博物館にのぞむ

(財)進化生物学研究所 理事長  近藤典生



 一九八五年、兵庫県では大鳴門橋の完成を記念して淡路島(くにうみの祭典)が催された。その時、「おのころアイランドの陸の生物科学館」を図らずも私がご面倒を見、幸いにして成功を収めることができた。この催しは明石海峡大橋の早期着工と新しい淡路づくりを踏まえて行われたのであろう。
 その頃、胎動し始めていた県立の自然系博物館設立の計画が具体化し、年末には基本構想委員会の発足の運びとなり、私もそのメンバーに加わった。委員会では熱心に構想案が検討され、「基本構想」がまとめられた。その内容は現在までの我国における自然系博物館の構想とは一味違ったユニークなものであった。
 ところで、諸種の事情から、三田市にあるホロンピア館を博物館の本館として転用することになり、基本計画案を受けて発足した建設懇談会では各種小委員会を設け、基本構想をふまえた具体案の作成を進めてきた。また、昨年度より準備室が開設、スタッフも充実されるとともに、今年度は新しい室長も決定された。いよいよ本格的に建設業務が始まり、ホロンピア館の改造や増築部の工事が進められることになろう。当初から関係してきた一人として誠に喜ばしいことである。
 しかし、実施設計を行い、建設を進めていくには、ホロンピア館や都市公園としての制約のため、難しい問題も多いとは思うが、お役人的感覚で判断されることなく、基本構想に示されているフィロソフィを最大限に実現できるよう、努力して頂きたいものと念願している。そのようにすることこそが他に類を見ない、他の博物館とは違った価値のある、しかも多くの人々に親しまれ愛されれる施設となることだろう。

(自然系博物館建設基本構想委員会委員長)   


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Copyright(C) 1998, Museum of Nature and Human Activities, Hyogo
Revised 1998/03/27