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ひとはくとともに生きる日々



5月○日(土)
ハニーFM「ひとはくハーモニー」の時間に鳥の声の話をやっていた。実際の鳴声を聞きながら研究員の説明を聞くとわかりやすい。

鳴き方をおぼえたので、明日の日曜日には、子どもと有馬富士公園へ行ってバードウォッチングをしよう。毎週土曜日午前10時50分

からほんの5分だけだが、なかなかおもしろい。博物館の情報発信の新しいスタイルになりそうだな。  午後からは博物館のセミナーで

大阪へでかけ、上町台地を歩いた。寺院など歴史的な建物が、あんなにたくさんあるとは知らなかった。

街中をただ歩くのは疲れるだけだが、いろんな視点で個々の建物や町並みを見ること、またその中での草や樹木の扱われ方なんか

を考えながら歩くと、あっという間に時間が過ぎるものだ。おもしろかった。研究員は街の建物のことだけでなく、街の構成に関わる

地形や、そのなかにいる生き物のことなんかまで広く視野に入れて考えているものだと感心した。


5月○日(日)
今日は「博物館の日」だったので"ひとはく"へ行った。バードウォッチングに

役立つ本を買った。先日、有馬富士公園で鳥を見たが、やはり簡単にはおぼえ

られないので、ちょっと勉強しよう。

企画展「六甲山」の最終日だった。なかなか見に行く機会がとれなかったが、

間に合ってよかった。有名な植物学者の牧野富太郎博士が六甲山でいろいろ

活動をしていたとは初めて知った。"細雪"で有名な谷崎潤一郎の部屋も

現在に見られる水車小屋(佐用町)
よかったが、明治時代の水車小屋の分布の話はおもしろい。

明治時代、六甲山から海へ流れでる川には多くの水車小屋があって菜種油を搾っていたという。後に精米に利用され、灘の酒づくりに

役立ったことは地元では有名な話らしいが、我々の世代で知っている人は少ないのではないか。自然のことばかりでなく、人と自然の関わり

の中で六甲山が見えてくるという趣旨のとおり、まさしく人と自然の博物館ならではの展示だなあ。

 リサーチプロジェクトのパンフレットをもらってきた。去年はキャラバンでの取り組みが多かったが、今年は全県で個人的参加ができる

メニューがいろいろある。去年のミヤマアカネはやってみたかったが、野山へ行かなければならないし、ちょっと区別が難しそうだった。今年は

街中の巨樹・古木を探したり、街のビルの壁に入っている化石を探すというのもある。本当の山へ行かなくても、街中にも自然の産物はあるも

ので、それを探して地図にするというのは自分にもできそうだし、おもしろそうだから参加してみようと思う。ホームページの中で去年の

リサーチ結果が報告されているが、今年のはどんな結果になるだろうか、楽しみだ。調べた結果は、単にホームページで公開されておしまい

ということでなく、ちゃんとデータベース化されて他の目的でも活用されるという。我々素人の簡単な調査がどこまで有用なのか分からないが、

ちゃんと役立つなら嬉しいことだ。

 こうしてみると、けっこう"ひとはく"に行っているなあ。内容の幅が広くて飽きないから、ついまた行ってしまうのだな。

六甲山の水車小屋の分布(明治時代)



ひとはくをよく利用している人の5月のある日の日記を紹介した。

こんな日記はまったくの作り事だ、とはいえないと思うのだが....どうだろうか。

今年も"ひとはく"はいろいろおもしろいことを計画しているので、みなさんがついまた来てしまうことを願っている。

(生涯学習事業室 高橋 晃)



地下街壁面に見られるアンモナイト化石(神戸市三宮) ミヤマアカネの分布



Copyright(C) 1999, Museum of Nature and Human Activities, Hyogo
Revised 2003/6/26