとは全部受講させて頂きました。46億年前の地球誕生から近未来都市のあり方まで、大きなことから小さなことまで(例えば化石、巨大な恐竜の話から0.1ミリの放散虫まで)、広くかつ専門分野を深く私たちにわかりやすく教えて頂いて、今まで関心が薄かった分野でもたいへん興味を持つようになりました。
 不足を言わせて頂けるなら、スライドよりも明石公園へ行った時のような、実物を少しでも多く見せて頂けるような機会が少なかったこと、哺乳類・爬虫類・両生類等の動物の講義がなかったこと、1つの講座時間(70分)が短かったこと、の3点です。最後については、「話したいことの3分の1しか話せなかった」という先生もおられたので、休憩を入れて1講座を2〜3時間にしたらよいように思われました。スタッフの方々はお忙しいでしょうが、ぜひまた、次の講座を計画して下さい。
 他の博物館や類似施設ではよく友の会があるようですが、なるべく早く友の会々員をつのれば、少しでも県民の協力を得ることができ、全国へのPRの一助にもなると思います。

人気のあった11月3日の野外講義の一風景

一番の印象は「明石公園の植物散策」   山田 安(56歳)
 わたくしは現職があるため、6回しか受講できませんでしたが、この忙しいさなかに6回の講座に出席できたことだけでも、よくやったぞと自画自賛しております。
 あらためてメモを見ながら思い返すと、各回それぞれに興味しんしんのことばかりでした。一番印象に残っているのは「明石公園内の植物散策」です。いつもなら何気なく通りすぎてしまう道端の植物も、観察の対象として説明していただくと、とても親しみがわいておもしろく感じました。出来るだけメモをしてみましたので、こんどは一人で歩いてみてどれぐらい分かるか試みてみたいと考えております。ちょっと木の名前を知っているだけでも楽しいものです。「ウバメガシ」「イタジイ」「イチイガシ」などなど、私などにはそう簡単に見分けはつきませんが、道を歩いていても、「おや、この木はなんていうんだろう?」と考えるようになってきました。これだけでも講座を受けた意味もあったと、ひとりほくそ笑んでおります。
 その他の講座も、また切り口をかえてお教えいただければ理解も深まるかと存じます。勝手を言いますが、ぜひお願いいたします。


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Copyright(C) 1998, Museum of Nature and Human Activities, Hyogo
Revised 1998/03/27