◇ 収蔵資料紹介 ダイコクコガネ

巷には、昆虫や植物を研究しているアマチュア研究家と呼ばれる人たちが大勢い ます。彼らの長年にわたる貴重な収集品を散逸させないことも、博物館の収集活動 としてたいへん重要なことです。昨年度も数人の方が所蔵標本を寄贈して下さいま した。神戸市の中川俊夫氏が所蔵しておられた標本で、1950年代に生野町で採 集された個体です。ダイコクコガネは牛馬の糞を食べる体長30mmほどの甲虫で、 以前は各地に普通に見られたそうですが、戦後急速に減少し県下ではもうほとんど 見られません。  ダイコクコガネの減少は、人々の生活の質の変化に原因があります。車社会がで きあがってゆくにつれて、貴重な労働力であった牛や馬は不要となりました。当然 路傍の落下物はなくなりますし、地表は舗装で固められました。近代化の波は、彼 らの食と住をともに奪い去ってしまったのです。(系統分類研究部 八木 剛)

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Copyright(C) 1995, Museum of Nature and Human Activities, Hyogo
Revised 1995/12/18